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家具屋で働く双子のブログ
円安は無垢材家具工房にとっては悩みのタネです。
工房でひとつひとつ丁寧に家具を製作して販売している規模の小さい製造業でも、世の中の流れというものをモロに受けます。今日はその一つについて書いてみます。最近気がかりなのは、円安の影響です。我々が使用している木材の多くは輸入品です。日本には森林がたくさんあるので、なんとなく国産木材でまかなえていると思いがちですが、実際はそうではありません。日本の木材自給率は30%を切っています。国内で使用している木材の7割以上は外国からの輸入品に頼っている状況です。
林野庁が発表しているデータによると、昭和30年の木材自給率は約95%だったそうです。そこから経済が成長するにつれて木材の需要が増えて、国産材だけでは追いつかなくなり木材の輸入が増えていきます。昭和45年には木材自給率は45%になります。昭和30年に比べると木材供給量は倍以上になっています。しかし、国産材の供給量はほぼ横ばい。国内の林業は成長せずに外国産に頼っていた事がよく分かります。その後、全体の木材供給量にそれほど変化はありませんが、国内供給量は年々下がっていきます。平成12年には、木材自給率が20%を割って18%台まで落ち込みます。そこから少し盛り返して平成25年には約28%になっています。国内供給量は昭和30年に比べると約半分まで落ちています。
実際の現場でもこのデータの通りだなと感じています。材木市場の様子もガラリと変わってきているようです。ほぼ国産材だけで成り立っていた市場もすでに国産材だけでは成り立たなくなり、外国産木材の割合が増えてきています。最近では、名前を聞いた事もないような材種が出品されている事もあります。
このような状況下ですので、為替の動きは木材価格に強く影響してきます。多少の円安なら材木屋さんも努力してくれますが、最近の急激な円安では価格維持は難しいようです。軒並み木材価格は上昇しています。さらに円安が進むという予測もでています。130円台まで円安が進むような事態になると、また木材価格も高くなる事は間違いないでしょう。
円安の影響以外にも木材価格が高騰している原因があります。一つはロシア産の木材の輸出が規制されるようになった事です。日本にはロシア産の木材が大量に入ってきていました。無垢材家具工房がよく使用しているタモ材やナラ材の多くはロシア産です。ロシア産のタモやナラは、目が詰まっていて質もとても良いんです。それでいて価格もそれほど高くなかったのでよく使われていました。しかし、ロシアの輸出政策の変更やワシントン条約への登録などで輸出量を減らす方向へ政策がシフトされました。これで、ロシア産広葉樹の輸入量が急激に減少しています。需要量は変わらないのに供給量が減ったら、当然価格は上昇します。ロシア産の木材価格は20~30%ぐらい上昇していますね。こうなるとロシア産の木材に頼る事が出来なくなります。
そこで替わりの木材を使用し始めます。ロシア産広葉樹の替わりに注目されたのが北米産の木材です。北米では、アッシュやホワイトオーク、レッドオークといった木材が生産されています。これらの木材の使用量が増えています。特にロシア産ナラ材から北米産ホワイトオーク材へのシフトが進んでいます。需要が増えているので、価格も上昇します。北米のメーカーもその辺の事情をよく知っているので、強気な態度を崩しません。
北米産のホワイトオーク材で製作した学習机です。ロシア産のナラ材に比べると木目が荒々しく感じます。でも同じナラの仲間なので、見た目に大きな違いはありません。ロシアの木材輸出制限が続くなら、北米産のホワイトオーク材がよく使われるようになるでしょう。今後目にする機会が増えてくると思います。
日本の木材自給率ですが、今後は少し上がる可能性もあります。政府は木材自給率を上げる方針を掲げています。でも、その多くはスギやヒノキといった針葉樹です。国産広葉樹の供給量が増えることはあまり期待できません。国産広葉樹の供給量は下がる一方だと思います。外国産広葉樹の存在はますます大きくなるでしょう。経済的な流れが大きく影響する傾向は今後も続くでしょう。
瑞木@相模湖
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