2013.12.02

樹皮の裏側にだって魅力あり

木に携わる仕事について5年目ですが、まだまだ新しい木の魅力を発見することがあります。

製材された板に樹皮をつけたままにしておくと、樹皮にカミキリ虫が卵を産みます。そしてその幼虫が樹皮と木部の間を食べて成長します。幼虫が喰い散らかした痕が耳の部分に残ります。そうならないために樹皮はなるべく早く剥がしておかなくてはなりません。

この樹皮剥がしがなかなか大変。しっかりと木部にくっついている樹皮を剥がすのはとても時間が掛かります。

しかし、伐採時や移動時に傷ついた部分からいろいろな菌が入り込んで樹皮が剥がれやすくなっている部分もあります。

今日はその部分について書きたいと思います。

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これが剥がれやすくなっていた部分のトチの樹皮です。苔がついたりとなかなか面白い表情をしています。何層にも積み重なって樹皮が構成されている様子も分かります。

そしてこの裏側はどうなっていると思いますか?

樹皮の裏側には師部と呼ばれる部分があります。師部は光合成で出来たものを運ぶ役割を担っています。さらに師部の裏側に形成層という成長に関わる細胞があります。この形成層の細胞が分裂することで木は成長をしています。

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これが先ほどの樹皮の裏側です。師部や形成層と思われる部分が菌によって変色しています。

どうです。とてもキレイですよね。通常トチの樹皮の裏側は白いです。ところがこの部分は黒や茶色に変色しています。なんとも言えない不思議な模様になっています。

樹皮を剥がしてこの面を見た時、「おお。キレイ。」と思いました。そして自然が作り出す美の美しさを改めて感じました。

この裏側の模様は今まで見た中で1番キレイでした。捨てるのがもったいなくて、自分の机で保管しています。

樹皮剥がしは結構苦痛な作業ですが、こういうのに出会うとドキドキします。そして、今度はどんな模様を見せてくれるのだろうとワクワクします。

木の魅力を伝えるのが我々の仕事。まだまだ知られていない魅力が隠されているはずです。気にしてなければ気づかない事もあるでしょう。見逃さないように木に接していきたい、そういう思いを強くした発見でした。

瑞木@相模湖

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