2013.12.12

近大マグロの次は広葉樹マツタケがくる?

最近話題の「近大マグロ」をご存知ですか?

ひと言でいうと、近畿大学水産研究所が長年研究を続けてきた人工ふ化して育った完全養殖マグロのことです。すでに事業化されており、この近大マグロが食べられるお店が大阪の1号店に続き、先日、東京銀座にオープンしたことで話題になりました。

マグロ資源の減少が叫ばれている中、日本人になじみのあるマグロの完全養殖技術は日本人になじみのある味を守る技術といえるでしょう。個人的にはマグロはそこまで好きではないのですが、完全養殖マグロの味には興味があります。

このブログでまさかの海の話題で驚いた方もいらしゃっるかなと思いますが、実は今日のブログの主人公はマグロではなく、あの森の高級食材なのです。

マグロ以外でもこうした人工栽培の技術研究は進んでいるだろうと思っていたところ、今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていました。

マツタケの菌糸、広葉樹で育つ 森林総研:朝日新聞デジタル(全文を読むには会員登録が必要です)

マツタケがマツ以外の根でも育つ!?

まさに常識を覆す驚きの新発見です!

マツタケはその名の通り、アカマツなどの生きている樹木の根に共生して育つキノコです。マツ(針葉樹)がないと育たないので、収穫量も少なく高価で取引されています。そんななか、記事によると茨城県つくば市にある森林総合研究所がマツタケが、広葉樹である「セドロ」の苗で共生することがわかったと発表したとあります。この研究が進めば、マツタケの人工栽培突破口となるかもしれません。しかし・・

「セドロ」なんて木、聞いたことがない

多くの人がそうだと思いますが、私も知りませんでした。「セドロ」なんて木。試しに家具や内装材によく使われる木の図鑑ともいえる「原色インテリア木材ブック」で調べてみましたが、ここにも掲載されていませんでした。

記事によると

セドロは中南米に分布するセンダン科の広葉樹だ

とあります。

センダン科の木材といえば、有名なのはマホガニーです。チークなどと並ぶ銘木といわれる木材です。マホガニーのなかでも中南米のホンジュラスで生息するホンジュラスマホガニーが最高とされています。残念ながらホンジュラスマホガニーは現在では伐採が禁止されているので、アンティークの家具や長い間乾燥などで保管されていた材で作られた家具でしかみることが出来ません。
ただし、同じような木目や赤褐色の色味をした木材やホンジュラス以外でとれるマホガニー材は、○○(生産地の名前)マホガニーなどの名前で流通しています。
ソリウッドの吉祥寺ショールームにもアフリカンマホガニーのテーブルとチャンチン材の板が展示されています。

広葉樹マツタケに話を戻しますが、この発見がさらに研究され、事業化されればマツタケの価格もさがるかもしれません。でも、産業として実現するには、課題もあります。

「セドロ」の木は日本に生息していない・・・

先ほども書きましたが、セドロは中南米の木。天候も違う日本での大量生育は難しいでしょう。日本でも暖かい地方では、セドロの仲間のセンダンやチャンチンならば生育しているので、これらの樹木でもマツタケが育つのであれば広葉樹マツタケ国内生産の目もでてきます。

なぜ「セドロ」では共生できるかわかっていない・・・

今回の発見、たまたまの要素も多いようです。もともとはマツと性質が近い杉などで実験が進められていましたがうまくいかず、たまたま研究所にあった「セドロ」を使ったところ上手く育ったようです。ですので、理由についてはこれからの研究課題ということになるでしょう。

果たして広葉樹マツタケが我々の食卓にのぼる日がくるのでしょうか?

針葉樹よりも広葉樹派の私は、今後の研究にちょっと期待しています。

賢木@吉祥寺

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