2016.02.03

日本の伝統的なおもちゃ「けん玉」はどんな材で作られている?【No.1452】

昨日のエントリーでは、歌舞伎座の舞台にはヒノキ材が使われているという話を瑞木@相模湖が書きました。普段、なにげなく見ているものや触っているものに木が使われているものが沢山あります。木であることはわかってもそれがどういった樹種で、なぜそこに使われているかまではなかなか知るすべがありません。木に関する仕事をしている中で、そのような身近にある木の情報を提供していくことも木に興味を持って頂く近道になるのではと考えています。これまでにもいくつかそういったものを紹介してきました。将棋や碁の盤に使われる榧材、和箪笥に最適な桐材について書いてきました。今日のブログでも身近にある木を使った物を紹介したいと思います。

年末年始に妻の実家に行った際に、けん玉がありました。けん玉については詳しく説明しなくてもわかると思いますが、玉と剣が紐でつながっている日本伝統的な玩具です。私も小さい頃は、遊んだ記憶がありますが、あまり上手に出来た記憶がありません。最近では姪っ子が小学校でけん玉をやっていると披露してくれたり、商店会主催の新年会で、クイズ大会があり、壇上に昇った人がけん玉をやって、一回でお皿に乗せられるかといったクイズでやった経験があるくらいです。これまでは、けん玉の素材について、あまり興味を持っていませんでしたが、妻の実家で見た際にじっくりけん玉を観察してみました。

私が手にしたけん玉は、白木を使った剣に赤く塗装された玉がついている最もオーソドックスでこれぞけん玉というイメージのものでした。剣の部分は、塗装がされていないので、木目の感じが目で見えました。あまりはっきりした木目ではなかったので、ブナ材ではないかと判断しました。玉の部分は塗りつぶしの塗装が施されていたので、全く判断がつきませんが、ある程度堅くて重い材が使われているなと考え、剣と同じブナ材かなと想像しました。

妻の実家にあったけん玉には、「日本けん玉協会認定品」というシールが貼ってありました。どうやら、けん玉の競技大会などでは、この協会認定のものでないと使えないようです。逆にこの認定シールがついているけん玉を使うと、技が決めやすく設計されているので上達も早いとのこのです。この認定品は国内のいくつかの製造所で作られている数ブランドのけん玉に限られているようです。実家から帰った後に、素材について調べてみたところ、認定品のほとんどが、剣は「ブナ材」、玉は「サクラ材」で作られているようです。私の予想は半分当たり、半分外れたカタチになりました。玉に使われている「サクラ材」はヤマザクラ材もしくはカバ材の可能性があります。カバ材は昔からカバザクラと称され、一部「サクラ材」として流通されています。そのため、サクラ材だけではどちらかはっきりと判断出来ません。いずれにしてもある程度堅さがある材なので、木同士がぶつかるおもちゃとしては適している材だといえます。

最近では、海外の若者の間でけん玉ブームがあり、カラフルなけん玉というものが販売されています。これまでの伝統的な玩具というよりは、派手な技を決めることがクールとされ、ストリート系の若者で爆発的人気がでたようです。日本けん玉協会認定品も輸出され海外でもよく売れていると聞いたことがあります。また、海外製のけん玉も日本に輸入され、販売されています。こうしたけん玉は競技用というよりも、ファッション感覚で購入する人が多いようで、調べてみると色々な素材で作られているようです。海外製のけん玉に興味が湧いたので、調べてみるとブラックウォールナット材やブラックチェリー材、メープル材などで作られているものがあるようです。これらの材は北米で生産される代表的な材なので、北米で生産されるけん玉で使われるのも納得です。お値段は5〜7千円とやはり高めの価格設定になっています。でも、かっこいいのでインテリアとして飾っておくのもアリだと思います。

最後に以前にも紹介したことがありますが、今日の内容に近い本を紹介します。

20160203 1

普段の生活などで目にする木について、実はこんな木なんだということ紹介している本です。著者の佐伯氏は身近な木製品をみて「この木なんの木」と尋ねることをウッドウォッチングと名付け、それを提唱しています。興味のある方は手にとってみてください。

賢木@吉祥寺

お問い合わせContact

TEL:0422-21-8487
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-3 2F
(営業時間: 12:30〜18:00/定休日:火・水曜日)
お問い合わせフォーム
Facebook Twitter Instagram Pinterest