2019.06.21

木を知る。~環孔材と散孔材の違い~

※2019年6月21日改訂 : 内容の一部を変更しました。

広葉樹には道管(導管とも表記されます)という組織がぎっちりと詰まっています。道管は水分や養分を伝導するための管です。文字通りに管状の組織になっています。木にはいくつかの道管配置パターンがあります。この配置パターンは大きく分けて2つに分類されます。

環孔材と散孔材です。

環孔材とは道管が環状に並んでいる材です。木口を見ると道管がどう並んでいるかが分かります。

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このように年輪に沿って導管が並んでいます。環状に孔が空いているから環孔材です。

上の写真は環孔材の板の木口をルーペで覗いたものです。ちなみに横断面のことを木口と言います。木の口と書いて”こぐち”と読みます。

ルーペで覗くと導管の存在がハッキリと分かりますよね。

環孔材の特徴は、導管が太い事です。

 

一方、散孔材は道管の配列が整っていません。全体に満遍なく道管が散らばっています。なので散孔材と呼ばれているんですね。散孔材の導管は細いです。

おおまかに言うと環孔材の導管は太くて、散孔材の道管は細いのです。

ではこの道管の太い、細いがどう影響してくるのかという話をします。

ズバリ、道管の太さは手触りに影響してきます。

道管の細い散孔材は手触りがスベスベしています。イタヤカエデ材・メープル材・ウォールナット材・チェリー材などです。特にイタヤカエデ材は触り心地は超スベスベしています。ルーペで覗いてみると導管の存在がギリギリ分かるぐらいの細さだということが分かります。木口を覗くと微かに点々と細い導管の存在を見る事が出来ます。

木材の表面には道管の縦断面がが無数に並んでいます。言い換えると道管の縦断面があるところは凹んでいます。なので、目では見えにくいですが、実際の表面は凸凹しているわけです。道管が狭いと縦断面の深さも少ないです。道管が太いと縦断面の深さは深くなります。なので、細い道管の材はスベスベした触り心地で、太い道管の材は少し凹凸を感じる触り心地になります。

ナラ材・タモ材・ケヤキ材は環孔材です。環孔材の道管は太いのでザラザラとまではいきませんが、少し凹凸を感じます。散孔材に比べるとスベスベ感は劣ります。

 

環孔材と散孔材の違いは見た目にも影響してきます。環孔材は木目がハッキリと現れます。逆に散孔材は木目が淡くなります。

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環孔材のタモ材の耳つきテーブルです。木目がハッキリと出ているのがわかると思います。

ちなみにこちらのテーブルの脚は黒く着色したウレタン塗装を施しています。脚に使った木材はブナ材です。ブナ材は散孔材で道管はとても細い木材になります。天板と同じタモ材を使用してもいいのですが、より綺麗に着色塗装ができる散孔材を選んでいます。環孔材にウレタン塗装しても木目を消すことができません。導管が深いので完全には埋まらないんです。ところが、散孔材に着色ウレタン塗装をすると塗料で道管を埋めやすくなり、よりフラットな塗装面が出来上がります。パッと見、木っぽくない印象になります。

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こちらは散孔材のイタヤカエデ材のテーブルです。タモ材に比べると木目が明瞭ではないですよね。散孔材で導管が細い木材はこのような表情をしています。

ウォールナット材やチェリー材は散孔材ですが、カエデに比べると導管は太めです。なので、割と木目はでます。タモ材とカエデ材の中間といった感じです。

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ソリウッドの吉祥寺ショップには木材の道管を見るためのルーペが置いてあります。

ルーペで覗いてみると導管の存在がハッキリと分かります。知っているようで知らない木の様子を知ることができます。ホワイトオーク材は道管が太いので、凹凸がよく分かります。ショールームに置いてある散孔材(カエデ材・ウォールナット材・チェリー材など)のテーブル天板もルーペで覗いてみると、道管の太い、細いが分かると思います。

木を知ることでより木を身近に感じることができると思うので、一度覗いてみることをお薦めします。

 

 

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