2015.01.10

手に入る木材でベストを尽くすために必要な道具や技術があります。

さあこれからブログを書き始めようと思っていた時に高校の同級生から久しぶりに電話が掛かってきて、同級生数名と飲んでいるからきなよと誘われました。この機会を逃すと次にいつ会えるかわからないと思って出掛けることにしました。というわけで帰って来てからの深夜にブログ更新です。

木材という自然の産物を相手にしていると”この機会を逃すと次はいつ手に入るか分からない”という場面がよくあります。特に最近はそういう場面が多くあります。昔は今と比べると豊富に木材があり、良い物を選ぶということが出来たそうです。しかし、段々と飛びっ切り良質な木材は減ってきています。昔の状況を知っているベテランの材木商の方々は、良質な木材が手に入りにくくなった現状を嘆いています。

目が詰まっていて、木目の柄が良くて、幅が広い木材。一般的にはこういう木材を良質な木材としています。国産材は特にこうした良質な木材が少なくなっています。1枚板でテーブルになるような幅広い板が採れる木は樹種が限られてきています。現状でコンスタントに供給されている幅800mm以上ある板の樹種はケヤキ・トチの2種類と言っても過言ではありません。外国産の木材に関してはもう少し樹種の選択肢が拡がります。

こうした現状で昔を嘆いてばかりでは仕事になりません。今手に入る木材を使って最良の仕事をするに限ります。幸い、道具や資材、技術の進歩によって、幅の狭い木材でも充分に我々の生活の中に取り込むことができるようになっています。

現代の家具製作でキーになるのは、乾燥技術と接着剤と言えるでしょう。

良質な木材の条件に木目が詰まっているというのがあります。木目が詰まっていると狂いにくいからです。木は生きている時には水分をたくさん含んでいます。そのままの状態では家具や構造材として使用することはできません。含まれている水分を飛ばしてあげなければいけません。そこで乾燥という技術が必要になります。昔は木材の乾燥と言えば、天然乾燥法でした。これは、風通しのよい屋外に木材を積んで乾燥させるという方法です。

外に置いておくだけでも乾燥は進みます。しかし、乾燥できる程度は限られています。木材の乾燥具合は含水率という数値で判断します。日本の屋外環境で木材を乾燥させると、含水率が約15%になると言われています。ずっと屋外に木材を置いて乾燥させるといずれ含水率が約15%で落ち着くということです。ところが、必ずしも15%まで下がる訳ではありません。湿った地域などでは数年乾燥させておいても15%にならないということが起こります。長い期間乾燥させれば、どんどんと含水率が下がるというわけではないのです。

乾燥具合が甘いと、使用しているうちに木が縮みます。その影響で割れたり、隙間ができたりということが起きます。なので、天然乾燥方法しかない場合は、なるべく動きにくい木が必要になります。これが目の詰まった変化の少ない木材が重宝される理由になります。

しかし、人工乾燥法が開発され乾燥技術の向上が進むと天然乾燥では到達しにくかった含水率まで下げることができるようになりました。しかも短時間で。これにより動きの大きそうな木材も不安が少なく使用できるようになりました。含水率を下げてより木材を安定させることができるからです。
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弊社の木材乾燥庫で乾燥させた板です。赤い数字は乾燥させる前の含水率。製材されてから1年ほど天然乾燥をさせていた板です。黒い数字は人工乾燥後の含水率です。8~10%と理想的な含水率まで下がっています。木材には一度含水率を下げたら水分を吸収しにくくなるという性質があります。要するに安定しやすくなるということです。

こうして人工乾燥技術が開発され発展したことで、動きやすい樹種、板などもリスクを減らして使用できるようになりました。

長くなりましたので、接着剤に関してはまた後日書くことにします。

瑞木@相模湖

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