2016.07.24

決して欠点ではない!「入り皮」の魅力。【No.1624】

無垢材の家具は、木材という天然の素材を使って製作していますので、製作側としてなかなかコントロール出来ない部分というものが少なからずあります。その1つが木目です。木目は同じ種類の材であれど、同じ模様になることはありません。人間でいうところの指紋みたいなものといえるかもしれません。ですが、複数の板を接ぎ合わせて使うテーブル天板などでは違った木目の板を合わせることによって、より自然で、予想しえない複雑な模様で魅力が増すと個人的には考えています。逆に、同じような模様の突き板やプリント合板が連続して貼ってあると、なにか不自然な気がしてきます。どんな木目が出てくるか楽しみに待つのも無垢材テーブルを購入する時の楽しみと思って頂けると幸いです。

無垢の板には、木目以外にも自然の営みの中で生じる独特の模様が出てくることがあります。その代表格であるのが今日のメインテーマとなる「入り皮」です。その他にも「節」や節の中でも小さい「ピンノット」や「ガムポケット」と呼ばれる木部の隙間に樹脂がたまって黒い斑点や筋状の模様が入ることがあります。ガムポケットはチェリー材でよく見られるものです。チェリー材の「ガムポケット」は、触っても松ヤニのように触るとベタつくことはありません。また、凹凸もないので、単純にそのような模様が出ているとお考えください。

少し話しが逸れましたが、今日のメインである「入り皮」をもう少し深く見て行きます。「入り皮」は材木がまだ生きている過程で、樹皮の部分に傷がついたりして樹皮の成長がとまった部分になります。木材は、樹皮の内側が成長して徐々に大きくなっていきますが、傷がついて木部の組織などがやられてしまうとその部分のみ成長がとまってしまいます。そのうちに、近くの部分が成長をして傷ついた部分を巻き込んでいきます。これが製材して模様として出てきたのが「入り皮」です。ですので、「入り皮」部分にみえる黒いゴツっとした印象を受けるのは、本来木の外側にあった樹皮の部分です。テレビなどでよく街路樹が近くにあったガードレールなどを巻き込んで成長してしまっている樹木が紹介されますが、「入り皮」の出来方と似ている点があります。

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製材した材の中に「入り皮」の部分が入っていると、欠点とみなされることがありますが、しっかりと処理すれば家具の機能面で劣ることはありませんし、その部分があることによって木目のアクセントになります。ソリウッドで製作しているサイズオーダーのストレートカットテーブルでははっきりとした入り皮部分は表に出ないように裏側にするか、その部分は避けて板を使うようにしています。ですが、実物の板や写真で板を見てからご注文頂くことが多い耳つきテーブルの場合は、「入り皮」部分も積極的に使っています。これは先ほども述べたように、良い感じの模様のアクセントになりより個性的な天板に仕上がること、より自然の凄さや面白さを実感して頂けることなどの理由によるものです。

「入り皮」の部分は、材によって出る出ないがあまりなく、どんな樹種でも出るときはでます。

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これは現在吉祥寺ショールームに展示しているカバ材の耳つき2枚はぎテーブルの一部分にある「入り皮」です。全体を眺めてみてもこれがあることによってやはりアクセントになっていますし、何よりも自然素材の証しといえるでしょう。この部分をよくみてみると、少し隙間があいているのがわかると思います。この隙間についてはウレタン樹脂で埋めますのでお届けする際にはしっかりと平滑に仕上がります。

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上の写真は、この入り皮部分があるK55テーブルの完成イメージ図の全体です。W1800程度とれる大きめの天板になりますが、先ほどアップで撮影した以外の部分にも「入り皮」の部分がところどころあります。全体からするとごく一部分ですが、これがないとかえって特徴のない平凡な天板に見えてしまうかもしれません。

すでに察知されている方もいらっしゃると思いますが、個人的には「入り皮」部分が好きです。これがあると天板のかっこよさが一段階上がると思っています。「入り皮」の魅力が多くの方に共感して頂ければ幸いです。

賢木@吉祥寺

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