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家具屋で働く双子のブログ
家具用の無垢材には人工乾燥が必要です。
木は水分を多く含んでいます。木を木材として使用するためには乾燥させる必要があります。水分を抜くことで強度が上がり、加工もしやすくなります。そして、1番重要なのは木材の変形を少なくさせることです。
伐倒されて製材されたばかりの木材は、まだたくさんの水分を含んでいます。手で触っても湿っているのを感じる事ができます。水分を多く含んだ木材は、空気に触れることで水分が徐々に抜けていきます。水分が抜けることで細胞のひとつひとつが縮み、全体的に体積が減ります。水分が減って体積が減る過程で木材の形が変化します。その際に反ったり、割れたりしてしまいます。
そのため乾燥が不十分の木材を使って家具を製作した場合、完成後にも水分が抜けていき変形してしまいます。当然割れたり、崩壊したりする事があります。そうならないために、充分に水分が抜けた乾燥した木材を使用する必要があるんです。
木材の乾燥具合を調べる時に使われるのが含水率という数値です。これは木材に含まれる水分量を数値化したものです。木材の含水率は木材含水率計で計測することができます。
これが僕が愛用している木材含水率計です。オーストリアのメルリン社の非破壊式高周波木材水分計です。木材含水率計にはピン型といって木材に小さいピンを2本刺して計測するタイプのものがあります。このタイプは木材に小さな穴をあけることになります。しかし、このメルリン社の水分計はセンサー部を木材に当てるだけで25mmから40mmまでの厚さまでの含水率を計測することができます。木材にキズをつけることがないのでたいへん重宝します。気にせずいろいろな部分の含水率を測ることができます。サイズもコンパクトで軽いので上着のポケットに入れて持ち運ぶことが可能です。
木材の乾燥には天然乾燥と人工乾燥があります。天然乾燥とは、屋外に桟積みをして置いて乾燥させる方法です。人工乾燥とは、乾燥庫に入れて人工的に温度・湿度・風を調整して木材を乾燥させる方法です。天然乾燥は場所さえあればできてしまうメリットがありますが、時間がとても掛かります。場所によっても異なりますが、最低1年は置いておかないと駄目でしょう。しっかりと乾燥させるためには2~5年ぐらいは置いておく覚悟が必要です。それでも乾燥不十分なんてこともあると思います。なぜなら日本の環境だと木材の気乾含水率は約15%だからです。
【気乾含水率】
大気中に放置された木材が大気の温度条件と湿度条件に対応し,含有水分が平衡(へいこう)に達した状態の含水率。日本では平均15パーセント。標準含水率。(大辞林 第3版 より引用)
要するに木材を屋外にずっと置いておくと含水率が15%になるよということです。別の見方をすると15%以下にはなりにくいということです。
日本の室内の平衡含水率は約10%と言われています。冬のエアコンが効いた部屋の中ではもっと低くなる場合もあります。つまり含水率15%の木材で製作した無垢材の家具は水分を放出します。それに伴って材が縮みます。これでは反りなどの変形が起こりやすくなってしまいます。そのため、一度10%以下まで含水率を下げた木材を使用した方が反りなどの変形が起こりにくくなります。
含水率を10%以下にするためには、人工乾燥が必要です。天然乾燥だけではなかなか到達することができません。なので、ソリウッドでは必ず人工乾燥させた材料を使用することにしています。材木屋さんから人工乾燥が済んだ木材を購入することもありますし、自社の木材乾燥庫で人工乾燥させた木材を使用することもあります。
材木市場で仕入れてきた板は製材されたばかりの未乾燥材がほとんどです。これらの板は半年から1年間、屋外で天然乾燥させます。その後、人工乾燥庫に入れて含水率が8~10%になるようにします。仕入れたばかりの板の含水率はだいたい50%以上です。半年から1年間の天然乾燥で30%以下まで落ちてきます。天然乾燥の段階でなるべく含水率が下がっていた方が、人工乾燥の期間も短くなり、材の変形も少なくなります。
ちょうど今日、工房に届いた未乾燥のミズメ材。含水率を計測すると50%以上ありました。桟を入れずに重ねてあったので、中の板はカビが結構入っています。削ればカビは亡くなるはずです。しばらく立て掛けて置いておこうと思います。その後、桟積みするようにします。
今日のブログエントリーで言いたかった事は、木材は乾燥が大事だよということです。エアコンの効いた室内で使用する家具に使う無垢材は人工乾燥が必要ということも重要です。
瑞木@相模湖
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