2017.07.12

オイル仕上げのメンテナンス講座にて【No.1977】

先日のテーブルメンテナンス講座では、テーブルではなく展示中のウォールナット材リビングラックの天板上に出来てしまった輪染みをキレイにするのと、少し凹んだ箇所をスチームアイロンをつかって補修することの2点の実践をしました。オイル仕上げのテーブルなどの家具は自然な質感が魅力的ではありますが、水などによる染みがつきやすいというデメリットもあります。ですが、少し手をかけてあげれば染みやちょっとした凹みは目立たなくさせることが可能です。この点はデメリットの裏に隠れたメリットともいえるかもしれません。

今回、実践のサンプルとして使ったのは展示中のウォールナット材リビングラックです。近くにおいてあった植木に水をあげた際に、いくつか水滴が落ちたのに気づかずそのままにしてしまったところ、数カ所で水滴の跡が残ってしまいました。

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こんな感じで跡が目立っています。ですが、この程度の染みでしたら#320程度の紙ヤスリで跡の部分をけずり、その上からオイルを塗ってあげれば目立たなくすることが可能です。紙ヤスリをかけるには少し勇気がいりますが、作業自体はご自宅で十分に行える作業です。

まずは#320の紙ヤスリで染みを削り消してしまいます。この際に、染みがある部分だけを紙ヤスリをかけることも出来ますが、場合によっては色ムラが出来てしまうことがあるので、なるべく染みの周り部分もしくは全体に紙ヤスリをかけてください。紙ヤスリをかける際の注意点は2点です。まずは紙ヤスリの番手です。紙ヤスリは必ず番手と呼ばれる数値がついています。その数値が少なければ少ないほど、目が粗く、削りとれる部分も大きくなります。また、番手が小さいとヤスリをかけた跡の肌触りも粗くなります。通常は番手の低いものから高いものへと順に番手をあげてヤスリをかけることになります。ですが補修やメンテナンスであれば、粗いヤスリをかける必要はほとんどありません。先ほどの水による染みであれば#320番の紙ヤスリで十分です。注意点の2つ目はヤスリをかける方向です。紙ヤスリは木目に沿って紙ヤスリをあてていきます。そうすると、ヤスリの跡が残りづらくなります。木目に対して垂直方向にかけてしまうと、ヤスリのやすった跡が傷のように残ってしまうことがあります。#320番程度の番手であれば、致命的なことにはなりませんが、意識はしていたほうが仕上がりはキレイになります。

紙ヤスリをかける効果は染みをとるだけでなく、家具の素地を整えることができます。#320の紙ヤスリをかけると、スベスベの肌触りも戻ってきます。ですので、染みなどはなくても肌触りがすこしザラつくようになった場合は、全体にざっと#320の紙ヤスリをかけるだけでも肌触りは全然違います。このあたりは、ソリウッドの吉祥寺ショップで開催しているテーブル選び方講座やオイル仕上げのメンテナンス講座でも実際に感じて頂けます。

紙ヤスリをかけ、木屑を布などで拭き取ったさいに染みが目立たなくなっていれば、OKです。しっかりとヤスリ掛けが出来ていればその時点で染みはほとんど消えています。この時点でまだ染みが残っているようであればその辺りを重点的にヤスリがけしてみてください。紙ヤスリをかけ終わったら、オイルを塗っていきます。ほとんどのオイル仕上げの家具は家具用に調合されたオイルを使っています。メンテナンス用のオイルは大きめのホームセンターにいけば、置いてあるケースが多々あります。ですが、中には着色成分も入っているオイルも売っていますので、クリアーなものを選択してください。

オイルは綿100%の布で擦り込むように塗っていきます。オイルが表面につくと濡れた状態のように色が濃く変化します。この色の変化はオイルが塗られた証拠になりますので、塗り残しがないように全ての部分が色が変わったことを確認してください。オイルが塗り終わったら、オイルがついていない新しい布で、表面にのこっているオイルを拭き取ってください。実はこの作業が重要で、これをしないと乾きが悪くなったり、仕上がりの色ムラの原因になったりします。乾拭きをする要領で拭いてください。

後はそのまま半日程度は触らない、ものを上に置かないようにしてください。

これで作業は終了になりますが、注意事項があります。オイルが染み込んだ布をそのままにしていると空気に反応し、熱を帯びる性質があります。工場などでは小火がでるなどの事例が出ていますので、オイルが染み込んだ布は次回も使おうとはせずに、使い終わった直後に水でじゃぶじゃぶに濡らして、ある程度濡れた状態で生ゴミに出してください。

さて、先日の講座でキレイにしたウォールナット材のリビングラックはどうなったでしょうか?もちろん、キレイに染みをなくすことが出来ました。興味のある方は実際に吉祥寺ショップまで足を運んで頂きたいと思います。

賢木@吉祥寺

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