2016.06.22

旭川で出会った珍しい板【No.1592】

北海道旭川で行われている「ASAHIKAWA DESIGN WEEK 2016」にやってきました。このイベントは家具の産地として名高い北海道旭川で行われている家具の展示会です。旭川に拠点を置いている家具メーカーの新作発表などが行われる展示会と各メーカーが自社工房が製作現場を解放したりしています。ソリウッドの工房がある神奈川県の相模湖周辺には少し足をのばせば、無垢材を使った家具工房がありますが町全体に家具工房が密集している地域ではないので、旭川のように家具の協同組合があるわけではありません。家具工房自体は小さくても数が集まれば、家具の町としてこのような大掛かりなイベントが開催できます。このイベントには初めて参加しましたが、それぞれの拠点を移動する際に、無料でタクシーが利用出来たりと訪問者には非常に有り難いサービスもあり、旭川の家具の町としての熱意を感じることが出来た一日でした。

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特に展示やトークイベントなどで旭川の家具の町としての特徴として、木材の産地であり、地元で採れた丸太を製材する製材所があり、その板を加工する木工所が1つの町にあるという点が強調されていました。なるほど、展示されていた家具には北海道産カバ、クルミ、ナラといった表記を至るところでみました。無垢材家具の主流が輸入材である最近では珍しいといってもいいでしょう。

その中でも興味をもってみたのが、北海道産のナラ材です。ISU-WORKSブランドの椅子を製作して山上木工さんのブースでは、椅子の展示がメインでしたが、ブースの真ん中にどど〜んと大きな1枚板テーブルがありました。聞いてみると北海道産のナラ材を使ったW2700の1枚板とのことです。さらっと書きましたが、この材めちゃめちゃ貴重です。1枚板でテーブルになるような大きな北海道産のナラ材なんて、そう簡単にお目にかかることは出来ません。ましては、耳つきでキレイな状態の白太がある板なんて。この板はもう20年前以上に伐採され、ずっと乾燥されていた板だそうです。さきほど貴重と書いたのは、このようにだいぶ前に伐採された板でないとこのように綺麗な状態で維持するのは難しいです。最近のナラ材の白太部分(木の樹皮に近い部分)は虫に喰われやすく、さらにはふけやすい性質にあります。そのため、耳つきの状態でテーブルにすることが難しくなります。ソリウッドでも、お客様からナラ材の耳つきテーブルのご要望を頂くことがありますが、このような状態のため希望にそう提案をすることが出来ない状態が続いています。

さらに北海道産という点も貴重ポイントです。ソリウッドでは4辺をカットして長方形のカタチに成形したストレートカットテーブルのラインナップにナラ材をいれてありますが、使っているのは北海道産のナラ材ではなく、ロシア産のものが多いです。さらに追い打ちをかけるようにロシア産のナラ材も流通量が減ってきて確保するのに四苦八苦する時もあります。ロシアに代わり、北米産のホワイトオーク材や最近ではヨーロッパでとれるオーク材を使っているところも増えてきています。30年前ぐらいの状況を考えると、良質のナラ材がめっきり減り、それに変わる代替材が使われているのは残念ではありますが、仕方ないと思う他ないように感じます。

旭川デザインウィークの話に戻りますが、国産材をテーマにした流れもうひとつ興味をもったお話を紹介します。家具展示ブースには北海道の白樺を使ったデスクがありました。白樺ときくと、白い樹皮で覆われた立木の姿が目に浮かぶ方も多いでしょう。白樺については、製材された板自体をこれまでみた記憶もあまりありませんでした。以前、白樺は他のカバ系の樹種に比べ、柔らかいと聞いたことがあったので、強度面で家具に適しているかも気になりました。実際のデスクを触った感じでは極端に柔らかいということもありませんでした、ブースに居た方からも白樺は製材された板としての評価は低いけれど、家具にも使える部分があることを知ってもらいたいという主旨のコメントをされていました。あまり太くなる樹木ではないので、1枚1枚の製材された板の幅はそこまで広くないので、接いで家具にすることが多いと思いますが白くブナ材のような色味をもつ白樺もお子様用のデスクなどに使ってみるのも面白ろそうだなと思いました。

賢木@吉祥寺

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