2014.12.16

クリの耳つきテーブル製作しています。

相模湖工房では吉祥寺ショールームにて展示・販売する耳つきテーブルを製作中です。耳つきテーブルとは樹皮がついていた部分を残したまま天板にしたテーブルの事です。直線でカットしていないので、自然にできた柔らかい輪郭のテーブルになります。室内は直線が多いですよね。そんな中に自然の柔らかい線があれば、ホッと寛ぐことができる空間ができると思います。

今日のブログエントリーでは製作中の耳つき天板の中からクリの耳つきテーブルを紹介します。

クリは皆さんにとってもとても馴染みのある木ですね。秋にあの実がなる栗の木です。実はとっても有名ですが、木材としてのクリは少しマイナーな存在かもしれませんね。しかし、むかしから我々の生活に取り入れてこられた木材です。クリは耐水性、耐久性に優れた木材としてその名が知られています。鉄道の枕木や住宅の土台など条件の悪い所で使われる木材としてとても重宝されていました。

近年になると、良質のクリ材の流通も少なくなってきています。特に大径木のクリはほとんど見られなくなりました。

クリは堅さもほどほどで加工性も良く、木工にとても向いている木材だと思います。

色は黄褐色、経年変化でだんだんと暗い色になってきます。タンニンという成分を多く含んでいることでも有名なのがクリです。タンニンは鉄と水で反応して黒く変化します。その性質を利用して鉄媒染で黒く染めたりもされています。

今回使用しているクリ材は丸挽きという方法で製材された板です。
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丸挽きとは丸太をそのまま同じ方向で製材していく方法です。丸太だった状態を復元してみたのが上の写真です。どういう風に製材されたかがよく分かると思います。同じ丸太から採れた板なので木目の様子や色は揃いやすくなります。まだ樹皮が付いている状態で撮った写真です。樹皮をつけたままテーブルにすることは出来ないので剥がします。樹皮は木材が乾燥するといづれ取れてしまいます。また樹皮と木部の間を虫が食い荒らします。それを防ぐためにも早めに樹皮を剥いでおく必要があります。

このクリは2013年の4月に仕入れた材です。製材から1年半以上が経過しています。しばらく天然乾燥をさせたのち人工乾燥庫に入れて乾燥させました。板の表面に書かれた数字は人工乾燥後に計測した含水率です。10%以下まで下がっている事が確認できます。

6枚の板で耳つき2枚はぎテーブルと耳つき4枚はぎテーブルの2台を製作する予定です。
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4枚はぎの木取りです。両サイドの2枚は片側の耳を残しておきます。真ん中2枚は耳を落としてはぎあわせます。表面はまだ削っていないので、染みや汚れ、変色がたくさんありますが、削ればキレイな木目が現れます。右から2番目の板に黒い線が2本入っています。これは先ほど述べたタンニンと鉄と水で化学反応を起こして黒く変色した部分です。乾燥を終えた板の表面はこんな風に木目が見えにくくなってしまいます。

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こちらが仕入れてきた時の状態。木目の様子がかろうじて見えますね。結構キレイな木目をしています。仕入れ時も期待できる板という評価でした。

2枚はぎの方は幅の余裕があまりなく、少し幅が狭まくなる可能性もあります。それでも800ミリは確保できるでしょう。

これらのクリの天板は節ありになります。節はどんな木にもあるものです。節なしの方が良いとされていますが、節があった方が趣きがある天板になる場合もあります。この板にある節は趣きがあるほうだと思います。アクセントになって良い方向に転ぶはずと判断しています。さあ、実際はどうなるでしょうか?

瑞木@相模湖

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