2016.06.13

無垢材家具は木が動くことを前提にして製作しています。【No.1583】

今日は本格的に雨が降っていました。久しぶりに本降りの雨が降った印象でした。梅雨に入ったので当たり前と言えば当たり前ですが… 今日は外で作業をする予定にしていましたが、無理でした。雨が降るとこうしたスケジュール問題も発生しますが、もっと重大な問題も生じてきます。木を扱うものにとっては厄介な季節の到来です。

無垢材は動くと言われています。実際に動きます。周りの空気の状況によって、水分を吸収したり、放出したりします。それに伴って動くわけです。梅雨のこの時期は湿度が高くなります。湿度が高くなると木は水分を吸収します。水分を吸収すると木は伸びます。動きが生じるのは、板の幅方向です。無垢材は幅方向で伸び縮みをします。長さ方向はほとんど動くことはないです。ソリウッドで使用している板は使用する前に充分に乾燥をさせています。乾燥をさせることでこうした動きは最小限に止めることは出来ます。しかし、完全に動くことを止めることはできません。そのため、ある程度は動くことを想定して製作をすることになります。

ジメジメした天候が続くこの時期は板が最も膨張する時期です。この時期に製作したものは、冬になると若干縮みます。逆に乾燥した冬場に製作したものはこの時期になると膨張します。なので、季節によって木の状態が変化していることを頭に入れて作業することになります。

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これは厚みが40mm以上ある天板に使用している反り止めです。コの字型をした鉄製の金具を埋め込んでテーブル天板の反りを防いでいます。ここにも天板は湿度に応じて伸び縮みすることを前提に製作している痕跡をみることができます。まず反り止めの長さです。テーブル天板裏に彫り込んだ溝よりも反り止めの金具は短くなっているのが分かると思います。彫り込みんだ溝にピッタリとハマる長さの金具を使用するとかえって反りを助長させることになる場合があります。板が縮んで反り止め金具が突っ張った状態になると天板が反る可能性が高いです。なので天板が縮んでも反り止め金具が突っ張らないように金具は溝よりも短くしてあります。見た目はピッタリとハマっていた方が良いですが、板の収縮を考えるとこのようにするのが最適です。

また、反り止め金具を固定するためのビス穴も長穴にしてあります。これも板が伸び縮みしてもその力を逃がしてあげるために長穴にしてあるのです。

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背板に関しても収縮も考慮しています。背板は特に要望がなければ合板を使用することになります。合板は収縮することがないので背板や引き出しの底板に使用するのにはとても使い勝手が良いのです。しかし、合板ではなく無垢材にして欲しいという要望を受けることがあります。上の写真は木工教室の生徒さんが製作した卓上収納棚です。右側の背は無垢材を使用しています。パッと見は単にはぎ合わせた板を背に入れているように見えますね。でもそうすると収縮して上手くいかなくなってしまいます。接着剤で固定するのではなくフローリングのように溝を掘ってはめ込んであります。こうしておけば1枚1枚が縮んでも全体に大きな影響を与えることなく済ませることができます。

引き出しの底板も無垢材を使用する場合は同様の加工をしています。底板に無垢材を使うと格好は良くなりますが、引き出し自体の重さは重くなります。

また梅雨の時期はオイル塗装についても厄介な問題が生じます。湿度が高いと塗ったオイルが乾きにくくなります。一度塗ったオイルは乾かしてからもう一度塗る必要があります。一度目の塗装が乾かないと二度目の塗装にいけません。この時期はオイル塗装した家具を冷房が効く事務室にいれて乾かすようにしています。それでも乾きにくくなるので、乾燥時間が他の季節よりも余計に掛かってしまいます。

というわけで、梅雨は無垢材家具製作にとっては厄介な季節なんです。

瑞木@相模湖

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