2015.12.12

長年使用した木材乾燥機をリニューアルしました。【No.1399】

なんだか暖かい日が続きますね。ようやく寒くなったかと思ったら大雨+気温20度越えとなんだかおかしな天気だったりします。昨日は本当に変な天気で、工房の機械の定盤が結露してなんだか作業しづらい状況でした。今日は1日晴れていましたが、太陽が出てる間は暖かく感じるような日でした。こういう気温や天気の変化は無垢材を扱う者にとっては厄介な問題です。温度や湿度が安定してくれると、木材も安定します。ところが、温度や湿度が急激にコロコロ変わると木材は水分を吸ったり、放出したりします。水分を吸うと木材は伸びます。逆に水分をはき出すと木材は縮みます。この伸び縮みが木材の反りや割れの原因になります。

しっかりと乾燥させた木材でもこの伸び縮みは起きます。だから無垢材は厄介な素材と言われています。でもそうした性質を理解して構造を考えれば問題なく使用することが出来ます。もちろん、長い間水平や直角を維持したり、僅かな反りすらも許されない部分に無垢材を使うことは出来ませんが…テーブルや椅子、棚などの家具に使用する分ならなんら問題はありません。だから、我々は無垢材を使用した家具を製作している訳です。

しかし、それもしっかりと乾燥させた木材を使用するという前提の上に成り立っています。木材を使用する際に乾燥はとっても大きなテーマなのです。でも木材乾燥なんてあまり注目されるテーマではありません。木工と言えば製作する事に関心がいきがちで、材料となる木材の乾燥まで詳しい人というのはなかなかいません。木材乾燥は家具製作者の仕事というよりは材木屋さんの仕事になっています。今では材木屋さんから簡単に乾燥した木材を購入することができますからね。

ソリウッドでは相模湖工房設立時から木材乾燥庫を導入して、みずから木材の人工乾燥を行ってきました。大規模な家具製作工場は木材の人工乾燥機をもっている事が多いですが、小規模の工房で人工乾燥機をもっている所は少ないでしょう。でも時代の流れでだんだんと木材乾燥は家具製作者から離れていっています。大きな木材乾燥機を持っていた工場もそれらを手放したという話をよく聞くようになりました。しかし、ソリウッドでは時代の流れに逆らって木材乾燥庫を増設して自ら板を乾燥させることに力を入れています。

この度、古くなった木材乾燥機を撤去して新たな木材乾燥庫を作りました。
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とってもシンプルな木材乾燥庫です。今までここに設置されてた木材乾燥機はこんな感じでした。

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従来の木材乾燥機はこうした機械仕掛けのものです。今でももっとも普及している蒸気式の木材乾燥機です。ボイラーの蒸気を利用して庫内の温度を高くします。また大型のファンを回して風を起こして庫内の空気を循環させていました。庫内の温度は60度ぐらいになります。このタイプの木材乾燥機は中温乾燥型と位置づけされています。庫内温度が100度近くになるタイプを高温乾燥としています。庫内温度を高くできるタイプの乾燥機はより大がかりな物になります。その分乾燥時間が短縮できるメリットはありますが、稼働コストが高くなるデメリットがあります。そしてなにより木材に与えるダメージが大きいです。

新しく導入した木材乾燥庫は蒸気式ではなく遠赤外線式です。なので構造は至ってシンプルです。遠赤外線式の木材乾燥庫はまだまだマイナーな存在ですが、これらかの時代にはとってもマッチした木材乾燥システムだと考えています。ボイラーを稼働させたりや大型モーターを回す必要がないため、稼働コストが安いです。二酸化炭素を排出することもありません。音もいっさい出ません。ただ、低温で乾燥させるために時間は掛かります。それでも外に置いておくよりかは遙かに早く乾燥します。

ソリウッドでは既にこのタイプの木材乾燥庫を稼働させていて実績を積み上げています。現在製作している耳つきテーブル天板は低温で時間を掛けて乾燥させた板を使用しています。低温でも含水率を10%以下に下げることは可能です。木材乾燥の歴史をみると、時間を掛けずに含水率を下げることに焦点が当てられていました。そのためにとても大がかりなシステムが必要となりました。でも今は大量生産、大量消費の時代ではなくなったので多少時間が掛かっても良いのでエコで質の良い木材乾燥をすべきだと思います。

新しい乾燥庫はまだ試験運転段階ですが、すぐに本格稼働できる予定です。試験的に動かし始めた2日前に乾燥庫内にいれたウォールナットの板は順調に含水率を下げています。元々含水率は割と低めで17%でしたが、丸2日で13.2%まで落ちています。これからいろいろテストして新しい乾燥庫の能力を確認していきます。

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瑞木@相模湖

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