2016.03.11

ウォールナット材とナラ材の価格急騰は国際情勢や経済の影響も。【No.1489】

昨日のブログエントリーで賢木@吉祥寺が宮崎椅子製作所の椅子が4から価格改定になる話を書きました。樹種によって値上げ率は変わります。一番値上がりするのがウォールナット材とナラ材です。この2つの樹種はここ数年でビックリするぐらいに材木の値段が上がっています。値上がりする前の価格を知っている者は誰もが信じられないと思うほど値が上がっています。なので、宮崎椅子製作所さんの椅子の価格改定は致し方ないと思います。さらに言うと、ウォールナット材やナラ材を扱っている家具メーカーがいつ価格改定をしてもおかしくない状態と言えます。この先すぐにこれらの木材の価格が下がる見通しはないので、検討している方は早めに購入された方が良いかもしれません。

なぜウォールナット材とナラ材が大幅に値が上がっているかを簡単に説明します。

ウォールナット材は北米が生産地です。北米の広葉樹林業では持続可能な林業が確立されています。長期にわたって計画的に伐採がされています。そのため供給量が大幅に減るということはありません。生産側が供給量をコントロールできるので、価格決定権も生産者側が握っています。こうした強みがあるために、人気がある樹種に関しての価格はかなり強気にでることができます。実際にアメリカの材木業者と交渉をしている人に聞いた話では、提示額で買わないなら帰ってくれという態度だったそうです。わざわざ日本から現地に行ってもそうした強気な姿勢を崩すことはないそうです。それだけウォールナット材の人気が高いということでもあります。もうひとつ、価格が高い理由に中国の影響があります。中国の経済が好調な時は、価格交渉などせずに全てを買っていくそうです。材木にはいくつかランクがあります。節などの欠点が少ない板は当然高くなります。節などの欠点が多い板はランクも低くなり価格も下がります。日本に輸入される北米材の多くは一番グレードの高いランクのものです。それ以外のランクのものは、品質が悪くなるのであまり買いません。ところが中国の業者は全てのランクを買います。当然、量が多くなるので生産者からしてみたらとても都合が良いんですね。なので、中国の業者が大量に購入してくれる限りは、質と価格についてうるさく言う日本の業者を相手にすることはないんですね。中国経済の勢いが一時期ほどではなくなりましたが、まだ影響力はありそうです。

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ウォールナット材のHakuチェアです。ギリギリまで部材を細くしてデザイン性を高めています。シンブルなソリウッドのストレートカットテーブルと合わせるのにぴったりな椅子です。

ナラ材の多くはロシアから輸入されていました。日本国内にもナラ材は生えていますが、材木の供給量としてはかなり少なく国産のナラ材を手にすることができる人は一握りです。多くの業者がロシアからの丸太を製材して販売していました。ところが、数年前からロシア政府の政策によってナラ材やタモ材の輸出量が大幅に減っています。環境保護のためにに木材を伐採して輸出することを制限しているようです。日本に入ってくるナラ材の原木が激減したためにロシア産ナラ材の価格が急騰しています。タモ材もナラ材ほどではありませんが、かなり価格が上昇しています。5年前では信じられない価格になっています。一時期はロシアのこうした政策も長くは続かないという見方もありました。しかし、今ではこの状況は長く続くと考えられています。

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こちらはナラ材のUUチェアです。ナラ材はどんなテーブルにも合わせやすい色をしています。ダイニングを明るく保ちたい方に人気がある樹種です。壁や床が白っぽい色をしたお部屋によく映えるのがナラ材です。

広葉樹木材に関して、日本は海外の木材に頼っています。なので、諸外国の政治や経済に影響を受けるのは必然です。すぐに少し前の水準に戻る可能性もゼロではありませんが、あまり楽観的に考えてばかりもいられないでしょう。しばらくはこうした状況が続くものと考えています。

瑞木@相模湖

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