2016.02.02

歌舞伎座の檜舞台には丹沢産のヒノキ材が使われています。【No.1451】

本日は休みだったため、銀座にある歌舞伎座で歌舞伎を観てきました。歌舞伎座の前を通ることは何度もありましたが、実際に中に入って歌舞伎を観劇するのは初めてでした。観た演目は『新書太閤記』。尾上菊五郎、中村梅玉、中村吉右衛門と幹部役者が揃った豪華な出演陣でした。歌舞伎初心者の私でもストーリーを追うことができて分かりやすかったです。

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さて、木に携わる仕事をしているとどこかに行った際にはどういう木が使われているかが気になります。今回の歌舞伎座でも木の使われ方が気になります。建物自体は新しいので、木材はほとんど使われていないと思います。でも、舞台は別ですね。現在の歌舞伎座の舞台も総檜造りだそうです。歌舞伎座の舞台に使用された檜はなんと神奈川県丹沢産です。以外と近い場所から搬出されています。三重県に本社がある林業会社が100年ほど前に丹沢に植林した檜約1200本が使われています。

伐倒された檜はヘリコプターで山から搬出したそうです。そして一旦三重県に運ばれそこで製材乾燥させたものを再び東京に運び歌舞伎座の舞台になっています。1年ほど掛けて天然乾燥させて含水率を約15%まで下げたそうです。歌舞伎座のホームページによるレポートだと天然乾燥させたまでしか書かれていません。が、成毛眞さんの著作『ビジネスマンへの歌舞伎案内』NHK出版新書によると1年の天然乾燥の後、1週間低温乾燥室で乾燥させたと書かれています。舞台上は照明がガンガン当たってかなり暑くなるはずなので、人工乾燥で低い含水率に下げてあった方が狂いが少なくて良いと思います。なので、最後に人工乾燥庫に入れたのだと思います。

私の座席から遠くて肉眼では舞台の檜材の質の良さまでを見ることはできませんでした。が、双眼鏡で覗いてみた限りでは節が少なく立派な檜材だと感じました。

歌舞伎座の舞台に使用された檜材の詳細は歌舞伎座ホームページの建替え現場からというコーナーで見られます。新しい歌舞伎座がどのような出来ているかの舞台裏を知ることが出来ます。興味のある方はぜひご覧下さい。

歌舞伎座の舞台に使用された檜材にも天然乾燥の後に低温乾燥室で乾燥させています。ソリウッドが製作している耳つきテーブル用の板も同じような乾燥方法を採用しています。製材後に天然乾燥させる期間は板によって違いますが、だいたい半年から2年間ほど外で乾燥させています。天然乾燥で含水率をある程度まで下げた方が人工乾燥させた際に早く水分が抜けます。

木材の乾燥庫にはいろいろと種類があります。乾燥庫内の温度で、高温乾燥庫、中温乾燥庫、低温乾燥庫と大まかに分けることができます。高温乾燥庫は庫内が100℃近くまで上がります。当然、乾燥スピードは早くなりますが、木材へのダメージが大きいとされています。中温乾燥庫は広く普及していて約50℃から70℃くらいの温度で乾燥させていきます。低温乾燥庫は35℃から45℃くらいの温度で乾燥させる乾燥庫です。時間は掛かりますが温度が高くないので木材へのダメージが少ないです。また、ランニングコストも低く抑えることができます。

ソリウッドには現在3台の小型木材乾燥庫があります。どれも低温で乾燥させるタイプのものです。昨年の12月から稼働させた新設の木材乾燥庫は庫内の温度が40℃から43℃ぐらいに保たれています。温度を高くすると乾燥スピードが少し早まりますが、割れる可能性も高くなります。40℃から43℃ぐらいがちょうど良い温度だと感じています。

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低温木材乾燥庫から出された板たち。じっくりと乾燥させているので木材へのダメージが少ないのが特徴です。ソリウッドで乾燥させた板は耳つきテーブルの天板に使用しています。耳つきテーブルの詳細はこちらをご覧下さい。

瑞木@相模湖

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