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家具屋で働く双子のブログ
木材乾燥はセオリー通りに進まないケースもあるから面白い。
木材乾燥庫の板を入れ替えました。今まで入れていたトチ材とチェリー材の板も程良い感じに含水率が下がったので、次に乾燥させる板と入れ替えました。
乾燥庫に入れる板は、原則製材後半年以上天然乾燥させた板にしています。製材後すぐの板を乾燥庫に入れてもいいのですが、急激な乾燥で割れや反りなどが生じ易くなります。そのため、半年ぐらい屋外で乾燥させておいてから人工乾燥庫に入れるようにしています。このプロセスは、人工乾燥を行っている所ではごく普通のやり方です。人工乾燥前の天然乾燥期間に関しては、乾燥をやる人それぞれの持論があるはずです。1年は天然乾燥をさせるという方法を続ける人もいれば、構わずどんどん人工乾燥させてしまうという人もいます。乾燥させる材によっても違うはずです。
僕の個人的な感想では、人工乾燥前の時間はあまり乾燥の出来に影響しないのではないかと思っています。セオリーでは人工乾燥庫に入れる前には半年以上天然乾燥をさせた方がよいと言われています。確かに人工乾燥の効率を高めるにはそうした方が良いかも知れません。しかし、乾燥の成功度(反りや割れを少なくする)といった観点ではそんなに違いがないのではと考えています。と言うのも、天然乾燥をしている最中にも反り板は反るし、割れる板は割れます。反る・割れるといった問題は乾燥の速度だけが要因ではないはずです。年輪の粗い木や節がある板などは、動きが大きく出ます。
逆にすぐに乾燥庫に入れても反らないし、割れない板もあります。含水率が50%を越えている板をすぐに人工乾燥庫に入れてもなんの問題もない板も実際あります。要するに1枚1枚ごとに乾燥結果が違うように感じます。どんな板も上手く乾燥するようなベストな方法を探ってはいますが、なかなかたどり着く事はできません。最近では、そんなベストな方法はないかもしれないなと考えています。(それでもいろいろ実験して試行錯誤はしていきますよ。)
さて、今回乾燥庫に入れるのはウォールナット・シュリザクラ・カバの板です。
2013年9月に仕入れたウォールナットの板です。約11ヶ月外で天然乾燥させていました。含水率を測ってみると約12〜15%ぐらいとだいぶ乾燥が進んでいます。ここまで下がっていれば人工乾燥の期間が少なくて済むかもしれません。上の写真は幅が500ミリぐらいある板の真ん中付近に含水率計を置いて測った時のものです。含水率計には12%という計測値が出ています。ちょっと見切れていますが、両サイドの赤い文字で書かれた数字はその地点の含水率を表しています。両サイドともに13%でした。
ここでおやっと思った方は、かなり真剣にこのブログを読んでいる方か相当木材乾燥の経験を積んでいる方かもしれません。これまでの経験でウォールナット材は周辺部分と中心部分の含水率の下がり方にかなり差があると思っていました。人工乾燥している板を途中で取り出して含水率を計測すると、周辺部は10%以下になっているのに中心部はまだ25%ぐらいの含水率ということがほとんどでした。ウォールナット材の周辺部は水分が抜けやすく、中心部は水分が抜けにくいと考えていました。
ところが今日計測した天然乾燥させていた板では、周辺部も中心部もほぼ同じ含水率でした。今まで計測してきたウォールナットの板はすべて周辺部と中心部の差があったので、今日の発見は意外でした。考えられるのは、中心部と周辺部が同じように乾燥したか他の板と同じように差があったがすでに中心部の乾燥が進んで同じ含水率で落ち着いたかのどちらです。天然乾燥期間中の含水率の経過を計測しておけば、どういう変化をしたか分かったのですが……これから人工乾燥庫に入れてどう含水率が変化していくかをチェックしてみます。
セットで仕入れて置いたもう1枚のウォールナット材は片面だけに割れ防止剤が塗られていました。これは材木市場で2枚が桟積みされていて、上の板の木表部分の中心にだけ割れ防止剤が塗られていたものです。
割れ防止剤が塗られている部分は紫外線による退色の影響がありません。ガッチリ守られていますね。両サイドの塗られていない部分はしっかり退色してしまっています。さらに含水率にも違いがあります。割れ防止剤が塗られている部分は含水率が高めです。この板の裏面には割れ防止剤が塗られていませんでした。裏面は中心部も周辺部もほぼ同じで15%ぐらいの含水率でした。やはり割れ防止剤の効果はあるようです。割れ防止剤は急激に乾燥するのをふせいで、ゆっくり乾燥を促進させることで割れをふせごうとします。そのため、乾燥の進みは遅くなります。ただし、部分的に塗られている場合は少し注意が必要です。一部分だけ乾燥が遅くなると反りや割れの原因になります。両面ともに中心部だけ塗られていれば良いのですが、片面だけ塗られているのは良くないと思います。なので、人工乾燥庫に入れる前に削り落としてしまいます。
手間ではありますが、少しでも不安要素は取り除いておいた方が安心できます。この板は50mmで製材されています。耳つきの2枚はぎテーブルに仕上げたいのです。なるべく厚く40mmで仕上げたいので極力反りは少なくしなければいけません。これが60mmあれば余裕があるので、このままでも良いかなと考えますが今回はあまり厚みの余裕がないので慎重に行動しました。
さあ、うまく乾燥するでしょうか?
こちらは昨年の12月に仕入れたシュリザクラ材。シュリザクラ材ははじめて乾燥させる材です。そのためセオリー通りに半年以上天然乾燥させてから人工乾燥させようと思っていました。今日計測した含水率はこんな感じです。これまた中心部の方が乾燥が進んでいますね。ちょっと気持ち悪いですが、たまたまということもあるのであまり気にせず先に進めます。製材後約8ヶ月で25%ぐらいの含水率。まあ普通に乾燥は進んでいると思います。今のところ大きな反りや割れもないので比較的大人しい板でしょう。これもどう乾燥するか楽しみです。
瑞木@相模湖
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