2014.10.03

人工乾燥中のカバ材の含水率を測ってみました。~木材乾燥の現場から~

ソリウッドでは材木市場で購入してきた板を自前の木材乾燥庫で乾燥させています。使用する全ての板を自社で乾燥させている訳ではありませんが、ここ数年の耳つきテーブルに関しては自社で乾燥させた板を使用しているのがほとんどです。ストレートカットテーブルやテレビボード、リビングラック、テーブルの脚等で使用している材に関しては、既に人工乾燥済の板を仕入れて使用しています。どちらにしても必ず人工乾燥庫に入れて乾燥させた木材を使用するようにしています。

天然乾燥材が良いという人もいますが、僕は人工乾燥させた方が良いと考えています。1番の理由は住宅の気密性が高くなり、昔に比べると室内の乾燥具合がグッと上がっています。また冷房、暖房器具の発達に伴って夏と冬の室内環境はガラッと変わります。そうした事情を考えると人工乾燥庫で含水率を10%以下まで下げた木材を使用してテーブルなどの家具を製作した方が良いでしょう。木材は一度含水率を低くしておくと、湿気などの水分を吸う吸収率が落ちます。そういう性質も活かそうと考えると一度含水率を10%以下まで下げておく必要があります。天然乾燥だけで10%以下まで含水率が低下するのなら良いですが、日本の環境を考えると屋外で乾燥させておいて10%以下になることは期待できません。5年、10年と時間を掛けてもいいのなら可能かもしれませんが、実際問題としてそれだけ時間を掛けることはできません。やはり人工乾燥という方法に頼った方がいいです。

ただ、冷暖房がしっかりと効く倉庫に置いておくなら結果は違うかもしれません。外に置いておくよりかは早く乾燥が進むはずです。

木材を乾燥させるには、温度・湿度・風をコントロールする必要があります。なのでこれらをコントロールできるのであるなら専用の乾燥庫がなくても木材乾燥は可能です。要するに狭い室内でエアコンと扇風機と換気扇があれば即席の木材乾燥部屋を作ることは出来ると思います。実際にやった経験はないですが、出来ない事はないと考えています。ただ、専用の木材乾燥庫よりは時間が掛かると思います。

気温は高くなればなるほど、乾燥は早く進みます。100℃以上の温度で乾燥させる高温乾燥庫というのもあります。このタイプの乾燥庫の利点は乾燥スピードです。とにかく早く乾燥させて回転率を高めようとする方法です。当然運用コストも高くなるので(燃料代がとても高いです。) 大規模な乾燥庫でないと元が取れないようです。

ただし、温度が高くなると木材の割れやネジレといった変形のリスクも高くなります。そこで一般的に普及しているのは中温型の乾燥庫です。これは室内の温度が60℃から70℃ぐらいに設定されます。ソリウッドにある蒸気式の乾燥庫もこのタイプです。

湿度も低い方が早く乾燥します。温度を上げて湿度を低くすると早く乾燥が進みます。

当然、風が当たった方が木材は早く乾燥します。木材全体に満遍なく風が当たるようにするのがベストです。直接風が当たらなくても庫内の空気が循環している方が良いでしょう。

現在人工乾燥中の板の含水率を計測してみました。板の端の方では8%ぐらいになっていたカバ材です。板の中心部分の含水率がどうなっているのかを確認するために一度取り出して含水率を計測してみました。

141003_1.jpg
自社で乾燥させた板に関してはこのように各面9箇所で含水率を計測しています。ある1点だけ計測しても全体の含水率がどうなっているかは分かりません。基本的に板の端の方から乾燥していくので端の方が低い含水率であることが多いです。そのため、いくら端の含水率が高くても板の中心も同じように乾燥しているとは言えません。もし、1点だけ計測するなら板の中心部分が良いと思います。

上の写真の赤い数字は人工乾燥庫に入れる前の含水率です。2014年の8月22日に計測した含水率です。平均すると約25%ぐらいですね。この板は2013年の12月に仕入れたものです。製材されたのもほぼ同じ時期だと思います。約8ヶ月間、外で桟積みして天然乾燥させておきました。

黒い数値は、約1ヶ月間低温の人工乾燥庫に入れたあとの含水率です。約10%まで下がっています。
141003_3.jpg
中心部も10%まで下がっています。この板はもう充分乾燥しています。ただ、同じ丸太からとれた板でまだちょっと含水率が高い部分があったので、もう少し乾燥庫に入れておく事にします。

瑞木@相模湖

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