2017.02.14

春の代名詞、桜。家具に使われる桜はヤマザクラ。【No.1829】

日中は暖かく感じることも多くなりましたが、朝晩はまだまだ寒いですね。あと1ヶ月ちょっともすれば桜が咲いているのかと考えるとあまり信じられませんが……家具業界で桜と言えばヤマザクラですね。有名なソメイヨシノは観賞用に開発された種類なので、木材利用はほとんどされていません。ソメイヨシノはあまり真っ直ぐ育ちませんし、大木になっても中が空洞のことが多く木材として利用する価値があまりないんですね。ただし、最近ではウッドターニングの世界では使用されることもあります。公園などに生えていたソメイヨシノを切った時に丸太を分けてもらって器などにするんですね。板としては使用できなくても塊としてなら使用価値はあります。

一方ヤマザクラは日本全国の山々に自生している種です。ソメイヨシノと同じような花が咲きますが、色は少し白っぽいですね。ソメイヨシノのような綺麗なピンク色ではないです。また、花が咲くのとほぼ同時に葉も出てきます。ソメイヨシノのように花と葉にタイムラグがないんです。なのでヤマザクラの花だけを楽しめる時間はほんのわずかです。工房の一角にヤマザクラの木が1本ありますが、この木を見ているといかにソメイヨシノが観賞用に改良された品種だというのが分かります。

日本人にとっては桜はやはり特別な印象がある木です。イメージがとっても良いですよね。桜を知らない日本人はいないぐらい有名な木です。なので、使いたい木ではあります。しかし、ヤマザクラ材の流通量はとても少なくコンスタントに使用できるレベルではありません。残念ではありますがこればかりは致し方ないですね。

材木市場でヤマザクラ材が並んでいたらなるべく仕入れるようにしています。ちょいちょい仕入れてはいますが、乾燥が難しい材なのでテーブル天板にすることができない板も結構出てきます。先日も乾燥庫に入れたヤマザクラ材をとりだして見てみましたが、細かい割れが多くテーブル天板としては使えませんでした。

でも、先日の材木市場で良さそうなヤマザクラ材を入手することができました。今日これらの板のサイズを測ったり、写真を撮ったりしたのですが、やはり良さそうです。材木市場では7枚の板が重ねて置かれていたので下の方の板をチェックすることが出来なかったんです。下の方の板はあまり期待できないことも多いですが、今回は割と良かったです。芯に近い部分もありますが、なんとか2セットぐらいは耳つきテーブル天板がとれそうです。ただ、乾燥が上手くいけばですが……

今回仕入れたのは同じ丸太から製材された7枚のヤマザクラ材です。

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1番外側の木表側です。白太が多いですがヤマザクラ材特有の少し荒々しい木目が出ています。この面をテーブル天板の表側にすることはなさそうですが、個人的にとても好きな木目です。

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ここの感じがとても好きです。仕上げると荒々しさもありながら綺麗な感じになると思います。端の方ですし、切り落としてしまったらお皿かなにかにしたいですね。

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この板は丸太の中で1番良い所ですかね。大トロなんて呼んだりもしますけど。中心に近い部分は幅広い板が取れます。でも中心を持っている板は割れてしまう可能性が高いんです。だから中心よりも少し外側の部分が幅広くも使えていい部分なんですね。この写真だとあまり魅力を感じないかもしれませんが…この板は良いです。白太は少ないですし、目もそこそ詰まっています。色は結構濃い感じです。くすんで見えますが、仕上げてオイルを塗れば良い感じになります。少し時間が経つと良い色になりますからね。

そんな訳で今日は仕入れたばかりのヤマザクラ材を紹介しました。これから乾燥をさせるので今春には間に合いませんが来春には耳つきテーブル天板として吉祥寺ショールームに展示したいですね。ただ、焦りは乾燥にとって禁物です。じっくりと様子を見ながら時間をかけて乾燥させた方が上手くいくケースが多いです。

瑞木@相模湖

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