2014.06.03

無垢材と季節の関係

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6月になりましたね。ということはもうすぐ梅雨です。今日は木材と季節の関係について書いていきます。

無垢材を扱う者にとって、梅雨時は厄介な季節です。無垢の木材は、周囲の空気の水分量と平衡を保とうします。梅雨の時期は湿度が高くなります。そうなると、木材も水分を吸収して周辺湿度と平衡を保とうと頑張る訳です。水分量が増えると体積が増します。木材は幅方向の収縮が激しいので、水分が増すと幅が拡がります。我々の生活に取り入れられている木材は必ず乾燥させてあります。薪ですら乾燥が必要です。切り倒したばかりの木材は水分量が多く、燃えにくいため薪としての質はよくありません。家具や建物の構造に使われる木材ほどシビアになる必要はありませんが、薪としての質を求めるならある程度の乾燥が必要です。

家具に使われる木材は、もっとも乾燥した時期(冬)の湿度に合わせて乾燥させています。そのため、しっかりと乾燥させた木材は、梅雨時になると水分が足りないと判断して吸湿します。なので、梅雨時は木材が伸びる時期なんです。そして伸びにともなって反りやネジレが生まれてしまう可能性もあります。

木と季節の関係で注目する点は成長幅です。春から夏にかけて木材は大きく成長します。形成層と呼ばれる木の成長点が盛んに働いて木材が大きくなります。木材組織で大部分を占める導管もこの時期に作られます。春に爆発的に成長して夏にかけてその勢いが減っていきます。春から夏にかけて成長した部分は比較的柔らかい組織になります。秋から冬に成長する部分はほんのわずかで、色が濃く堅い組織になります。こうした成長の違いが年輪となって残ります。

日本は季節の変わり目がハッキリしていて四季があります。そのため年輪がハッキリと現れます。しかし、東南アジアやアフリカのような赤道に近い地域では季節の差がなく四季がありません。そうした地域で育った木材は年輪が曖昧で木目がクッキリと現れません。
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アフリカを代表する木材、ブビンガ材。木目が曖昧なのが分かると思います。

塗装にも季節と関連する話があります。ソリウッドの無垢材家具の多くはオイル塗装を施しています。塗っているオイルは亜麻仁油を主成分として調合された家具塗装用のオイルです。このオイル、湿度が高いと乾きにくくなります。これからの季節は乾きにくくなるので注意が必要になります。そのため、湿度が高いこの時期はオイルを塗った後は空調が効いた部屋で乾燥させるようにしています。

昔から家具の塗装に使われていた塗料に漆があります。漆はオイルとは逆で湿度が高くないと乾いてくれません。漆をメインで扱う方の工房には室(ムロ)と呼ばれる乾燥用の小さな部屋があったりします。その中は水で濡らしたタオルを下げるなどして常に高い湿度を保つようにしています。漆は塗るより乾燥させる方が難しいなんて言われたりもします。

瑞木@相模湖

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