2014.03.07

こんな事をやって木材を乾燥させています。

※2017年6月15日 追記: 末尾に関連するブログエントリーへのリンクを追加しました。

無垢材を家具として使うためには乾燥をする必要があるという話を聞いた事がある方は多いと思います。木材の乾燥は、無垢材家具を製作する上でとても重要な 行程です。乾燥が甘いとのちのちに板が割れたり、反ったりしてきます。ソリウッドでは、ご購入頂いたお客様に安心して使用して頂くために、人工乾燥庫に入 れてしっかりと乾燥させた板を使用しています。耳つきテーブルに使用する板の多くは、ソリウッドに導入している乾燥庫を使用して自前で乾燥させています。

上手く乾燥させるために、人工乾燥に入れておく前にしておくと良い事を紹介します。木材乾燥の現場を知る機会はあまりないでしょう。こんな事もして木材を乾燥させているんだということを知るとより無垢材に興味・愛着が湧くのではないないかと思います。
これから挙げる3点は、木材乾燥業界で当たり前に行われていることではありません。ソリウッドで木材乾燥を担当している私が考えだした作戦で、実践をしてそれなりに効果があるとわかったモノです。

割れ防止剤は削り落としておく。
割れは穴をあけて止める。
反りを防ぐためにヒモで縛る。

割れ防止剤は人工乾燥の前に削り落とす。

製材されたばかりの板に、割れを防止する塗料を塗ることが多くあります。板には乾燥しやすい部分と乾燥がなかなか進まない部分があります。含水率の差がが多くなると、板が割れてしまいます。それを防ぐために木口や板全体に割れ防止剤を塗っておきます。
割 れ防止剤は割れを防ぐ効果はありますが、乾燥が遅くなる欠点も持っています。ある程度乾燥が進んだら、割れ止め防止剤を削り落としてしまった方が早く乾燥 が終わります。そこで、天然乾燥中は割れ防止剤を塗ったままにしておきますが、人工乾燥庫に入れる際にはこれを削り落とすようにしています。

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ミ ズメの板です。仕入れ時には片側だけ割れ防止剤が塗られていました。この割れ防止剤は塗膜が厚く、しっかりと板をガードしてくれます。雨に濡れる可能性が ある外での天然乾燥中には、板が濡れてカビたり、シミができるのを防いでくれる役割もあります。しかし、片側だけ塗られている状態は良くありません。表と 裏で乾燥進度に違いがあると板の反りの原因になります。実際にこのミズメの板の場合は、塗られている面と塗られていない面で含水率が約10%違っていまし た。このまま、人工乾燥庫に入れると反る可能性が高いので割れ防止剤が塗られている面はハンドプレナーで表面は削りました。

割れは穴をあけて止める。

多 くの板は乾燥中に木口から割れが入ります。木口面に割れがはいるのは珍しいことではありません。むしろ木口に割れがない板の方が珍しいぐらいです。 15cmぐらいの割れは入るものと見ています。しかし、それ以上に割れが入ると長さを長く採れなくなったりします。そうならないために、割れは短く止めて おきたいのです。

割れの拡大を防ぐのに、カスガイを打つ方法があります。コの字型をした金属を木口に打ち込んで、割れの拡大を防ぎます。 しかし、あまり効果がありません。大きくパカッと割れることは防げますが、割れが進むのを食い止める効果は薄いです。そこで考えだしたのが、穴を開けて割 れを食い止めるという方法です。木口から割れが入ったら、その割れの先にドリルで穴を開けます。そうすれば、割れがそこで止まります。失敗例もあります が、これまで試みた8割ぐらいは成功しています。(たまたまかもしれませんが……)

140307_1.jpg

先ほどのミズメの板。木口から少々割れています。このまま、乾燥庫に入れれば割れが先に進むのは確実です。なので、割れの先に穴を開けました。ここで割れが止まってくれれば、長いテーブル天板にすることが可能になります。

ヒモで縛る。

板 が反ったり、ねじれたりした場合、その反りやネジレを取ると板が薄くなります。ある程度の反りやネジレが仕方ないので、予め5ミリから10ミリは厚みに余 裕をもって製材しています。しかし、なるべくロスなく厚く使いたい板もあります。その場合は、ヒモで縛って、乾燥庫の下の方に入れます。下に入れると、上 に数枚の板が乗ります。その重みが掛かるのでの変形を多少抑えてくれます。ヒモで縛るのは、板を自由に動かさないためです。ものすごい効果がある訳ではあ りませんが、やらないよりはマシかなと。

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こ のミズメの板は厚み50ミリです。天板用としては少し薄めに製材されています。仕上がりで厚み40ミリは確保したいところです。なので、縛ることにしまし た。使うのは荷造りテープ。よりピンと張るために角材を挟んでいます。緩いと効果はないので、少しでもきつくなるようにしました。

と、こんな感じでいろいろと工夫して木材を乾燥させています。他にもラップでグルグル巻き作戦なんてのもあります。前にブログでちらっと紹介している作戦なので、知っている方はいると思います。もしかしたら後々またブログに書くかもしれません。

天然乾燥も人工乾燥も、ただ板を置いておくだけ、ただ乾燥庫に入れるだけでは上手くいきません。木材の性質や乾燥原理などを頭に入れて、よりよく乾燥させるためにいろいろと知恵を絞っています。

追記:木材乾燥についてのブログはこのエントリー以外にも結構書いています。興味がある方は木材乾燥に関係する他のブログエントリーをぜひ読んでみてください。

木材乾燥はワクワクする仕事のひとつ。

木材乾燥から行なう耳つきテーブルのメリット。【No.1377】

意外と木材を乾燥させるためには時間が掛かるんです。【No.1637】

木材乾燥は重要なんです! 【No.1924】

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