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家具屋で働く双子のブログ
似てる?サクラ材とカバ材について。【No.1756】
吉祥寺にあるOUTBOUNDさんで開催中(12月5日まで)の須田二郎さんの『木の器』展に行ってきました。須田さんは木工旋盤という機械を使って木の器を作っている方です。多くの料理研究家やフードコーディネーターが須田さんの木の器を使っています。須田さんの代表作はサクラの生木を使用したサラダボウルです。伐倒された木をチェーンソーで粗木取りしてから木工旋盤で削って器にしていきます。削った段階ではまだ乾燥してきっていない状態です。そこから乾燥が進み、器が少し変形します。その変形が絶妙なカタチを生みだします。
こちらが展示会で購入した須田さんの器です。直径16cmほどの器です。ほんとは直径40cmぐらいありそうな大きなボウルが欲しかったのですが、置く場所や使い途に困ってしまいそうなので使い易いサイズの物を購入しました。須田さんが使うサクラの木は街路樹だったり、公園に生えていたものだったりもするそうなので樹種はソメイヨシノかもしれません。日本のサクラは少し緑がかった色をしている部分があるのが特徴的です。アメリカンブラックチェリーもそうした緑っぽい部分が含まれることもありますが、日本のサクラの方がその割合が多いです。
写真では分かりにくいですが、縁の部分が若干歪んでいます。これはボウル状に挽いたあとに乾燥が進んで変形したからです。生木を使った木の器はこうした自然が生みだした歪みの造形を楽しむことができます。
日本の家具業界や木材業界では、カバ材のことを「サクラ」と呼ぶ習慣がありました。最近はあまり見かけなくなりましたが、今でも残っている習慣でもあります。植物学上の分類ではサクラとカバは違う科目に分けられています。サクラはバラ科サクラ属、カバはカバノキ科カバノキ属です。まったく違うのにカバをサクラと呼ぶ習慣には諸説ありますが、似たような色や木目をしているカバ材をサクラと称した方が消費者の受けが良いのでこうした習慣が生まれたようです。今で言うと詐称にあたりそうですが、昔は業界内では常識だったようです。
左が須田さんのサクラ材の器、右が私が作ったカバ材の器です。板目と柾目の違いがあるので、木目の様子は似ているとは思わないかもしれませんね。ただ色は何となく似ています。でも、よく見ると全然違います。カバにはカバの魅力があるのに、サクラと呼ぶのは少し残念です。サクラ材に比べるとカバ材の方が若干硬く、重たいです。そしてカバ材には透明感があります。サクラ材は大味な木目がでることもありますが、カバ材は目が詰まっていて緻密な感じの木目が多いです。
サクラ材とカバ材だと知名度では圧倒的にサクラ材が勝っています。しかし、木材の質をみるとカバ材が劣っているということは全然ありません。むしろ、安定度や加工のしやすさ、質感などはカバ材の方が優れているように感じます。仕上げた感じもとっても綺麗です。
こちらは新作のカバ材耳つき2枚はぎテーブル天板用の板です。同じ丸太から製材された隣合った板なのでブックマッチという方式ではぎ合わせることができます。ブックマッチにはぐと木目がほぼ左右対称になり、バランスがよく見えます。カバ材は色が白っぽい部分と少し赤みがかった部分があります。どの樹種でも、外側に近い方は色がうすく、中の方が濃い色をしています。カバ材は他の材に比べると白い部分が占める割合が大きいです。この板も白い部分と濃い部分がほぼ半々ぐらいです。
カバ材は硬さも重さもあるのでドッシリとした丈夫なテーブルを作ることができます。最近のお客様の傾向ではあまり重くないテーブルを希望されますが、めったに動かすものではないので重さはそれほど気にしなくてもよいです。1日1回1人で動かす必要があるといった特殊なケースでないかぎり、ある程度は重さがあった方がテーブルとしては使い勝手がよいはずです。
カバ材の耳つきテーブル用の板はこの板以外にも吉祥寺ショールームに展示してあります。今なら4人掛けサイズのテーブルだといくつか選択肢があります。木目を見比べて気に入ったものを選んで頂くことができますよ。
残念ながら国産のサクラ材の板は現在すぐに使用できる板の在庫がありません。
瑞木@相模湖
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