2015.11.03

チェリー材とヤマザクラ材の木目は受ける印象が違います。【No.1360】

昨日のブログで北米産のブラックウォールナット材とアジア産のクルミ材の違いについて書きました。ウォールナットは日本語に訳すと”くるみ”です。でも、家具や木材業界ではウォールナットとクルミは違うものを指します。ウォールナットとは言ったら通常は北米産のブラックウォールナット材を表します。同じようにクルミといったら国産もしくは中国、ロシア産のクルミ材のことを表します。紛らわしいですが、明確な違いがあるので注意が必要です。詳しくは昨日のブログエントリーをご覧下さい。

ウォールナット材は北米産、クルミ材はアジア産。同じクルミの仲間でも色が違います。

今日のブログエントリーでは同じように英語と日本語で表現されると違う樹種を表す他の例を紹介します。ブラックウォールナット材と並んで北米を代表する広葉樹チェリー材も同様に北米産と国産では違う種類になります。まずはチェリー材のテーブルを見てみましょう。

これが納品した際に撮影したチェリー材のダイニングテーブルと椅子です。少しピンクがかったオレンジ色をしています。チェリー材は空気に触れることで色が変化していきます。はじめはこのような色をしていますが、段々と色が濃くなって行きます。最終的には艶のある焦げ茶色になります。経年による色変化が楽しめるのがチェリー材の特徴になります。

チェリー材もウォールナット材同様に周辺部分と中心部分では色が違います。周辺部分はとても白っぽい色をしています。チェリー材もウォールナット材同様に白太の部分は表面にでないように木取りしています。ウォールナット材に比べると白太の率が少ないですね。

チェリー材の耳裁ち材はコンスタントに日本に入ってきています。量も価格も安定しているので、家具を製作する側の視点から見ると使い易い木材になります。硬さや加工のしやすさを普通で扱いやすいのも助かります。

チェリーは日本語に訳すと”さくら” です。日本で”さくら”と言うとなんといっても春に綺麗なピンク色の花を咲かせるソメイヨシノを思い浮かべるでしょう。ソメイヨシノは花の観賞用に作り出された樹種なので、木材と使用させることはほとんどありません。大木になると中は空洞になっていて木材として使用できる部分が少ないのが主な理由です。また、真っ直ぐ伸びないで変形して成長することも木材利用価値を低めています。

木材として使用されている”さくら”はヤマザクラです。ヤマザクラはソメイヨシノに比べると花が遅く咲き、花の色も白っぽいです。相模湖工房には1本ヤマザクラが植えてあります。花が咲くのとほぼ同時に葉もでるので、花だけが咲いている時間はとても短いです。ヤマザクラ材をみるとソメイヨシノがいかに観賞用に特化しているのかがよく分かります。

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ヤマザクラ材の耳つきテーブルです。チェリー材同様に製作当初はオレンジ色をしています。段々と色が濃くなっていくのもチェリー材とあまり違いはあります。ただ、ヤマザクラ材の方が少し緑っぽい印象があります。チェリー材も時々緑っぽい色をしている板があります。が、ヤマザクラ材の方がその頻度が高いように思います。このテーブル天板もよく見ると緑っぽい色をしている所があります。

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チェリー材と比べると木目の様子がワイルドです。チェリー材の方が大人しい印象を受けます。ヤマザクラ材は木目がワイルドで力強い印象を受けます。色は似ていますが、木目の様子が両者では少し違います。

残念ながらヤマザクラ材は流通量が少ないです。コンスタントに手に入れることが難しい材種です。また、乾燥が非常に難しい材です。目が粗いヤマザクラ材は乾燥中にビックリするぐらい捻れます。数年前に仕入れたヤマザクラ材が工房にありますが、桟積みして外で天然乾燥させておいただけなのにとっても捻れています。なので、目の詰まったヤマザクラ材を手に入れたいのですがそうした材はとっても少なくなってしまいました。人工乾燥に入れるとさらに捻れる可能性が高いので、できるだけ長い時間天然乾燥させてから人工乾燥させるようにするため、使えるようになるまで時間が掛かります。

チェリー材の方が乾燥は易しいです。わりとあっさり水分も抜けて形の変化も少ないです。先月いった材木市場で質の良さそうなヤマザクラ材を仕入れる事ができました。長さが短いのが残念なのですが、目が詰まっていて綺麗な表情をしています。まずは乾燥中にどうなるかですが、じっくりと乾燥させて短いテーブルかデスクを製作したいと考えています。ヤマザクラ材はリスクも高いですが、完成したときの綺麗さは半端ないのでいつも期待して仕入れています。

瑞木@相模湖

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