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家具屋で働く双子のブログ
世界三大銘木のうちのひとつと言われるウォールナット材とはどんな材なのか。
※2017年6月15日 追記 : 関連するブログエントリーへのリンクを追加しました。
※2017年10月19日 追記:関連するブログエントリーへのリンクを追加しました。
※2019年6月10日 改訂 : 内容の一部を変更しました。
ウォールナット材は世界的に人気のある樹種です。日本では北米産のブラッンクウォールナット材をウォールナット材と呼んでいます。マホガニー・チークと共に世界三大銘木のひとつと言われていて、高級家具材と広く知られています。今日はそんなウォールナット材とはどんな材なのか、書いていきます。
まず、世界三大銘木のひとつと言われるとなんだかとっても良い木材って感じがしますよね。実際にウォールナット材は、特有の濃い茶色をした木材で、加工もしやすく素晴らしい材なのは確かです。
でも、なんだか世界三大銘木という言葉がひとり歩きをしているようで、ちょっと怖い印象もあります。
この世界三大銘木ですが、木材事典などでウォールナット材を調べてみると、必ず書かれています。私の手元に2冊の木材事典がありますが、どちらもウォールナット材の項目において、マホガニー・チークと共に世界三大銘木とされると書かれています。
インターネット上で調べてみても、ウィキペディアにもその旨が掲載されています。家具屋さん、家具工房の樹種紹介の項目にもかなりの頻度で、ウォールナットは世界三大銘木のひとつと書かれています。私もブログでそう紹介したことがあります。
でも、なぜウォールナット・チーク・マホガニーが世界三大銘木なのかについて言及している事典やWebサイトはありません。不勉強で申し訳ありませんが、私も知りません。そもそも、いつの時代に、だれがそう認定したのか全くわかりません。限られた時間ではありますが、インターネット上でその由来などを調べてみてもはっきり分かりません。
もしかして、この世界三大銘木って都市伝説的なものなのではないでしょうか?
“世界三大銘木”という言葉がひとり歩きをしているようで怖いと冒頭で書きました。それはなぜかと言うと、マホガニーとチークの現状を考えるとウォールナットも同じ道を歩んでしまうかもしれないからです。マホガニーは高級木材としてよく知られていますが、現在は”本物”のマホガニーの流通はほとんどありません。ワシントン条約で伐採が規制されているためです。ソリウッドで販売しているマホガニーはアフリカンマホガニーといってアフリカに生えている”マホガニーに似た”木です。本物のマホガニーは中南米産です。でも中南米産のマホガニーが現在正規のルート流通していることはほぼありません。あまりに多く伐採されてしまったために、無くなってしまったんですね。なので、伐採が規制されています。
チークにも同じことが言えます。チークは東南アジアで採れる木ですが、こちらも現在は伐採が規制されています。現在流通しているチーク材は以前に伐採されていたものになります。もしくは違法に伐採されて裏ルートで流通しているものです。
チークもマホガニーも、優れている木材であることから多くの木が伐採され数を減らして絶滅の危機にさらされてしまっているのです。
ウォールナット材に関しても昔(20世紀以前とかの話かもしれません)は、ヨーロッパのウォールナット材が重宝されていたようです。しかし、それらも多く伐採され数を減らしてしまいました。現在ウォールナット材として世界中に流通しているのは、北米産のウォールナットです。ブラックウォールナットやアメリカンウォールナットと呼ばれている木です。幸いな事にアメリカは林業が文化として山林地域の人々の生活に定着しています。持続可能な林業が確立されていて、すぐに枯渇してしまう状況ではありません。それでも、昔に比べると質が悪くなっているし、大きな木が減っていると言われています。
という訳で、”世界三大銘木”という言葉は慎重に使った方が良いと思います。さらに気になったので、英語版のWikipediaでウォールナット材を調べてみると、”世界三大銘木”という説明は書かれていません。マホガニーの項目を読んでみても、ウォールナット・チークとともに世界三大銘木と言われているという記述は見当たりません。(私の英語力に問題があるかもしれませんが…気になる方は読んでみてください。マホガニーに関してはとても長いです。ほんと長いです。それもあって私が見落としている可能性もあります。本場のWikipediaはこういうものなのかと感じました…)
チークについてはどうなのかと思うでしょう。当然ですね。すみません、まだ見てません。マホガニーの項目で僕の微力な英語力のせいで、心が折れました。しかし、ウォールナット・マホガニーの2項目で書かれていないならチークにも書かれていない気がします。(希望的予測)
おそらく、日本でのみ、ウォールナット・マホガニー・チークが”世界三大銘木”であると言われているのではないでしょうか?(僕の不勉強であったらすみません。) でももしそうだとしたら、なんだか無責任のような気がしませんか?
残念ながら、アメリカンウォールナットもマホガニーもチークも日本では採れません。輸入に頼るのみです。その状況下でこれらの木はとても美しく、貴重だからとたいした根拠もないまま”世界三大銘木”だといって消費するのはなんだか申し訳ありません。しかも、マホガニーとチークの現状を考えるとますますそう思います。
なので、”世界三大銘木”という言葉に踊らされてウォールナット材やマホガニー材やチーク材を求めるのは思い止まってもらいたいです。他の材とよく比べて、いろいろ検討にしてやっばりウォールナット材が良いなとか、チーク材が良いなという判断をしてもらいたいと思っています。
根拠はわかりませんが、この3つの樹種を三大銘木と言うのは間違ってはいないと思います。マホガニーやチークの実物を見た経験は少ないですが、画像などをみるとやっぱり綺麗です。だから木材業界にいる我々も気軽に、深く考えずに、ウォールナット・マホガニー・チークが世界三大銘木と言ってしまうのだと思います。
長くなったので、続きは明日に。
→世界三大銘木のうちのひとつと言われるウォールナット材とはどんな材なのか。その2
追記 : googleで「世界三大銘木」と検索されてこのブログに当たった方が多いと思います。世界三大銘木について改めて書いたブログエントリーがありますので興味がある方はこちらもご覧ください。
追加 : 世界三大銘木と呼ばれているウォールナット材を使ったテーブルについてまとめたブログエントリーです。ウォールナット材のテーブルをお探しの方はぜひご覧ください。
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