2014.07.09

「樹皮 ハンディ図鑑」これであなたも樹皮のとりこに

瑞木@相模湖が自らマニアックな内容と称した昨日のブログでは、耳つき板を購入したらやっておくべきことという内容でした。確かにマニアックでしたね、ほとんどの人が木の樹皮を剥がした経験はないと思います。そもそも木の樹皮を良く見たり、それが興味の対象になる人も珍しいかもしれません。

ですが、木の樹皮って奥が深いのも事実です。そんな奥深い世界に誘ってくれる一冊を今日は紹介します。

樹皮ハンディ図鑑

その名も「樹皮 ハンディ図鑑」。

そのままですね。

こちらの本はグリーンコンサルタントの梅本浩史氏が300種の樹皮の写真をまとめたものです。300種の樹皮の写真を集めることも大変ですが、この本は更なる高みを目指しています。なんとほとんどの樹木で、若木、成木、老木の3つのパターンの写真が紹介されています。この図鑑を眺めていると、若木と老木では表面の様子が全く違う木が多いことがわかります。木は長い年月をかけて成長していきますが、樹皮の形状や色を変化させていきます。

例えば、檜は若木の頃は、樹皮がリボン状にはがれているものが多いですが、老木になるとリボン状の模様はあるもののはがれているようなことがありません。興味のある方、ぜひこのハンディ図鑑で確認して頂きたいのですが、パッとみると、若木のほうが荒れているのでかえって老木にみえます。

若木から老木への変化で最も著しく感じたのは「カツラ」です。若木の段階では赤みを帯びた褐色で、表面には皮目といわれる小さな粒状の凹凸が水平方向に現れています。樹木はこの皮目を通して通気をしていると考えられているそうです。

カツラの木は、成長すると皮の部分が厚くなり皮目が目立たなくなります。それと同時に縦方向に裂け始めます。老木になるとさらに裂けが細かく複雑な模様となります。簡単に表現すると若木の時は水平方向に模様があるのに、成長すると垂直方向の模様にガラリと変わります。

さらにこの本の面白いことは樹皮をタイプ分けしていることです。

著者の梅本氏は表皮がはがれるか、はがれる場合のはがれ方はどうか、どのような模様が表れるかなどによって、いくつかのタイプにわけられるとしています。

そのタイプとは、滑らかなタイプ(代表樹種:ヒメシャラ)、網目模様のタイプ(代表樹種:ハリギリ)、ウロコ模様のタイプ(代表樹種:アカマツ)、ひび割れ模様タイプ(代表樹種:ハナミズキ)、深い割れ目ができるタイプ(代表樹種:アベマキ)、幹そのものが隆起するタイプ(代表樹種:カリン)、刺があるタイプ(代表樹種:カラスザンショウ)、こぶが出来るタイプ(代表樹種:サンショウ)、まだら模様タイプ(代表樹種:シロマツ)、短冊状にはがれるタイプ(代表樹種:クスノキ)、リボン状にはがれるタイプ(代表樹種:ユーカリ)

なんと12種に分類しています。実際の写真をみてみると、どれも見た覚えのある模様ですが、改めてみると様々な樹皮の模様、色味があると実感できます。

おそらく森の散策や登山において、見掛ける木を樹皮で判断するのに役立つハンドブックとして企画されていると思われますが、単純に木を知るという意味でも価値ある本だと思います。あえて足らない部分を挙げるとすると、著者がなぜ樹皮に興味をもって、どういう思いでこの本にまとめたのかがほとんど語られていない点です。内容が充実しているだけに、そこの点が個人的には一番知りたくなりました。

賢木@吉祥寺

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