2016.06.11

昔から家具材として多用されているナラ材の現状と特徴。【No.1581】

ソリウッドのストレートカットテーブルは6樹種を用意しています。ウォールナット材・チェリー材・メープル材・タモ材・ナラ材・クルミ材です。前3つの樹種は北米産です。アメリカやカナダで伐採された木を使います。後ろ3つの樹種は北洋材で、主な産地はロシア、中国、日本です。ただし、日本産のタモやナラクルミは流通量が安定していないので、多くは海外からの輸入材を使用しています。日本では昔からタモやナラ、クルミといった木を木材としようしてきました。しかし、残念ながら近年では良質な材が採れる木が少なくなってしまいました。

人気があるのはチェリーとウォールナット。どちらも特徴的な色をしています。この人気2樹種に続いて受注を受けるのが、ナラ材です。今日のブログエントリーではナラ材について書いていきます。

ナラも細かく分けていくといろいろなナラがあります。日本に生息しているのはコナラやミズナラです。雑木林によくあるクヌギもナラの仲間になります。テーブルや椅子などに使用されているナラの多くはミズナラです。ナラの仲間の中では1番家具製作に向いていると言われています。日本では北海道産のミズナラが良質として広く知られています。しかし、北海道産のミズナラも産出量が減り、今では広く流通することはなくなってしまいました。

ナラ材は家具以外にも使われています。1番有名なのが、ウィスキーやワインの樽です。ナラは導管が太いので見た目では水分が漏れてしまいそうに感じます。でも導管の中にチロースという成分が含まれていて、これらが水分を通さない働きをしているそうです。だから樽にはナラ材が使用されているんですね。同じナラでもアメリカ産のレッドオーク材はチロースが少ないため樽には向いていないそうです。

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ナラ材で製作した丸テーブルです。ナラ材の色は茶褐色、皆さんがはじめに思い浮かべる木の色に近いのではないでしょうか。オーソドックスな色をしているので、コーディネートしやすい色だと思います。どんなお部屋にもマッチするオールラウンダーの要素も持っています。木目はハッキリと出ます。部分的には荒々しく見えますが、全体を見ると不思議と落ち着いた印象なのがナラ材の特徴でしょう。

ナラ材は乾燥が難しい木材として知られています。乾燥中に木口からパックリと割れることが多いです。そのためあまり幅の広い板目には製材しない傾向があります。板目に挽いた板は割れが入りやすいからです。乾燥中の割れのリスクを低減させるためにナラは柾目に製材することが多くあります。柾目板が手に入りやすい樹種とも言えます。

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材木屋さんに柾目板の在庫がある場合は柾目のテーブル天板を製作することも可能です。こちらは先日納品したナラ材の柾目を使用したテーブル天板です。ナラの柾目には虎斑(とらふ)と言う銀色っぽいギラギラした模様が出ることがあります。

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ギラギラした感じが伝わりにくいですが、木目に交わるように紐状の模様が見えますね。これが虎斑です。柾目に製材するとこのような虎斑が出ます。個体差がありますが、虎斑がとても目立つ場合もあります。上の柾目テーブル天板はそれほど虎斑が目立たない板が使われています。また、柾目板は板目板よりも幅が狭くなります。そのため柾目だとはぎ枚数が多くなってしまいます。

ソリウッドで使用しているナラ材はロシア産の物が多いです。しかし、近年はロシアの輸出政策が変更になりナラやタモの丸太に輸出制限がかけられるようになりました。そのため日本に入ってくる量が激減して値段が高騰しています。しばらくはこの傾向が続くと見られています。ロシア産のナラ材がこのような状況なので、それに替わる木材も材木屋さんや木材商社さんが懸命に探しています。今注目されているのは、東ヨーロッパ産のナラ材です。徐々に東ヨーロッパ産のナラ材が日本にも入ってくるようになりました。何度か東ヨーロッパ産のナラ材を見ましたが、ロシア産のナラ材と見た目の違いはそれほどないように感じました。そして、ロシア産のナラ材が少なくなって俄然存在感が増したのが北米産のホワイトオーク材です。ホワイトオークという樹種名がよく聞かれるようになりました。ホワイトオークは以前から日本に入っていましたが、ナラ材と比べると木目が粗く、細かい干割れが目立つことからあまり人気がありませんでした。しかし、ナラ材が手に入らない状況なので、代わりにホワイトオーク材を使うケースが増えています。

このような状況下なので、ナラ材がいつまで使えるかは不明です。しかし、昔から家具用材として使用してきたナラ材ですので使えなくなってしまうのは残念です。まあ、外国産のナラ材に頼っている状況で贅沢なことは言えないので、手に入るナラ材を大事に使っていくしかないですね。

瑞木@相模湖

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