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家具屋で働く双子のブログ
木材乾燥中の割れをくい止める作戦、失敗。ああ…
このブログでも何回か取り上げている乾燥中に割れ防止策ですが、どうやらあまり効果ないように思えてきました。何度か成功していたので効果ありと思っていましたが、ものの見事に破られました。完敗です。
写真の下側が木口です。木口から入った割れが僕があけた穴を見事に通り過ぎていっています。実験にしようした材はチェリー。乾燥難度は並程度で、割れやすい樹種ではないと思っています。以前チェリー材で同じ作戦を実施したときは成功していたので、今回も大丈夫だろうと思っていたんですが…
何かの間違いかもしれないと角度を換えて撮ってみましたが
間違いなく穴を通り越して、割れが突き進んでいます。
木材は乾燥しないと使えないという話はこのブログでも幾度となく取り上げきました。なので乾燥させなくては駄目なんですが、この乾燥が結構厄介な訳です。外気に触れている外側から水分が抜けていきます。表面に近い部分は早く水分が抜けて、内部は水分がなかなか抜けません。こうして乾燥初期には周辺部と中心部で水分量の差が出てきます。水分が抜けると木は縮みます。乾燥が早い周辺部だけが縮み、内部は縮まない。ある部分は縮もうとして、ある部分は縮まないとなると、無理な力が掛かってきます。それに耐えきれずに割れが入ってしまいます。
バシッと一気に割れが進む場合もありますし、木口から段々と割れが拡がっていく場合もあります。一撃で1mぐらいの割れが入ってしまうようなケースは防ぎようがありません。しかし、段々と拡がっていく割れならどこかでくい止められるのではないかと考えてしまいます。考えた結果、木口から入った割れの先端に穴を開けてそこで割れをくい止めようとする作戦が頭に浮かびました。
割れの先端を狙ってドリルで穴をあけます。
こんな感じで穴をあけます。なんとなくここで割れは止まると思えてきますよね?
実際にこの時は、割れがこの穴の先に進むことはなかったです。材はミズメ材です。
やっぱり割れをくい止める方法はないのでしょうか?
割れをコントロールできるようになれば、リスクを減らす事ができるので無垢材を使った家具などは値段を下げる事ができると思います。無垢材の場合は常に割れが入るリスクを負っているので、その分が値段に跳ね返ってきます。購入した板が割れることなく、すべて思い通りに使う事ができるなら何の問題も無いわけです。
世の中に多く流通している耳裁ちで製材された板は、幅に関わらず同じ単価が採用されます。1立方メートルでいくらという立米単価を使うのが一般的です。体積を計算して、立米単価を掛けると1枚の板の値段が分かります。しかし、1枚板や2 枚はぎテーブルに使うような幅広い板になると、1枚いくらで計算する事が多くなります。当然、幅が広い板の方が高くなります。1枚板でテーブルになるような高価な板が、乾燥途中で真ん中でパックリ割れてしまえばその損失は大きくなります。1番値がつく1枚板テーブルとして売れなくなってしまうからです。
板を仕入れる際は、大まかな用途が決まっています。このぐらいの値段で売れるから、この仕入れ価格でも元が取れるという計算をしています。それが狂うと損失になります。よって割れが入って思い通りの売り方が出来なくなる事がなくなれば、損失の事を考えないで済みます。割れをコントロールできることは、木材乾燥をする者にとっては夢なんですけどね。なかなかそう上手くはいきません。
まあ、今回の失敗が一度目なら”たまたま”と前を向く事が出来ます。が、実は二度目の失敗なんですね。
2段構えで臨んだんですが、見事に破られています。この時は、”たまたま””穴のあける位置が悪かった”とまだ仮説を信じる余裕があったのですが…
今回の二度目の失敗は”ああ、この作戦では無理かも”という気持ちになっています。何か新しい策を練ってまた実験しなければいけませんね。でもアイディアはまだ浮かんできていません。勉強して、本を読んで、なにかひらめくまであがいてみます。木材乾燥は難しい…
瑞木@相模湖
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