2014.08.23

板の反りを考察してみました。

仕入れてきた耳つき板の整理をしていた時に通常とは反対に反っている板を発見しました。

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クリの板です。幅方向で反っているのが分かると思います。上の方に凸に反っています。しかし、これは通常の反り方とは反対になります。板は、両面が同じように空気に触れていれば、木表側に反ります。木表とは木の状態で樹皮に近い方の面の事を指します。逆に芯に近い方の面を木裏と言います。板目と柾目の収縮率の差によってこのように木表側に反ります。

では、上の板はなぜ木裏側に反っているのでしょうか?(木表側が凸になっている。)

考えられる要因は、木表と木裏が対等な条件で空気に触れていない事です。例えば、木裏を直射日光がガンガンに当たるような場所に置いておくと、木裏面の乾燥が進み木裏側に反る事があります。

このクリの板は木表面にだけ強力な割れ防止剤が塗られていました。おそらくこれが原因だと思います。割れ防止剤は割れを防ぐために木材の表面に塗られる塗料です。いろいろなメーカーからいろいろな割れ防止剤が発売されています。専用の割れ防止剤の替わりに木工用ボンドを水で薄めた溶液を使う場合もあります。

片面だけに強力な割れ防止剤が塗られていたため、木表と木裏の乾燥具合の進度に違いが出たためにセオリーとは逆に木裏側に反ってしまったと考えられます。つまり、割れ防止剤が塗られていた木表の乾燥がなかなか進まず、なにも塗られていない木裏の乾燥だけが進み、水分量の差が出たために反ったということです。

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同じ板の逆側の木口面です。真ん中に割れが入っています。よく見ると割れ防止剤が塗られているにもかかわらず割れが入っている様子が分かると思います。割れ防止剤が塗られているからといって割れが100%止められる訳ではありません。

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木表面。割れ防止剤が全面に塗られています。

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こちらが木裏面です。割れ防止剤は塗られていません。

なるべく木表と木裏は同じ状態にしておいた方が良いです。板を保管するために桟を入れて桟積みするのも、表と裏が同じように空気に触れるようにするためです。桟を入れずに重ねて保管しておくと、重なっている面が空気に触れないために乾燥が進みません。一方、1番上にある面はたえず空気に触れているために乾燥が進みます。表と裏の乾燥具合に差がでると反りや割れの要因になります。

なので、割れ防止剤を塗る場合は両面に塗っておいた方が良いです。(今回の板は材木屋さんで片面だけに割れ防止剤が塗られていたので仕方なかったですが…)

瑞木@相模湖

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