2014.11.17

ウォールナット材の乾燥具合を掘り下げてみました。

木材乾燥庫に入れてあった板の含水率を計測してみました。

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ウォールナット材の50mm厚の耳つき板です。木材チョークで書かれた数字はその場所の含水率を表しています。赤い数字が乾燥庫に入れる前の含水率です。黒い数字が現在の含水率です。この板を購入したのは2013年の9月です。恐らく製材されてからそれほど時間が経っていない状態だったはずです。そこから約1年間の天然乾燥で15%を切る含水率になっていました。これはかなり上出来な数値だと思います。天然乾燥は時間が掛かります。2年ぐらい経ってやっと15%くらいになる板もあります。そして、天然乾燥では含水率が15%以下には下がりにくいのです。

日本の気乾含水率は約15%と言われています。これは木材の含水率が15%ぐらいで周りの空気の水分量と平衡になっているという意味です。簡単に言うと、ずっと屋外に板を置いておくとそのうちに含水率が15%ぐらいで落ち着くようになるということです。

木造建築の柱などに使われる木材は、含水率20%以下で乾燥材とされています。しかし、室内で使用する家具に使う板はもっと含水率が低い板でないと適切ではありません。気密性が高くなり、冷房・暖房が使われる現代住宅の室内の気乾含水率は約10%と言われています。実際のマンションの室内などは8%ぐらいになっているだろうという報告もあります。そのため、一度含水率を10%以下まで下げた木材を使用するのが適切です。

木材の乾燥具合も樹種によって異なります。含水率が下がりやすい樹種、なかなか含水率が下がらない樹種があります。ウォールナット材は含水率がなかなか下がらない樹種に当たると思います。ウォールナット材は木の周辺部に色が薄い部分があります。白太あるいは辺材と言われる部分です。(多くの木の周辺部分は、中心部分より色が薄くなっています。) ウォールナット材の白太は、水分がとても早く抜けていきます。しかし、色の濃い中心部分はなかなか水分が抜けていきません。

今回計測したウォールナット材は、周辺部と中心部に大きな差がありませんでした。しかし、たいていのウォールナット材は乾燥中期まで周辺部と中心部で含水率の差が大きくでます。周辺部が10%を切っているのに、中心部分はまだ20%なんてことも有ります。そのため、ウォールナット材の乾燥具合を測る時はかならず板の中心を測るようにしています。そうでないと、中心部分は水分がたくさん残っているのに乾燥したと思い込んでしまうことになります。

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こちらは、さきほど紹介した板と同じ丸太からとれた板です。人工乾燥庫に入れる前の含水率です。白太の部分は14%、中心部分は21%と少し差がついていまよね。ただこの板の場合は、中心部分に割れ防止剤が塗られていたのでその影響で差がでたと考えることもできます。割れ防止剤は割れを抑えてくれる便利グッズですが、乾燥するのを妨げるという面もあります。乾燥初期には心強いのですが、乾燥が進んでくるとちょっと邪魔になってきます。なので、人工乾燥に入れる前に削ってしまうこともあります。

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事前に割れ防止剤を削り落としたおかげか、この板も最終的には周辺部分と中心部分で含水率の差がなく乾燥させることができました。

ウォールナット材は乾燥の進みは遅めですが、いったん含水率が下がってしまうとまた上がりにくい材種だと感じています。トチ材などは、含水率が下がるのは早いですが、乾燥庫から出してしばらく室内に置いておくと徐々に含水率が上がっていきます。8%ぐらいに下げた板でも12%ぐらいまで上がって落ちつくようになります。ウォールナット材は乾燥後の変化が少なく扱いやすい樹種ですね。なので、すぐに使う予定がなくても含水率が8%近くになるまで乾燥させてしまいます。逆にトチ材なんかは10%ぐらいまで下がったら一度乾燥庫から取り出して、使う前にもう一度乾燥庫に入れるほうが安心して使えます。(ただトチ材は乾燥による反りや捻れ、割れなどの変化がそれほど大きくはありません。)

瑞木@相模湖

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