2018.05.19

砥石は使えば使うだけ減って薄くなっていきます。【No.2288】

木を使って何かを作る上で必ず必要となるものに刃物があります。木を切ったり、削ったりするのに使う刃物です。そして刃物は必ず研ぐ必要が出てきます。

鉋や鑿を研ぐのには砥石が必要になります。砥石には大きく分けて2種類あります。天然砥石と人造砥石です。砥石は粗さで荒砥石、中砥石、仕上げ砥石に分類されます。普段使うのは中砥石と仕上げ砥石です。それぞれの砥石で天然砥石と人造砥石がありますが、荒砥石と中砥石に関しては人造砥石がほとんどです。仕上げ砥石は天然砥石と人造砥石が使われています。

ソリウッドの木工教室では、共有の仕上げ砥石を用意しています。天然砥石を使っていた時期もありましたが、今は人造の天然砥石を使用しています。切れ味に関しては天然砥石の方が切れるとされていますが、刃物との相性もあるので一概には言えません。また天然の仕上げ砥石は硬くて研ぎにくいものもあります。初心者には柔らかい砥石の方が研ぎやすいです。最近の人造砥石は天然砥石に匹敵するほどに性質がよくなっているとも言われています。使ってみた感覚でも人造砥石で研いだから切れ味が劣るということはないですね。砥石よりも研ぎ方の方が切れ味に大きく影響すると思います。

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手前が今まで使用していた人造の仕上げ砥石です。「北山」という砥石を使っています。砥石は使っていくとどんどんと減って薄くなります。薄くなって使いづらくなったので新しい砥石を購入しました。奥に写っているのが新しい砥石です。全く同じものです。新品と比べてみると、こんなに薄くなったんだというのが改めて分かりますね。

砥石は使っていくと真ん中が凹んでいきます。そのまま使い続けるとうまく砥ぐことができないので、その都度平らに修正して使います。なので、どんどんと減って薄くなってしまうんですね。砥石の表面を平らに修正するのにはいくつか方法があります。一番てっとり早いのがダイヤモンド砥石を使ったやり方です。

ダイヤモンド砥石は研磨力が高く、表面が減らないので使用する人が増えています。普段の研ぎでダイヤモンド砥石を使うことはほとんどありませんが、刃が欠けてしまった時などに使います。私はもっぱら砥石の面直しに使っています。砥石の上にダイヤモンド砥石を置いてこすります。そうすると砥石の表面が削れて平面が出ているダイヤモンド砥石と密着するようになります。こうして砥石の表面を平らにします。砥石の表面を平らにする作業をすることで砥石が擦り減っていきます。単純に刃物を研いでいるだけでは減る分はわずかです。でも、それだと砥石の表面を平面にキープすることは難しくなります。

使用している「北山」という仕上げ砥石ですが、柔らかいので幅の狭い鑿を砥ぐと刃が食い込んでしまうことがあります。なので修正頻度が高く、減るのが早いです。それでも切れ味はまずまずなので今回もこの砥石を購入しました。普段使いなら全く問題ないですね。

もっと切れ味をよくしたい場合は天然砥石を使った方が良いです。ただ、天然砥石は高価なので勿体無いとも言えます。使えば使うほど減っていってしまいますから。現在では天然砥石の採掘はほとんど行われていません。現在流通している天然の仕上げ砥石は過去に採掘されたものです。なのでいずれ天然砥石は無くなってしまう運命です。

砥石もハマりだすととても奥が深い世界です。特に天然砥石に関してはコレクターもいるくらいですので…私は砥石に関してはそんなに詳しくないです。でも、研いでみると研ぎやすい、研ぎにくい、硬い、柔らかいなどの区別はつきます。個人的には刃の黒幕シリーズは研ぎやすいと思っていて、よく使っています。

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