2019.07.06

無垢材家具製作においてベストを尽くすために必要な接着剤。

※2019年7月6日改訂 :タイトルと内容の一部を変更しました。

先日のブログ(このブログはもともと2015年1月12日に書いたものです。)で乾燥技術について書きました。人工乾燥法が発展したおかげで狂いの大きい木材でも使用できるようになりました。木材には一度含水率が下がると元に戻りにくくなる性質があります。この性質を最大限に利用するのが得策です。詳しくはこちらのエントリーをごらんください。とにかく木材を利用する上では乾燥がとても重要です。

さてもう一つ、現代の家具製作で重要になる物があります。

それが接着剤です。

今は強力な接着剤が開発されたおかげで、安心した家具製作ができるようになりました。

板を幅方向に接着することを”はぎ”と言います。ソリウッドで製作して販売するテーブルの天板は”はぎテーブル”が多くなっています。1枚でテーブル天板になるような幅広い板は少なく、価値が高いので高値になってしまいます。そこで何枚かの板をはぎ合わせてテーブル天板にする必要があります。”はぎ”には接着剤が不可欠です。

木工用の接着剤というと「木工用ボンド」を思い浮かべる方が多いでしょう。黄色いボトルに赤いキャップがついているお馴染みのアレです。実はボンドというのはコニシというメーカーの商品名です。木工用ボンドは酢酸ビニル樹脂エマルジョンタイプと分類されている接着剤です。このタイプの接着剤はとても便利ではありますが、強度はそれほど強くはありません。耐水性や耐熱性にも劣るので、家具製作において使うにはいささかの不安が残ります。

木工用ボンドで”はぎ”をすることも可能です。しかし、テーブル天板として耐水性や耐熱性に劣る接着剤では剥がれてしまう恐れがあります。お客様に安心して長い間使用して頂くために、ソリウッドでメインに使う接着剤はもっと強力な物を使っています。

水性高分子イソシアネート系接着剤というものです。比較的歴史の浅い接着剤ですが、安全性と耐久性に優れているために広く使われいる接着剤です。水性高分子イソシアネート系接着剤にはシックハウス症候群の原因とされているホルムアルデヒドが含まれていません。他の強力な接着剤にはホルムアルデヒドが含まれているものが多い中で、非ホルムアルデヒド系という性質は高く評価できると思います。

水性高分子イソシアネート系接着剤は2液性です。2つの液体を混ぜ合わせて使います。2つの液体を混ぜ合わすと硬化が始まるのですぐに使い始めることが必要です。混ぜ合わせた状態で保存することはできないので、必要な分だけその都度混ぜ合わせなくてはいけません。この点は一液性の接着剤に比べると手間が掛かります。また使い切れなかった分は処分しなくてはいけないのでロスが多めにでてしまいます。

150112_1.jpg
接着剤の層が厚いと接着強度は落ちてしまいます。接着剤の層は薄いほうが強度がでます。しかし、接着剤が少なすぎると接着不良を起こし十分な接着強度を得ることが出来なくなってしまいます。あまりケチらずにしっかり塗ったほうが良いです。そして圧力を掛けて余分な接着剤ははみ出させます。


このようにしっかりと接着剤をはみ出させることが重要です。接着剤の量が少ないと接着不良を起こして接着強度は著しく劣ります。どんなに強力な接着剤を使用していても、適切な接着が出来てないと強度が弱くなってしまいます。

しっかりと接着させるためには接着剤をつけて圧力をかける必要があります。テーブル天板の場合はハギ機と呼んでいる油圧式の機械でしっかりと圧着させます。小さい板の場合は上の写真のようなハタガネを使います。

ソリウッドで使用している水性高分子イソシアネート系接着剤は白い色をしています。そのまま使うと導管内に入り込んでしまった接着剤が目立ってしまうので、目立ちにくように着色して使用しています。

テーブルをはぎ合わせる時もしっかりと接着剤を塗って圧着させます。水性高分子イソシアネート系接着剤を使用するようになってからは、はぎ面が剥がれてしまうといった事例はほとんど起こっていません。この接着剤はしっかり接着できていれば、木部より強度がでると言われています。つまり、壊そうと思って力を掛けていくと、接着面ではないところが破断するということです。また、ある程度柔軟性があるので、木の動きについていってくれるというメリットもあります。

こうした強力な接着剤は値段も高いです。ですが、我々は無垢材家具を製作する上で接着はとても重要な過程なので、手を抜く訳にはいかないと考えています。だから、信頼できる接着剤を使用して、しっかりと接着できるように丁寧に作業をしています。

このように強力な接着剤を使うことで幅が狭い板もはぎ合わせて幅を広くすることができます。自然と人間の知恵が融合した製作物が”はぎテーブル”なんですね。

お問い合わせContact

TEL:0422-21-8487
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-3 2F
(営業時間: 12:30〜18:00/定休日:火・水曜日)
お問い合わせフォーム
Facebook Twitter Instagram Pinterest