2014.06.27

無垢材のテーブルの良さって何だろう?

“無垢材のテーブルの良さって何ですか?”という直接的な質問に答えるのはなかなか苦労します。本質的な部分をえぐる質問というのは答えづらいものです。”あなたにとって幸せってなんですか?”みたいな質問と同じような感じです。

でも、無垢材で製作したテーブルを売っている仕事をしている僕が”無垢材のテーブルの良さってなんですか?”という質問に答えない訳にはいかないものです。(実際に誰かに質問されてわけではなく、自問自答したい気分になったというだけです。)

といっても、温もりがある、あたたかい感じがするといったよくある表現ではない言葉で表してみたいという欲望が湧いてくるんですね。まあ、プロの矜持といった類いのものですかね…

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ぼくは、無垢材に触れていると一種の安心感を与えてくれると感じます。その安心感はどこから来ているのかと掘り下げていくと一つの終着点にたどり着きました。連続している安心感ではないかと。無垢材はどこまでいっても無垢材なんですね。分かりやすく説明すると、無垢材を削ったり、切ったりしても全く異質なモノが出てこないということです。なかには、釘や散弾銃の弾が入っていたりしますが、それも流れの中ででてくるのであまり違和感がないんですね。なんとなくここになにかありそうだなという雰囲気(シグナル)が必ずあります。木目がぶれていたり、鉄分と木の成分で変色していたりと。なんらかのシグナルがあってそこに異物が存在している。ストーリーを追っていける安心感があるんですね。

木材の表面に現れる木目を追っていくと流れがあります。その流れはけっして止まらずに端から端まで流れていきます。内部に向かっても同じですね。1番表面にある木目も内側からの流れがあってたまたま表面に来ているだけで、削られることがなければ外側に続いていくものだったはずです。そういうところが信頼できるんです。逆にいうと、中になにが入っているかわからない恐ろしさがない言えると思います。中がどうなっているのか分からないものは我々人間を不安にさせます。テレビやパソコンなどの電化製品もどうなっているのかわからないと親しみを感じません。しかし、我々はなんとなくその中身を知っています。だから、部屋の中にあってもあまり怖さを覚えない。スケルトンモデルなどが流行る理由の一つにこういう心理状態があるんじゃないかと思うこともあります。初代iMacやダイソンの掃除機といった爆発的な人気を誇った電化製品もスケルトンでなかが透けて見えます。(全てが見えるわけでは無いけど、中身が見える面白さと安心感が共存しているように感じます。)

木材は決して中が透けるわけではないけど、連続しているからその元に辿ることが出来ます。そうなれば中身が分かる事と同一ですよね。
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無垢材とよく比較される木質材料ですが、これらはなんだか中身が分かりにくいものなんです。表面にツキ板が貼られている化粧合板は、その下にどんなものがあるのかが分かりません。大抵はベニヤ板ですが、そのベニヤ板がどんなものなのかを辿るストーリーが内在されていません。0.2ミリもしくは0.6ミリ下の世界は闇の中です。こうしたモノを信用するのは勇気が要ります。上っ面だけを整えたように見える人間をなんだか胡散臭い人だと思うのと同じで、そういう一面が見えてしまうの安心して接する事が出来なくなりますよね。だから、ぼくはベニヤ板より無垢材を信用します。無垢材は反ったり、割れたりすると言うから不安で信用できないんじゃないかと思う人もいるでしょう。しかし、木が反ったり、割れたりするメカニズムはだいたい解明されています。決して得体の知れない怖いモノではないんですね。なんだか分からない闇の世界ではないんです。メカニズムが分かると、それは未知のモノではなくなります。だらか恐怖を抱かなく済みます。

無垢材のテーブルの良さは、連続する流れがもたらす安心感になるんじゃないかという話でした。これが、僕の木の話。
最新号の雑誌『住む。』は〈木の家、木の家具、木の話〉特集です。ソリウッドの家具や僕の木の話は残念ながら掲載されていませんが、木を愉しむ生活空間を創り上げる上でヒントになるような情報や写真がたくさん載っています。興味がある方は、手にとってみてください。
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瑞木@相模湖

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