2013.12.01

「ごちそうさん」に耳つきテーブル、そしてあいつが・・・

この仕事をしていると、テレビなどにテーブルなどの家具が映るとついついそっちに気がいってしまいます。特に芸能人のお家訪問やドラマの登場人物の家の中が映ると、「ふーん、こういったテーブル使っているのか」とか「お金持ちの設定でこのテーブルはないだろ」とか勝手に考えてしまいます。

なかでも最近放送しているNHK朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」は、家具視点で見ても楽しめます(そんな人いないと思うけど・・・)

こちらのドラマ、時代設定が大正・昭和ですので、もちろん家屋も木造、内装も木が豊富に使われています。綺麗なケヤキの木目がでている框扉の食器棚や虎斑がばっちりはいったナラ材の棚、桐箪笥など日本の古い家具が勢揃いです。さらにドラマの重要テーマが「食」でもあるので、ご飯シーンがよく出てきます。そうなると必然的にテーブルが映る機会も増えてくるわけです。

今日はこのドラマに出てくるひとつのテーブルに注目して紹介したいと思います。

主人公は大阪に嫁いだのですが、そこにいる義理の姉との関係が上手くいかず、追い出されるようなかたちで家をでていってしまいます。友人の紹介で喫茶店「うま介」にしばらく身を置かせてもらうことになります。

その「うま介」店内に少し大きめのテーブルが置いてあります。材は、定かではありませんが松(パイン)材のように見えます。そして、耳がついています。(もしかすると、耳風にする加工かもしれませんが・・・)こんな感じのものです。

「うま介」の耳つきテーブル

いますね、あいつが・・・そう、ちょうちょ型をした木片「ちぎり」です。

4カ所ほど埋め込まれています。実際に撮影に使われているテーブルは表面もキレイなので、当時から使われていた古いものではないと思います。ですが、「ちぎり」に関しては伝統的な手法なので、その当時から使われていた可能性はあります。「ちぎり」があったから採用されのかもしれません。

それでは、改めて「ちぎり」を少し解説します。このブログでも再々紹介していますが、木は乾燥の過程において割れてしますことがあります。テーブルに加工する前から割れている場合は、その割れがさらに広がるのを防ぐために木片を埋め込む工夫が施されます。その際に埋め込まれる木片が「ちぎり」です。カタチは、昆虫のちょうちょに似ているものが使われることが多いです。機能的にはこのようなカタチでなくても良いのですが、デザイン的なアクセントにもなるようちょうちょ型が採用されることが多いようです。

ソリウッドでも、割れがある板を使う際は、「ちぎり」を入れるようにしています。「ちぎり」に使う樹種は何でも良いのですが、アクセントとするためにテーブル本体の色味とは異なる色味を使うことが多いです。

ちぎり使用例

「ごちそうさん」に出てくるテーブルでは、はぎ面(板を接ぎ合わせてある場所)に規則的に用いられているので、割れに対する処置ではなくデザイン的な意味合いで使われているといえるでしょう。接ぎには通常、接着剤が使われるので、「ちぎり」だけで接ぐことはあまりありません。つなぎとめておくには抑える力が弱いので。

さて、「うま介」の耳つきテーブル。主人公が家に戻ることになったので、今後の登場があるかはわかりませんが、「ごちそうさん」を観ている方もこのブログをみて気になった方も注目してみてください。

賢木@吉祥寺

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