2017.05.16

木材の利点を得るためには乾燥がとっても大事です。【No.1920】

日頃から木を扱う仕事をしているので、木に関する事にはやはり関心があります。最近は林業にも関心があります。日本の林業は斜陽産業と言われてから久しいですが、やはり頑張ってもらいたいと思っています。日本の林業は針葉樹を中心に発展した経緯があるので、広葉樹林業は産業として成り立っているのか微妙な感じであります。私自身は林業についてちゃんと勉強をしたわけではありませんが、自分なりに本を読んだり、ネットで検索したりはしています。先日、『森林業 ドイツの森と日本林業 スギ・ヒノキの木材栽培業から、森のめぐみをていねいに引き出す総合林業へ』村尾行一・著 築地書館 という本を見つけたので、読み進めています。まだ序盤しか読んでいませんが、至るところになるほどと思う記述があり勉強になります。林業に関する基礎知識がないので、読み進めるのはなかなか大変ですが全部読んだ所で感想をこのブログで書こうと考えています。

目次を見てみると第4章は「乾燥の重要性」となっています。第4章の冒頭には乾燥の重要性について貴重な記述がありました。

木材には極めて優れた長所が多々ある。例えば強度一つとっても鋼鉄やコンクリートよりも遙かに強い。さらに常識と違うが実は火事にも強い。熱伝導率が低いからである。しかしこうした諸長所は木材の含水率がいわゆる平衡含水率以下-昨今の木材使用態様からすれば含水率9%-になるまで充分乾燥させてはじめて発揮される利点なのである。

木材の長所を活かすのも乾燥がしっかりされていないといけません。ソリウッドで使用している木材は人工乾燥を施して含水率が10%以下になった木材を使用しています。特に未乾燥材を仕入れて製作している耳つきテーブル用の板はソリウッドに設置してある木材乾燥庫を使用して板の平均含水率が10%以下になるまでしっかりと乾燥させています。

木材が乾燥しているかどうかは見た目では判断しにくいです。見ただけでは乾燥しているのか乾燥していないのかを判断するのは困難です。なんとなく乾いているかなというのは経験で分かりますが、含水率までを把握するのは無理だと思います。木材の含水率を計測するには木材水分計という機器を使用します。

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これが木材水分計です。スイッチをオンにして比重による補正スイッチを動かして木材に当てると瞬時に含水率が表示されます。上の写真は乾燥庫に入れてあったウォールナット材に水分計を当てたときのに撮ったものです。13.2%なので、もう少し乾燥させる必要があります。ウォールナット材は板の中心部分と端の部分では水分の抜け進度が全然違います。板の端の方は比較的はやく水分が抜けていきます。含水率が10%以下になるのも早いです。しかし、板の中心部分はなかなか水分がぬけません。端の方が10%以下になっていても中心部分は含水率が20%以上ある場合も多くあります。なので、含水率を計測する場合はかならず複数箇所の含水率を計測しています。

乾燥の進度は樹種によって違います。ウォールナット材はかなり遅い部類に入ります。逆に水分が抜けやすい樹種もあります。カバ材は水分が抜けるのが早いです。また、水分が抜けるのにともなって木材は反ったり捻れたりしますが、その具合も樹種によって全然違います。動きの少ない樹種は材木を扱う者にとってはとても有難いので重宝されます。逆に動きの大きい樹種は敬遠されがちになります。動きの多い樹種の代表格はカエデ材です。ソリウッドの木材乾燥庫で何度もカエデの板を乾燥させていますが、多くは真ん中でV字に反ってネジました。そのままで平面をだそうとするととっても薄くなってしまいます。なので、真ん中で割ってから平面を出すようにしています。そのためカエデ材の2枚はぎテーブルは製作するのが難しく最近は4枚はぎテーブルにすることが多いです。

樹種によって乾燥進度や変化は異なりますが、乾燥をさせないといけないことには変わりはありません。木材は乾燥をしっかりすることによって魅力が増す素材なんです。

瑞木@相模湖

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