2016.07.15

北米産のブラックチェリー材と国産のヤマザクラ材について。【No.1615】

先日のブログエントリーで、ウォールナット材とクルミ材のテーブルを紹介しました。ウォールナット材は北米産のくるみでブラックウォールナット材とも言われています。中心部分が濃い茶色をしていて、この色が人気の秘訣です。ソリウッドでもずっと人気があります。世界的にも人気があり、近年は価格が急騰しています。一方、クルミ材は日本や中国、ロシアなどに生えているオニグルミという樹種です。ブラックウォールナットとは色が全く違います。中心部分は薄い茶色をしています。ブラックウォールナットに比べると若干柔らかく感じます。

ウォールナットとクルミのように、同じ仲間でも産地によって色や性質が違う樹種があります。ウォールナット材と同じく北米産を代表するチェリー材、日本では”さくら”ですね。さくらの仲間はいろいろな樹種があります。1番有名なのは、ソメイヨシノのですが、これは観賞用の木で木材としての利用は限定されています。ソメイヨシノは大径木になると中が空洞になるものが多いようです。さらに曲がって育つ木が多いため製材しにくいのも木材利用がされにくい理由だと思います。

日本の”さくら”で木材利用されるのはヤマザクラ材です。ヤマザクラは日本で自生していた天然種のサクラです。ソリウッドの相模湖工房にもヤマザクラが1本生えています。ヤマザクラはソメイヨシノに比べると花の色が白っぽいです。花が咲くと同時に葉も出てくるのが、花だけを愉しむ時間のあるソメイヨシノとの違いでもあります。そういった点でもソメイヨシノは観賞用に改良されているんだなと感じます。

ヤマザクラ材は家具用としても利用されていますが、版画の版木などに昔から使われています。それなりに堅い材なので、彫るのは大変ですが、何度刷っても磨り減りにくいので版木にヤマザクラ材が選ばれてきたようです。粘りがあるので細かい彫りでも欠けにくいのもヤマザクラが選ばれる理由だと思います。木材用としての板はそれほど多く流通していません。ヤマザクラ材は人気があるので、なかなか手に入りにくいです。また、目の粗いヤマザクラ材は乾燥時の狂いが激しいのでなかなか使いにくいです。

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ヤマザクラ材で製作した耳つきテーブルです。写真では分かりにくいですが、チェリー材よりもワイルドな木目をしています。色は似ていますが、ヤマザクラ材の方が緑がかっている印象があります。なかなか手に入らないヤマザクラ材の幅広い板ですが、現在ソリウッドの工房には乾燥済みのヤマザクラ材の板が2枚あります。近いうちにこの2枚を削ってみます。どんな木目になるか愉しみです。

北米産のチェリー材は日本でも流通量が豊富です。ストレートカットテーブル用の板は幅が200mm前後のものが多く、製材・乾燥が終わった状態で日本に入ってきます。こうした板は既に樹皮がついていた部分はカットされているので、ストレートカットテーブルや棚系の家具に使用します。

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チェリー材はヤマザクラ材同様に緻密な木目をしています。散孔材といって導管が狭く、不規則に存在しているため木目はあまりハッキリとは出ず、曖昧な感じです。手触り感もスベスベしています。ストレートカットテーブルの場合はだいたい5~6枚の板をはぎ合わせます。流通量が豊富なので、多くのメーカーでもチェリー材が使われています。ソリウッドが取り扱っている椅子メーカー3社でもチェリー材を選択できることができます。

耳つきテーブル用の板も手に入ります。これらの板は丸太のまま日本に入ってきます。丸太のまま輸入され、日本の製材所で製材されています。これらの板は幅が400mmから600mm程度です。チェリー材やヤマザクラ材は1枚でダイニングテーブル天板になるような幅の板がほとんどありません。なので、2枚はぎでテーブル天板になるような板を探すのが現実的です。

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こちらは納品したチェリー材耳つき2枚はぎテーブル天板です。チェリー材やヤマザクラ材は幅広い材になるとメラメラと見えるような杢が現れることがあります。この板もそうした杢が現れています。

ヤマザクラ材もキレイな木目がでるので、たくさんテーブル天板をつくっていきたいんですが……いかんせん流通量が少ないので、なかなか製作することができません。でも、材木市場で見かけた時は積極的に仕入れていきますので、ちょいちょい作っていくことになります。チェリー材の方は在庫もありますので、どんどん乾燥させて耳つきテーブル天板を作っていきます。よろしくお願いいたします。

瑞木@相模湖

 

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