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家具屋で働く双子のブログ
乾燥中に割れる板を見極めることはできるのか?
2月の木材市場で仕入れたウォールナット材、数日後に工房にやってきた時にはパックリと割れていました。変わり果てた姿の板を前に”俺が気に入って仕入れたのはこんな割れてなかったのに…綺麗な奴だったのに…なにがあったんだ…”とガックリしたものです。
しかし、無垢の板を扱うってことはこういう事にも慣れていかないといけません。ああ、こういう板だったんだと諦めるしかないんです。では、こんな風に大きく割れてしまう板を予想する事はできるのでしょうか?
予想できる人はなかなかいないと思います。樹種によって割れが入りやすい、入りにくいといった情報を持つ事はできますが、1枚1枚の板を見てこれは割れる、割れないと判断するのはとても難しいと思います。例えばナラ材。ナラ材は割れが入りやすい材種です。幅広い板目材はかなりの確率で割れが入ります。ナラ材の幅広い板目は割れるから柾目にしか挽かないと材木屋さんもあるぐらいです。それでも割れの入らないナラ材もあります。こればっかりは乾燥させてみないと分からないというのが、多くの木材関係者の見解と言えるでしょう。
ウォールナット材は、特に割れやすい材ではありません。中心部分の乾燥には時間が掛かりますが、乾燥中に割れる確率は普通と言えます。反りやネジレも特に酷い訳ではなく普通です。全体的に見ると、扱いやすい材と言えます。それでも、今回のようにパックリと割れる事が起きます。
木口から見たところです。板の左側に注目してください。樹皮がついていた耳の部分が緩やかに傾斜しています。ここの形を見ると、この板が丸太のどの辺だったかが分かります。この板の場合は、中心から少し外側だったと判断することができます。先日のブログでも書きましたが、丸太の中心部分を持つ板は真ん中で大きく割れます。そのため、幅広く使用することができません。芯持ちの板から1枚外側が芯割れの心配も少なく、幅広く使える”おいしい板”なのです。割れてしまったこの板は芯を外した板のもう1枚外側の板です。なので、結構良い位置の板と言えます。この板の1枚内側の板も仕入れているので見てみましょう。
芯をギリギリ外した部分なので、”1番おいしい板”になります。こちらは木裏面です。拡大してみると
かすかに芯をかすっています。なのでこの板が大きく割れてしまうなら、納得はいきます。”ああ芯に近かったから…しょうがないかな…”と。しかし、現時点でこの板は割れておらず、その外側の板が大きく割れてしまったと。
割れてしまった板をよく見てみると、大きな節が二つあります。
木工教室の講師をしてもらっているクラフトHAMANEの濱根さんは、この板が割れてしまった原因はこの節にあるのではないかと指摘していました。ここに溜まっていた力が解放されてバーンと割れたと。とても鋭い指摘だと思います。このような枝分かれしたような節の周りは、無理な力が掛かっている場合があります。乾燥している途中で、その力がなにかの弾みで開放されて割れることは十分に考えられると思います。
しかし、濱根さんも「これより内側の板も割れるなら理解できるけど、この板だけ割れるのは予想しづらいよね」と言っていました。経験で割れそうな板を予想することはある程度可能だと思います。しかし、実際に割れるかは乾燥してみないと分かりません。最近は太くて良質な丸太の量が減っています。材木市場に出品される丸太や板も量を減らしています。そうした中で、割れる心配が少ない板も減っています。ここに割れる原因になりそうな大きな節があるから、駄目だと買い渋っていると、材料の確保が難しくなります。割れてしまっても使い途は必ずあると思って、量を確保するのも一つの手です。そして、こうして割れてしまった板を目にすることはとても勉強になります。
ここ半年ほどは毎月のように木材市場に足を運び、限られた予算の中で耳つき板を仕入れてきました。それらの板が、乾燥中にどう変化していったかを見ることが出来ています。客観的なデータとしてまとめることは難しいですが、傾向としての流れは掴めるようになってきました。今回のように予想しづらいケースも多々ありますが、お客様に格好いい木のテーブルを提案できるように頑張ります。予想を超えた動きをされると”やっぱり木は面白い”と感じます。
瑞木@相模湖
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