2016.09.14

割れには「チギリ」を入れて対処します【No.1676】

無垢材テーブルに使う材は、伐採された状態では水分が多く含まれているのでそのままでは水分が蒸発した際に、木材が反ったりよじれたりして狂いが出てしまいます。そのため、家具に使われる無垢材は十分に乾燥させ、木材の中に含まれている水分の割合が一桁パーセントになるぐらいにします。ソリウッドの耳つきテーブルで使用する板は、材木市場で仕入れ、しばらく外に置いて天然乾燥をさせます。半年から1年をかけ、含水率が20%程度になるのを待ちます。その後、乾燥の仕上げとして人工乾燥庫にいれ、7〜9%程度まで含水率を落とします。人工乾燥の方法はいくつかやり方がありますが、ソリウッドでは赤外線を使った低温乾燥を行っています。

乾燥をさせる工程で最も嫌なことは板が真っ二つに割れてしまうことです。元々、水分があったところの水分がなくなるので、その部分が縮みその影響で表面が割れてしまうことはよくあることで、自然なことです。割れが入ってしまうと、歩留まりが悪くなってしまうのでできれば割れてほしくないのです。でも、割れが入ってしまったから全てが使えなくなる訳ではありません。しっかりと対処をすれば立派なダイニングテーブルなどになります。

割れへの最も基本的な対処に使うのが「チギリ」です。あまり聞き慣れない言葉ではありますが、無垢材家具の世界ではよく使われる単語の1つでもあります。普段は「チギリ」とカタカナ表記を使うことが多いですが、漢字で書くと「千切り」となります。「チギリ」は、乾燥などの工程で割れてしまった部分に、割れが広がらないように埋め込むチョウチョ型の木片を指します。チギリを入れることで、割れが進行することを防ぎます。「チギリ」の一番の目的は割れの進行を妨げるためですが、デザイン的にあえて「チギリ」をいれる場合もあります。お客様のご要望で、割れのないところに「チギリ」をいれるケースも少なくありません。チョウチョ型の木片が良いアクセントになり、少し可愛らしい印象の天板になります。

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上の画像は以前に納めさせて頂いたタモ材の耳つきテーブルです。テーブル天板の右奥に色が違うチョウチョ型の模様があるのがみえると思います。ごれが「チギリ」です。天板はタモ材ですが、「チギリ」はあえてウォールナット材にして、コントラストをつけました。こちらの天板に使った板には割れが入っていたわけではないので、こちらの「チギリ」は意匠要素で追加しているものです。なので、別の場所にしたり、複数個いれることも可能です。また、「チギリ」をあまり目立たせたくないようでしたら、同じ材や同じ色味の材で作ることも可能です。

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こちらが本来の使われ方である割れている箇所に施されている例です。割れている部分にそのまま「チギリ」だけを埋め込むこともありますが、ソリウッドでは基本的には割れて隙間が出来ている部分はプラスチック性の樹脂で埋めて天板が平滑に仕上がるようにしています。樹脂は割れている部分だけでなく、節で穴があいてしまったり、入り皮などで段差が生じてしまっている場合、虫穴などで穴が空いている場合などにも使われます。「チギリ」もそうですが、これらは木材の欠点になってしまうような箇所でもちょっと手間をかけてあげれば、デザイン的なアクセントになったり、マイナス点を補うことが出来るので木工にとってはとっても重要なことになります。

ソリウッドのテーブルでいうと、このような「チギリ」を施すのは耳つきテーブルになります。4辺がまっすぐにカットされているストレートカットテーブルはサイズオーダーで製作しますが、これらのテーブルでは表に「チギリ」がくるようなことはしていません。裏に小さな節などがありそこが割れていたりすると「チギリ」を施すことはありますが、基本的には表にはきません。

耳つきテーブルの場合は、現物や写真などで使う板をお客様に提案してからご注文を受けるので、「チギリ」がはいる場合も予めお客様にどこにどうはいるのかを予め説明することができます。そのため、イメージが把握しやすくなります。また、本来「チギリ」を入れる必要がなく、デザイン的に「チギリ」を入れてみたいという方は、スタッフにご相談ください。

賢木@吉祥寺

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