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家具屋で働く双子のブログ
木材乾燥はワクワクする仕事のひとつ。
3月27日のブログエントリーでワクワクする仕事ということで、自然の面白みが満載の板に出会うことについて書きました。今日のブログエントリーはその続きで、もう一つのワクワクする仕事”木材乾燥”について書きます。3月27日のブログを読んでいない方はこちらからどうぞ。
→製作するのに手間は掛かるけど、自然の面白み満載の板に出会うとワクワクします。
木材乾燥のワクワクする点は、”なかなか思い通りにいかない”ということです。乾燥させる板は広葉樹がほとんどですが、樹種によっても乾燥度合いは違うし、木材の動きも全く違います。同じ樹種の板でも、板が変われば性質も異なります。同じ丸太から採れた板でも反る板や反らない板、割れる板や割れない板があります。要するに我々の予想を超えた現象が起こるかもしれないから”ワクワク”するんです!!
木材乾燥を語るうえで必ずでてくるのが「含水率」という単語です。私が書いたブログでも「含水率」はよく出てきます。含水率とは、その板が含んでいる水分量を表しています。製材したばかりの板は、含水率が50%以上あります。含水率を測るには水分計という装置を使います。含水率が高過ぎると水分計で計測不能になるので実際はもっと高いかもしれませんが、製材したての板に水分計を当てると50%を越える数値がでます。
木材乾燥はこの50%を越える数値を約10%以下にする行程です。木造建築用の柱や梁などに使う材は20%以下で乾燥材になります。しかし、屋内で使う家具に関してはもう少し乾燥させないといけません。15%ぐらいでも乾燥していると言えますが、10%以下にしておく方が安心です。残念ながら含水率が何%以下なら乾燥材と言えるのか明確な基準はありません。材木屋さんの認識をそれぞれで、製材から時間が経っていれば”乾燥している”と言う人もいます。
しかし、実際には時間が経っていても充分に水分が抜けていない場合もあります。そのため、水分計で含水率を測って確認することが大事です。
真ん中に写っている黄色のが木材水分計です。これを板に当てると含水率が表示されます。その脇に書いてある数値は実際に測った含水率の数値です。黒い数字が乾燥庫に入れる前の含水率で、赤い数字は乾燥庫からだした後に計測した含水率です。自分で乾燥させている板は、このように実際に水分計で含水率を計測して板に書くようにしています。部分によって乾燥具合に違いがでるので、9箇所を計測するようにしています。
では”ワクワク”する1つの要因である樹種によって乾燥具合が違う点を上げていきましょう。
まず水分が抜ける速度が速い樹種、トチ材について。トチ材は水分が抜けるのが他の樹種に比べると速いんですね。結構簡単に10%以下まで含水率が下がります。ただ、低い含水率で安定はしません。一度8%まで含水率を落としても、乾燥庫から出して2ヶ月ぐらい経つと12%ぐらいまで上がっています。水分の出し入れが容易な印象です。含水率を下げるのは容易なトチ材ですが、乾燥全般を考えると難しい側面もあります。トチ材はカビが入りやすいんです。板に入るカビは通常表面のみで、削るとなくなってしまいます。しかし、トチ材に入るカビは中まで入って削っても取れません。
次に、周辺部と中心部の乾燥進度が違う材について。ウォールナット材は、辺材と呼んでいる板の周辺部の水分はすぐに抜けます。しかし、色の濃い中心部分はなかなか水分が抜けません。なので、辺材の含水率が10%以下になっているからといって乾燥が終わったと判断するのは危険です。必ず板の中心の含水率を計測する必要があります。ウォールナット材は一度水分が抜けると、含水率が上がりにくいと思います。乾燥庫からだしたしばらく経った板でも、含水率がさほど上がっていない事が多いです。トチ材とは明らかに違いますね。
最後にカエデ材の乾燥について。カエデは非常に乾燥が難しい材です。とにかく反りやネジレが多くでます。乾燥させてしまえば、安定はします。しかし、水分が抜ける段階での変化はとても多いです。含水率が高い状態で乾燥庫に入れると、かなり動きます。何度かそれで失敗しているので、今は天然乾燥の時間を多くとって含水率を低くしてから乾燥庫に入れています。
3枚の同じ丸太からとれたカエデの板を人工乾燥庫に入れて乾燥させました。3枚のうち1枚は大きく反りましたが、2枚はカエデにしては動きが少なく乾燥させることができました。これらの板も天然乾燥を1年以上させてから乾燥庫に入れました。やはり、含水率を下げていれてから乾燥庫に入れるのが良いと思います。
瑞木@相模湖
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