2015.02.02

鑿(のみ)を買ったらしなければいけない事。

木工をする際に使う道具類は単純な物が多いですが、永く使うためには最初に仕立てをする必要があります。基本的には使う人が知っていることを前提に販売されているので、説明書などはついていない事がほとんどです。道具屋さんでも聞かない限りは説明してくれることも少ないと思います。

新しく鑿(のみ)を1本購入したので、本日のブログエントリーは鑿の仕立てについて書くことにします。

鑿を買ったらしなければいけない事は、

1.カツラを落とす。

2.刃をつける。

の2点です。

150202_3.jpg
鑿の柄の先端に金属の輪っかが嵌めてあります。この金属の輪っかをカツラと呼んでいます。鑿は玄翁で叩いて使うことがあります。カツラが無い状態で柄を玄翁で叩くとすぐに柄がつぶれて裂けてしまいます。そうならないようにカツラがついています。

カツラがついていない鑿の柄もあります。そうした鑿は玄翁で叩く事を前提に作られていないので玄翁では叩かないでください。

購入時は、上の写真のようにカツラがピッタリと納まっています。このままの状態で玄翁で叩くと、カツラが叩かれて内側に伸びていきます。伸びた部分が柄にかぶさっていきそのうちにカツラがとれてしまいます。そのようにしてとれてしまったカツラをもう一度つけるのは大変です。伸びた部分をヤスリで削ってからでないとつけられません。

そうならないために、最初にカツラを下げておきます。
150202_4.jpg
一度カツラを外します。どうやって入れているか分かりませんがぴっちり嵌まっているので、手でスポッと抜くことはまず無理だと思います。いろいろ方法がありますが、僕はモンキーレンチでカツラの下側を押さえて上から細い金属の棒をそえて玄翁で叩いて柄をカツラから抜いています。

カツラを外したら、カツラが嵌まっていたすぐ下側を鑿で少し削ります。カツラが少し下がるようにするためです。少し削ったらその部分を玄翁で叩きます。木殺しという作業です。

そしてもう一度カツラをのせて、カツラを叩き込みます。昔はバールなどをかけて叩いていました。今はカツラ落とし専用の道具が売られています。それを被せて叩き込みます。

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どういう方法でもいいので、とりあえず写真のような状態にしてください。次に飛び出ている柄の部分を玄翁で叩きつぶしてカツラに被せるようにします。

150202_6.jpg
このようにしておくと、玄翁で直接カツラを叩くことがないので、カツラが伸びることがありません。

次に刃をつけます。刃をつけるとは研ぐとほぼ同じ意味です。今回購入したのは、1分鑿です。刃の幅が1分(約3ミリ)の鑿です。刃先を見てみると、とんがっていません。このままでは使えないので研いで刃先をとんがらせます。基本的に、鍛冶屋さんは、刃をつける所まではしないことが多いです。最終的には購入した人が研いで刃を付けることが前提になっています。

刃をつけたら使えるようになります。このような作業を使う前にしなければいけないんですね……

おまけですが、鑿の柄の部分はラッカーが塗られている事が多いです。これがテカテカしていてかっこ悪い。おまけに滑りやすくもあります。僕はシンナーでこのラッカーを剥がしてしまっています。今回のは、ラッカーではなかったですがなにか塗られていたので、シンナーで拭き取ってしまいました。まあ、流通段階で汚れないようにラッカーなどを塗って保護しているのでしょう。別にそのまま使ってしまっても構いませんが、気になる方はシンナーなどで拭き取ってしまいましょう。

ソリウッドでは、鉋(かんな) や鑿(のみ)といった手道具を使って家具を制作する木工教室を開催しています。最初の1年は基礎コースに所属してもらいます。基礎コースの1回目では今日紹介したような道具の仕立てを行います。興味のある方は木工教室のWebサイトをご覧下さい。2015年4月スタートの基礎コースの生徒さんを現在募集しています。

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