2015.04.03

含水率30%以下になると木材は収縮を始めるって本当にそうなの?木材乾燥の不思議

4月になりましたね。新年度、新学期ということでなにかとバタバタする季節ですが、当ブログをご覧頂きありがとうございます。新年度となると何か新しい事を始めたり、勉強する意欲なんかも湧いてきますよね。私も勢いよく英語の本を買ってみました。購入したのはこちら。

150403_3.jpg
木の種類をまとめた事典系の書籍です。もちろん日本語の類似書はいくつかあります。でも敢えて英語の本を選んでみました。国が変われば樹種に対する捉え方なんかも変わると思ったからです。そして、新しい発見ができればラッキーかなと。

あともう一つ、以前のブログエントリーで書きました”世界三大銘木のなぞ”についてなにか分かることがあるかもしれないと思ったからです。詳しくはこちらのブログエントリーをご覧頂ければと思います。

世界三大銘木のうちのひとつと言われるウォールナット材とはどんな材なのか。

簡単にまとめると、日本ではウォールナット材・マホガニー材・チーク材を世界三大銘木と呼んでいるのですが、その根拠がわからないということです。日本語以外のこうした事典にもその旨が書かれていれば、まあ納得できる訳ですが…いろいろと調べてみていますが、今のところ根拠を発見できていません。もし、この本に”世界三大銘木”について触れられていればと思っていますが。まだ、到着したばかりでパラッと見ただけなので、じっくり読み込んでみようと思います。

通説の中には、根拠がはっきりしないものがあったりしますよね。あるいは、こうだと言われているけど本当にそうなのか?と疑問をもつ事もあったりします。今日はそんな話をしたいと思っています。

かなりマニアックな分野ですが、私の職務には木材乾燥もあります。要するに木を乾燥させて使えるようにする仕事です。大学などで専門に学んだ訳ではありませんが、一応木材乾燥の原理などは勉強して知識として身につけています。木材乾燥について勉強したり、少し調べると必ずこういう説明がされています。

“木材の水分には「自由水」と「結合水」の2種類があります。「自由水」は細胞の間になどに溜まっている水分で、「結合水」は細胞壁内に存在して化学結合しいる水分です。乾燥が始まるとまず「自由水」が抜けていきます。含水率30%までは「自由水」が抜けるだけなので木材の収縮や変形は起きません。含水率30%以下になると「結合水」が抜けて、木材の収縮が始まります。”

私も訓練校に通っていた時に授業でこうした説明を受けました。その時は「なるほど、そうなんだ」と思っていました。しかもテストに出題されるなど結構重要な事柄だったと記憶しています。

でも、実際に木材乾燥をしてみると例外がたくさんあることに気がつきます。むしろ、例外ばかりでこの説明通りに綺麗に事が進むことなんかないのではないかと感じるようになりました。

例えば、
150403_2.jpg
材木市場で仕入れてきたヤマザクラ材です。工房の敷地に桟積みしておいていましたが、めちゃくちゃ反ってます。上に木材が乗っているにも関わらず反ってます。上の材がずり落ちそうになっているのが分かりますよね。

そしてその部分の含水率を計測してみると
150403_1.jpg
まだ30%以下になっていません。理論上は反ったりしないはずですが…

この材は購入した直後に測った含水率は50%以上。(この水分計では50%以上は正確な数値はでません。)すでに1ヶ月ぐらいは反った状態なので、含水率50%以上から31%に落ちる過程で反ったのは明らかです。

まだ、結合水は抜けてないんじゃないの? 含水率30%以上では、収縮や変形は起きないのではないの?

理論上はそうなのかも知れませんが、実際はそんなに単純ではありません。含水率30%以上ある板で反ったり、割れたりした板は無数にあります。というかほとんど含水率30%以下になる前に割れたり反ったりしています。なので、私は経験上、自由水や結合水の話は信用していません。結構自信を持って含水率30%という数字を出してみますが、実際はそんなに厳密に30%を境にして変化するものではないと思っています。よって私は含水率30%という数字には興味ありません。

だから本気で割れや反りを防ごうとするなら、製材直後になにか対策をしないと駄目なんですね。

瑞木@相模湖

お問い合わせContact

TEL:0422-21-8487
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-3 2F
(営業時間: 12:30〜18:00/定休日:火・水曜日)
お問い合わせフォーム
Facebook Twitter Instagram Pinterest