2016.10.18

材木市場に板を仕入れに行くのには理由がある。【No.1710】

耳つきテーブル天板に使用する板は材木市場に行って仕入れてきます。わざわざ材木市場に行く最大の利点は欲しい板を手に入れることができるということです。通常、我々のような木工に携わる者は材木屋さんから木材を購入します。多くの場合は乾燥済みの板ですぐに使用することができます。材木屋さんから乾燥済みの木材を仕入れることのメリットはすぐに使用できるという点です。在庫を抱えておかなくても使用するときに材木屋さんから仕入れればいいわけです。材木をストックしておくスペースがない場合は本当に助かります。木工工房はいくつかの機械を入れないといけないので、材料を保管しておく場所はどうしても限られてきてしまいます。屋根付きの広いスペースを確保できればそれにこしたことはないですが、なかなかそのようなスペースを確保するのは難しいのが現状です。ソリウッドの工房でも屋内に置ける木材の量はかなり限られています。なので、使う時に仕入れてすぐに使用してしまうというのはとってもメリットがあります。

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材木屋さんはそうした状況を熟知していますので、乾燥済みの板の在庫を揃えておいてくれています。よって材木屋さんは広い倉庫が必要になります。東京で材木屋さんが集まる場所といえば新木場です。しかし、新木場の材木屋さんはだんだんと少なくなっています。広い倉庫を他の業種の会社に貸すことが増えています。昔は材木が置いてあった倉庫に今は全然違うものが置いてあるケースが多くなっています。東京近郊は土地の価格が高いので広いスペースを確保するのが難しくなっているのだと思います。なので、少し土地の価格が安い地方の材木屋さんの方が生き延びているのではないでしょうか。

材木屋さんもいつまでも在庫を抱えている訳にはいきません。場所がなければ新しく木材を仕入れる事ができなくなってしまいます。なので、必然的に売れる板を仕入れることになります。昔はいつ売れるか分からないような板でも在庫しておくのが専門店の強みだった訳ですが、現在ではそのような経営を成り立ちにくくなっています。このような現状ではしばしば、我々の欲しい板と材木屋さんが在庫している板のマッチングが合わない状況が生まれてきます。

欠点のある板や乾燥中のリスクが高い樹種などは材木屋さんが「売りにくい」と判断して仕入れることをやめてしまいます。でも、我々としてはそういう板でも欲しいと思います。なので、自ら材木市場に行く訳ですね。

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材木市場には様々な樹種の板が集まっています。中には材木屋さんがリスクが高いので敬遠する樹種もあります。カエデなんかがその代表だと思います。カエデは乾燥が難しい樹種なんです。乾燥中に大きく反ったり、捻れたりします。他の樹種に比べると乾燥中のリスクがとても高いです。中にはこれでもかというぐらい反ったりするのもあります。そうなってしまうと売り物になりません。だから材木屋さんはカエデの生材をあまり積極的に仕入れません。これは材木市場に足を運んでみて感じた事です。人気のない板はリーズナブルな価格で仕入れることが可能です。乾燥中に反ったり、捻れたりすることを織り込み済で仕入れればそれほど痛手にはなりません。幅の広いカエデ材は「どうせ乾燥中に反るから半分に割って使う」と決めておけば良いのです。なので、価格が高くなると元が取れないことがあるのでそういう場合は諦めます。

また、節があったり割れがあったりする板も材木屋さんは敬遠しがちです。しかし、最近では全体的に木材の質が落ちてきているので、そうも言ってられない状態とも言えます。昔、幅広くて欠点のない板がたくさんあったんですね。だからそういう板だけ扱うこともできたんです。でも、今はそもそも市場に出回る丸太や板の数が少なくなってしまいました。昔のように良い板だけを集めるということがしにくくなっています。それでもやはり欠点のない板の方が売り先を見つけやすいし、高値で売ることができます。なので、材木屋さんはそういう欠点の少ない板を集める傾向にあります。

材木市場に行って気付いたことですが、材木屋さんがあまり欲しがらない板でも充分に使える板がたくさんあります。この発見は大きかったです。セリで他の人が欲しがらない板であってもテーブル天板にすればとても綺麗に仕上がる板が結構あります。実際にそういう耳つきテーブル天板を結構な数作って、売ってきました。

というわけでこれからも自ら材木市場に足を運んで耳つきテーブル用の板を仕入れていきます。

瑞木@相模湖

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