2015.05.10

桶作家の座卓の樹種は・・・

こういう仕事をしていると、出先で見た家具やテレビ・雑誌などのメディアに写っているテーブルについつい視線がいってしまいます。1年半ぐらい前には当時のNHK朝の連続テレビ小説で主人公が頻繁に通うカフェに耳つきテーブルが置いてありました。その時のブログエントリーはこちら

「ごちそうさん」に耳つきテーブル、そしてあいつが・・・

そして、またしてもNHK朝の連続テレビ小説で耳つきテーブルが登場しています。今放送されているのは、「まれ」という能登地方を舞台にしたドラマです。時代設定は現代です。主人公の希(まれ)さんは、訳あって能登の元民宿を営んでいた桶作さんのうちに家族でお世話になることになりました。実際は、元々民宿兼住宅なので、部屋は余っているので、強引に下宿させてもらっている感じですが・・・

希の家族4人と桶作さん夫妻が、食事をする居間に大きな耳つきテーブル(座卓)が置いてあります。しかも、1枚板で見た感じ厚みが10cmくらいあります。ですから、めちゃくちゃ存在感があります。写真を掲載できないのが残念です。拙い絵で恐縮ですが、テーブルのイメージ図(上からみた図)はこんな感じです。実際のテーブルはこのイメージ図の10倍はかっこいいです。

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色味は中心部分は濃い赤褐色で、テレビの画面を通してですが、うようよとした杢に近い模様も確認ですます。耳の周辺部分である辺材は、少し緑がかった白褐色をしています。ひと目みたときに、「ブビンガの1枚板だ!」と思いました。おそらくブビンガで合っていると思いますが、よくよく考えるとカリン材の可能性もあるなと思っています。ドラマの全部の回もみているわけではないので、もしかするとドラマの中で樹種が特定できる話があったかもしれません。

さて、ブビンガ材やカリン材は聞き慣れない材だと感じる方もいらっしゃいます。無垢材のフローリングやテーブルを検討していないと出会わない単語かもしれません。

ブビンガ材、カリン材ともにマメ科に属する木です。色味も赤が強い褐色で見た目のインパクトが強いのも共通した特徴です。ブビンガ材は主に赤道に近いアフリカ諸国で採れます。非常に重くて堅い木です。家庭用のダイニングテーブルとしても使われますが、長く幅もとれるので、飲食店のカウンター天板など大きな家具にも採用されることが多いです。ソリウッドでも10〜15年ほど前ぐらいには、ブビンガ材でもカウンター天板などをよく製作していたと聞きます。当時は価格もそれほど高くなかったので、加工は大変ですが頻繁に使われていました。景気の低迷もあり飲食店の内装コストが抑えらるようになり、さらにはブビンガ材自体の価格が上がったことも影響し、最近ではブビンガ材の仕事は減ってきています。ソリウッドの相模湖工房には数年前までは幅の広いブビンガ材の在庫が残っていましたが、それらのほとんどを使ってしまったので、テーブルが1つ製作出来るぐらいの板しか残っていません。

一方のカリン材は、タイ、ミャンマーなどの東南アジアで生育するマメ科の木です。使用用途は、1枚板テーブルの天板やフローリングが主です。カリンは個体によって重さが変わるようで、ブビンガ材のように比重0.9があるものもあれば、0.4ぐらいの軽いものもあるようです。ソリウッドでは、メジャーな樹種ではありません。私も入社して以来、カリン材の家具を受注して、製作したことはありません。

カリンと聞くと黄色い実がなる植物を思い浮かべる方も多いと思います。果実に含まれる成分が咳に効くとされていて、カリン飴やカリン酒といったものも存在します。ですが、こちらのカリンはバラ科の植物で、家具などに使われるカリン材とは全く別の種類になります。

さて、朝の連ドラ「まれ」ですが、明日の放送から舞台が能登から横浜に移ってしまうそうです。主人公のまれさんがパティシエになる夢を追いかけて能登をでて横浜で菓子作りの修行を行うようです。桶作家は能登にある設定ですから、もうあの1枚板の立派な座卓は見られないかもしれません・・・ちょっと書くタイミングが悪かったですね・・・

賢木@吉祥寺

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