2014.07.14

雑誌『Crafter』を読んでみた。

雑誌『Crafter』を読みました。『Crafter』は手仕事を生業とする人たちのためのビジネス専門書です。今年の6月にVol.1が発行された生まれたばかりの雑誌です。雑誌といってもISBNコードを取得していないので、通常の本屋に流通している雑誌ではありません。広告らしい広告は表2と表3にあるだけで通常の雑誌のような広告モデルでもないように思います。(タイアップ記事っぽいものはあります。)

販売場所は、大きなクラフトフェアや東急ハンズ、ギャラリー、セレクトショップ、iichi などだそうです。僕は手仕事品のマーケットプレイスであるiichiで購入しました。B5版・オールカラーで50ページ、価格は900円(税別)です。

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Vol.1の特集は、クラフトフェア、ふたたび です。全国各地で行われるクラフトフェアは手づくり職人が、買い手と出会う場として広く知られるようになりました。人気の高いクラフトフェアに出展するためには、書類選考に通らないと駄目です。書類選考に通るためにはどうしたら良いかなど実践的な内容が目立ちます。ビジネス専門誌と自らを位置づけているだけあって、普通の雑誌で特集されるクラフトフェアとは違って売り手側にとって役立つ記事が多くあります。

Vol.1の巻頭のインタビュー記事は、高橋三太郎さん。高橋さんは、北海道で椅子やベンチを中心に製作しているベテランの木工家です。ソリウッドでも長年にわたり高橋さんの椅子を販売してきました。インタビュー記事では、高橋さんが木工を始める過程を語っています。2月に神保町で行われた高橋さんの個展『カタチの種 デザインのタネ』のトークイベントでも同じような話を聞きましたが、独立した当初は”妻食主義者”を公言していた点などは飾らない三太郎さんの人柄が出ていると思います。

三太郎さんと北海道津別町の家具工房・山上木工さんがタッグを組んで製作しているisu-worksシリーズは、ソリウッドのお客様にもとても好評な木の椅子です。この椅子は三太郎さんが追求してきた自分のもの作りのシステムの集大成でもあります。

“木工家の仕事のスタイルは、自分ひとりで作るか、スタッフと一緒に作り、ある程度の量産を目指すか、そのふたつしかありません。ぼくはそのどちらのやり方も取らずに、自分だけのもの作りのシステムを30年かけて構築してきました。独立して間もないころは自分ひとりで制作していましたが、建築家と仕事するようになってから、納期やコスト、生産数の要望に自分だけではこたえられなくなったからです。縁あって道内の小さな木工所と知りあうことができたので、そこと組んで家具を作る試みをはじめました。”『Crafter』Vol.1より引用−

自分だけのもの作りのシステムを追求していく姿勢はとても参考になります。他の人と同じやり方をしていたのでは差が付かないですからね。

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“使い手と絆を結ぶ インターネット活用術”という連載記事もあります。手づくりモノのマーケットプレイス”iichi”を運営しているiichi株式会社代表取締役の飯沼健太郎さんが担当しています。第1回は”作り手はブログをどう活用すべきか”です。

“このようなブログの中身を充実させ、読者との関係を中長期的に築いていく手法を”コンテンツ・マーケティング”といって、いまインターネット業界で注目されはじめています。「こつこつと同じテーマでブログを書き続けてきた人がネット上で注目されやすい」という流れが出てきたともいえます。このことは専門性の高い手仕事をしている作り手とって、歓迎すべき状況ではないでしょうか。”『Crafter』Vol.1より引用−

ぼくらも兄弟2人で、ブログを毎日更新しています。多くの人に読まれている訳ではありませんが、「ブログ読んで来ました。」というお客様は増えてきています。ブログを書かなければいけないという状況は、少なからず生き方に影響を与えてきます。ブログを書くようになって、仕事に対する見方にも変化がでてきます。要するにネタ探しです。お客様にとって役立つ情報はなにかという視点を常に持って生きていくことになります。

というわけで、雑誌『Crafter』の紹介でした。手仕事とビジネスという一見相反するような事柄ですが、やはりずっと続けていくためにはビジネスとして成り立たないと意味がありません。そこに焦点を当てた誌面作り、従来の書店流通による販売とは違った販売方法など、僕的にはとても共感できる雑誌です。今後も注目していきたいです。

瑞木@相模湖

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