2014.09.06

割れた板は割れた板で上手く使えるように考えるのも木工屋の仕事です。

仕入れてきた板が割れるというのは非常にショッキングな出来事です。幅広い板は、長い年月が掛かって成長した木からしか得ることができません。そうした意味でとても貴重なものです。そんな貴重な板がある日パックリと割れたら、そりゃもう…

板を仕入れる際はある程度出来上がりと販売価格を想定しています。この板ならこう仕上げていくらで売れるという計算をしてイケると判断できれば仕入れます。そうした計算も板が割れることでパーになります。ほんと痛いんです。これが木材を扱う商売を難しいものにしている1つの要因だと思います。でも、どんな板も割れる可能性を持っています。なので、それを踏まえて考えなければいけないんです。

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ウォールナット材の幅600ミリ程度の板です。同じ丸太からとれた2枚の板があったので、耳つき2枚はぎテーブルにしようと思っていました。ところがこのようにパックリと割れてしまいました。仕入れてきてそのまま外で桟積みをして乾燥させていましたが、ある日見てみるとこのような割れが入っていました。板の真ん中でパックリ割れているので幅広く使用することができなくなりました。耳つき2枚はぎテーブルに使用するのは断念して、幅の狭い耳つき板を2枚とって耳つきの多数枚はぎテーブルを製作する事にしていました。

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真ん中に割れが入っているので、真ん中で割ります。

割れの入った板は、割れ易い板でまた割れたりするのではないか?と思う方も多いかもしれません。確かに割れ易い性質をもっていると言えますが、乾燥中に溜まった圧力は割れた事で既に開放されています。乾燥を済んでいるので、また割れるということは考えにくいです。また、割って幅が狭くなれば割れるリスクも少なくなるので、安心してもらって構いません。

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リッパーという機械で幅を整えます。リッパーは粗木取りをする際に使う機械です。上に刃がついていて高速で回転しています。下側にコンベアーがついているので自動で板が送り出されていきます。

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こうして割れた板から幅250ミリ程度の耳つき板が2枚とテーブルの垂れ止め用の部材を取る事ができました。幅広く使えなくなった事は残念ですが、こうして耳つきの板がとれれば立派な製品にすることができます。

さて、こうした割れを防ぐことができるのかという問題がありますが、割れを防ぐことは出来ません。特に幅の広い板は…
割れを防ぐためにいろいろと工夫して施策を施していますが、根本的に解決策はありません。割れの拡大を防ぐ狙いで施す施策の代表がカスガイです。

カスガイはコの字型をした金属製の金具です。これを割れている箇所を跨ぐようにして叩き込みます。大きなホッチキスの芯のような物と思えば想像しやすいかもしれませんね。親切な材木屋さんは少し割れいる部分にカスガイを打ち込んでおいてくれます。

しかし、カスガイを打ったからといって割れの拡大を完全に防ぐ事はできません。
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カスガイがあっても見事に割れています。仕入れた当時の割れは木口から数センチあった程度です。カスガイは仕入れた時点で既に打ち込んでありました。天然乾燥の時点で割れが拡大していましたが、人工乾燥させたらますます割れは拡がりました。このようにカスガイを打っても割れる時は割れます。ただ、カスガイを打って無くて割れると”ああ、カスガイ打っておけばよかった…”と後悔するわけです。なので、おまじない的な要素だと思っています。

瑞木@相模湖

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