2017.05.20

木材乾燥は重要なんです!【No.1924】

先日のブログエントリーで木材を使用する上で乾燥はとても重要という話を書きました。木の性質を最大限に活かすには乾燥をしっかりさせる必要があります。日本の林業、国産材が外国産木材に負けている点のひとつに乾燥があることは間違いありません。外国産木材を使用する理由のひとつに動きが少ないということがあるからです。でも、これは単に外国産木材だから動きが少ないわけではなく、乾燥がしっかりされているから動きが少ないんですね。

木材の利点を得るためには乾燥がとっても大事です。【No.1920】

でも、いくら乾燥をしっかりとさせても木は動くんですね。こればっかりは止めることができません。無垢材は周囲の環境に応じて水分を吸ったり、放出したりします。乾燥した空気の中に置けば、水分を放出します。湿った空気の中に置けば水分を吸収します。こうした水分のやりとりの影響で木は動きます。

この事を理解していないと無垢材で家具を製作することはできません。

でもどのくらい変化するのかは使用環境や木によって違います。幅が850mmのテーブル天板なら1センチくらいは伸びたり縮んだりしても驚きはしません。これから梅雨の時期になって空気は湿ってきます。なので木材は水分を吸収して伸びます。家具を製作する側からするとこれからの季節は少し注意が必要なんですね。

「乾燥をさせてもこれだけ動くなら乾燥をさせる必要はないのでは?」と思う方もいるかもしれません。私もそう考えた事もありましたが、やはり乾燥は必要です。木は1度水分が抜けると元に戻りにくくなる性質を持っています。木材のヒステリシスと呼ばれる性質です。なので1度含水率を低くすることによって、含水率を低く保ちやすくなるんですね。

木材を屋外などに桟積みして乾燥させる方法を天然乾燥と言います。木材乾燥庫などに入れて人工的に木材を乾燥させることを人工乾燥と言います。天然乾燥と人工乾燥、言葉を並べてみると天然乾燥の方が良さそうに感じます。天然物の魚と養殖物の魚だとなんとなく天然物の方が美味しそうに感じるのと同じではないでしょうか。でも、木材乾燥に関しては天然乾燥だけでは不十分で人工乾燥をした木材の方が安心して使用することができます。人工乾燥は天然乾燥だけでは到達しにくい含水率まで下げる事が可能です。1度低い含水率まで経験させることが重要です。最近の住宅は気密性が高くなって乾燥していることが多いです。なので人工乾燥の必要性が高くなっています。

ソリウッドで乾燥させている板は含水率が10%以下になるまで乾燥させています。現代の気密性が高い住宅の平衡含水率は10%と言われています。要するに木材をそこに置いておくと含水率が10%になるという意味です。なので、含水率が15%の板を置けば10%になるまで水分を放出させます。含水率20%の板を置けば10%になるまで水分を放出させます。逆に含水率5%の板を置けば含水率10%になるまで水分を吸収します。なので、はじめから含水率が10%に近い板で製作しておけば、部屋に置いても水分の移動が少なくて済む訳です。いたって単純な理由です。

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木材乾燥が重要な理由が分かって頂けたでしょうか?木材乾燥は一筋縄にいかない難しい分野ではありますが、その分挑戦のしがいがある分野でもあります。いかに板の損傷を少なく乾燥させるかは木材を有効利用する上でとても重要です。そして面白い分野でもあります。なんでこの板は割れちゃったんだろう、なんでこの板は乾きにくいんだろうと考えるは楽しいです。答えは簡単には見つかりませんが…

なのでこれからもじゃんじゃんと木材を乾燥させて経験値を増やしていこうと考えています。

瑞木@相模湖

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