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家具屋で働く双子のブログ
ショールームマネジャー、「木の魅力」の伝え方を語る
少し前の記事なんですが、気になる記事がネット上にでていました。日刊スポーツのネットニュースの欄なんですが、
高橋ジョージ、「木の力」を語る
パッとみたときは、林業関係者か建築・家具業界の人が「木の力」をアピールするインタビュー記事かと思っただけなんですが、徐々になんともいえない違和感が・・・
そう気になったのは、高橋ジョージさんと木の関係です。高橋ジョージさんは知っている方も多いと思いますが、90年代に「ロード」が大ヒットしたバンド「THE 虎舞竜」のボーカルとして有名です。最近では、妻で女優の三船美佳さんとバラエティ番組などにも数多く出演されています。年齢を重ねても髪型はリーゼントで、やはり印象は硬派でロックですよね。ロックと木や森ってどこか正反対のイメージがあり、結びつかない気もします。ところが、高橋さんは宮城県出身で小さい頃に森林とは近い生活を送っていたようで、自称「森林大使だそうです。」
さて、この記事の内容は、仙台市で行われた「木で、未来をつくろう in宮城県」というイベントに参加した高橋ジョージさんが「木の持つ力は無限大。香りやぬくもりで心にも体にも優しい。」「木の力をみんなで広げていきたい」と木材利用をアピールしたというものです。
高橋さん素晴らしいです。さすが、自称「森林大使」ですね。冒頭で見た目のイメージとのギャップで違和感とかいって申し訳なかったです。
そもそもこの高橋さんが参加した「木で未来をつくろう」というイベントは日本各地の地域の木を使った家づくりや木材製品の特色やメリットを伝え、「木材利用ポイント」の活用事例を紹介し、木材利用の意義や価値を参加者とともに考えようというシンポジウムだそうです。
こういった活動は日本全国で行われていますが、その背景には、日本には森林資源が豊富にありながら、木材の自給率が3割以下という低水準で推移しているという憂慮すべき現状があります。国産材が使われない(売れない)ことで、林業は衰退し、森の手入れがままならず木材生産の低下のみならず土壌や森の循環サイクルなどが上手くいかず、森の機能低下まで起こっているといわれています。
林野庁を中心として国の組織が、国産の木材利用の促進にやっきになっているのも納得がいきます。色々な取り組みが進められていますが、高橋ジョージさんもアピールした「木材利用ポイント」もそのひとつです。
「木材利用ポイント」とは、昨年4月から始まったスギ、ヒノキ、カラマツといった国産材を使った木造住宅や内装、外装の木質化、家具やペレットストーブの購入の際に、ポイントが付与され、農林水産品と交換できるという事業です。
詳細は、木材利用ポイントのWebサイトをご覧ください。
ちょっと前置きが長くなってしまったのですが、今日のブログでは伝えるべき木の力について私なりの考え、思いをつづりたいなと思っています。
一般的に建築や家具の材料としての木の魅力というのは以下3点が語られることが多いです。
環境に応じて湿気を吸ったり、はいたりする調湿作用
熱伝導率が低く、ぬくもりを感じる
木目や香りにおけるリラックス&リフレッシュ効果
それぞれの項目に少し補足をしていきます。1の調湿作用については、特に季節による変化が激しい日本ではとっても頼りになる効果です。
2の熱伝導率の低さは、木材を触ったときに感じる温かみをもたらしています。熱伝導率とは、熱がどの程度伝わるかを表している数値です。木材は鉄やタイルなどの素材に比べこの熱伝導率が低いです。そのため、手で触っても肌から温度が奪われにくく、その分あたたかく感じるのです。
木は、どうして熱伝導率が低いのかというと、中に多くの空気を含んでいるからです。空気は身近な物質の中では最も熱を伝えにくい性質があります。木の中に含まれる空気は、木の種類によっても変わってきます。スギなどの針葉樹は、一般的に広葉樹に比べて軽く、多く空気を含んでいます。ですから、ブビンガや黒檀など比重が高く、中身が詰まっている木に比べると、触った感じは暖かいです。
3のリラックス&リフレッシュ効果は、木目のゆらぎと木に含まれる匂いの成分が人に与える影響によるものです。木目の不規則な間隔は、自然界のリズムにあったゆらぎとされていて、人間にとってリラックスできるものだそうです。自然界には似たようなゆらぎがあるものがあり、小川のせせらぎや星の輝きなどがその代表格だそうです。確かにこれらも人間を落ち着かせる効果がありです。
ここに挙げた3点は、知っているようであまり知られていない木の機能面における力です。さきほど紹介した「木材利用ポイント」のwebサイトでも、同じようなことが書かれています。
もちろんこれらの力が木の魅力であることは間違いないのですが、木造住宅や家具の購入を考えている方への訴求は少し弱いと感じています。私個人としては、木目の力強さであったり、製品となった時の佇まいの格好良さなどの見た目、第一印象の力やインパクトこそが、木の魅力であり、最も訴求効果の高い力だと考えています。
家を建てたいときや新しい家具が欲しいと思ったとき、見た目は重要なポイントだと思います。ですので、国産材を使って欲しいのであれば、その素材で建てられた木造住宅や家具を欲しいと思ってもらえるかが重要で、興味を持ってもらうには、見た目を気にいってもらうので一番効果的だと考えます。
要するに、ただ自然であることだけでなく、その素材を使った商品の最終的な見た目をどう整えるかも重要だということです。こればっかりは、どうしても人の手が加わらなければならないものです。でも、そこにデザイナーや加工する人の感性や個性が加わり、木そのものの魅力がよりはっきりするのではないでしょうか
そういった観点でみると、さきほど説明した「木材利用ポイント」のホームページなどは木の魅力を語るのに少し不足しているのではと思ってしまいます。こちらのホームページには、木材利用ポイントが付与される対象となる木材を使った新築住宅やテーブルなどの家具の写真がほとんど載っていないんです。これでは、国産材が使った家が欲しいとはならないですよね。
このプロジェクトは聞くところによると、数百億円という大きな予算が組まれているようです。さらに期間も今年の9月まで期間も延長されました。目的が国をあげて国産材を普及させることのようなので、ポイント発行にあてる予算を少し削ってでも、建築家と工務店がコラボレーションして、こういった家に住みたいと思ってもらえるようなモデルルームを作って大々的にアピールしても良いのではないかと思っています。
賢木@吉祥寺
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