2015.10.02

過去に製作した中で印象に残っている耳つきテーブルを紹介します。【No.1328】

10月になり材木業界はシーズンインというわけで、にわかに活気がでてきているようです。私は材木屋さんのブログをいくつか読んでいますが、やはりシーズンインに触れているブログがいくつかあります。私も今月は材木市場に行って耳つきテーブル用の板を仕入れてこようと考えています。

その前に工房の外に桟積みしている板を整理整頓してみました。整理してみると、「ああ、こんな板も仕入れたなあ…」というのを思い出します。まだWeb上に情報をアップしていない板もあったので、時間を見つけて写真を撮ってアップしようと思っています。が、乾燥後の板をアップするための必需品である電気カンナが壊れてしまったので少し時間が掛かかりますね。乾燥後の板は、汚れやシミがついていて木目の様子を窺い知る事ができません。なので、電気カンナで表面をちょっと削ってから写真を撮っています。

さて、今日は過去に製作した耳つきテーブルの中から思い出深い耳つきテーブル天板を取り上げて紹介したいと思います。耳つきテーブルはどれも1点物なので、過去の物を紹介しても意味がない部分もあります。でも、どんなテーブルを作っているかでその工房の傾向というのを知ることができると思います。

まずはこちらから。
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ミズメ材の耳つき4枚はぎテーブルです。同じ丸太から採れた板をはぎ合わせているので、全体の統一感がでていると思います。ミズメ材はカバの仲間です。ミズメザクラと呼ばれることもありますが、サクラの仲間ではありません。材木業界ではカバ材の事をサクラ材と呼ぶ習慣があったためこのような呼び方があります。ミズメ材の特徴はきめ細かい木目だと思います。カバの仲間なのでカバ材に似ていますが、カバよりももっと繊細できめ細かい感じがします。木目が非常に綺麗なので人気がありますが、流通量が少なくなかなか市場に出てきません。

このミズメ材も見た目が決して良い板ではありませんでした。割れている部分が多く幅広く使えない板を上手く組み合わせてできた耳つき天板です。
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これが元の板です。3枚とも真ん中に長い割れが入っています。割れが長く深いので、そのままでは使えないと判断しました。なので、真ん中で割って200mmちょっとの幅の板にしました。その板をはぎ合わせて天板にしました。元の板に欠点があってもちゃんと処理したり、工夫をして組みあわせれば立派な天板になります。割れが入ったり、節があったり、反ってしまった板は材木業界では価値が下がると言われていますが、そうした板を上手く使うのが家具工房の腕の見せ所だと考えています。もちろん欠点のない板も仕入れていますが、欠点のある板も価値ある家具にするのが我々家具工房の使命でもあります。無垢板は欠点がある板の方が多いです。欠点のない板というのはとっても少ないんですね。だから欠点があっても使っていくのが大事な事だと思います。そうした意味で欠点のある板を上手く活かせたのがこのミズメ材の耳つきテーブル天板でした。

もう1台紹介しましょう。
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トチ材の耳つきブックマッチ天板です。本を開いたようにはぎ合わせているのでブックマッチと呼んでいます。ブックマッチは木目がほぼ左右対称になるのが特徴です。ブックマッチ天板は2枚はぎの場合によく使う方法です。このトチ材は入り皮という部分がたくさん含まれています。入り皮は成長途中に樹皮を内側に巻き込んだ痕です。樹皮がゴツゴツしている樹種によく見られる現象です。トチ材の他はカエデ材などによく見られます。入り皮が適度に混じっているためにとても個性的な天板になりました。入り皮部分は穴があいたりもしているので、合成樹脂で埋めています。埋める手間が掛かりますが、適切な処置をすればとても綺麗になります。トチ材の白くて綺麗な部分と入り皮が入ったワイルドな部分が半分半分でトチ材のアラカルトみたいになっているのが気に入っていました。

どちらの天板も製作して吉祥寺ショールームに展示をしていました。展示を開始して割とすぐに気に入ったお客さまがいて購入して頂きました。これからも木の表情を活かした天板をたくさん製作していきたいです。

瑞木@相模湖

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