2014.12.13

遠くまで行って耳つき板を仕入れてくるのには訳がある。その2

昨日のブログエントリーの続きです。昨日のエントリーをまだ読んでいない方はこちらを先にお読みください。
遠くまで行って耳つき板を仕入れてくるのには訳がある。その1

なぜわざわざ遠くまで仕入れに行くのですかと聞かれる事が時々あります。答えをひとつに絞るのは難しいですが、3つぐらいにはまとめられるかなと考えています。

1.楽しいから

2.幅広い選択ができるから

3.材料費の削減になるから

こんな感じです。1.の楽しいからについては昨日書きました。今日は2.幅広い選択ができるからと3.材料費の削減になるからについて書きます。

○僕は幅広い選択ができるからわざわざ遠くまで行って板の仕入れをします。

材木市場に通いだしてからしばらくして気づいた事があります。僕は良い板だと思うのに、買う気がある人が少ない板があることです。いろいろと要因はあると思いますが、1番は周りの人は材木屋さんが多いということです。昨日のブログでも書きましたが、僕が通っている市場は幅広い人に門戸が開かれています。なので、材木屋さんだけでなく、家具屋さん、大工さん、建具屋さんなど木を扱う様々の業種の人が来ています。それでも1番多いのは、材木屋さんです。

材木屋さんと我々家具屋の板を見る目は似ているようで全然違う事に気づきました。材木屋さんは仕入れた板を家具屋さんや工務店さん、建具屋さんなどのお客様に販売します。そのため、売れる板もしくは売りやすい板を仕入れます。想定はあくまで漠然としたお客様です。もちろんこの板はお得意様のあの人が購入してくれそうだとかピンポイントなターゲットを設定する場合もあると思います。しかし、それはごく一部です。幅広い層に気に入ってもらえる板となるとやはり欠点がない板になります。さらに欠点のない板は高く販売することができます。

節や割れが入っている板は欲しがる人も少ないし、少し価格を安くせざるを得なくなります。そうなると、乾燥中に割れたり反ったりする可能性が高い板は避ける傾向になります。

具体的な樹種を挙げると、カエデは材木屋さんはあまり買いません。綺麗な杢が出ている板は別ですが、普通な木目のカエデを仕入れることは少ないと感じます。理由はカエデは乾燥中に反るからです。カエデは乾燥の最中に反ってねじれます。動く量が半端ありません。反ったり捻れたりした板はそのままでは売りにくい商品になります。一度反りや捻れをきれいに取り除く必要も出てきます。当然ですが、薄くなってしまいます。厚い板を仕入れたのに薄くしなくては売れないとなると、手間やコストを考えると儲かる商品ではなくなります。

でも、われわれ家具屋は割れたり反ったりしても何とか製品にすることができます。実際に生で仕入れたカエデの板は乾燥中にかなり反って捻れます。そのため幅広い板も真ん中で割って狭くして平面を出さなくてはいけなくなります。他の板なら2枚はぎでテーブル天板になる幅でも、カエデなら4枚はぎになってしまうのです。それでもテーブル天板になります。我々にとっては何の問題もありません。

というわけで、材木屋さんは売りやすい板を仕入れる傾向があるという事が分かりました。でも市場には魅力ある板が出展されています。材木屋さんでは見掛けないようなB級品の板もたくさんあります。そういう板も選択できるのは我々にとって大きなメリットです。材木屋さんを通すと買えない板ですから、他の家具屋さんの手に入りにくい訳で差別化ができます。

○僕は材料費の削減になるからわざわざ遠くまで行って板の仕入れをします。

材木市場で直接仕入れると材木屋さんというステップを飛ばすことができます。間をひとつ飛ばせばコスト削減になるのは常識ですよね。でも単に材木屋さんを飛ばすデメリットも当然あります。材木屋さんは生で仕入れた板を乾燥させて顧客に販売します。(乾燥させないで販売する材木屋さんもあります。) 板は乾燥中に大きく割れることがあります。乾燥をするということは割れるリスクを負うということです。前の項目でも触れましたが、このリスクを出来るだけ少なくするために割れにくい材を仕入れるということも材木屋さんにとっては重要な事です。

材木屋さんを通さないで生材を買うと、乾燥を自分たちで行わないといけません。ソリウッドでは小型の木材乾燥庫を持っています。これで乾燥させているので、市場で生材を仕入れても平気な訳です。未乾燥材と乾燥材では当然値段が違います。乾燥材の方が高くなります。材木屋さんは乾燥代をのせて販売します。自分たちで乾燥が出来ればその分コスト削減になります。

逆にいうと、自分たちで乾燥庫を持っていないとこの仕入れ方法は成立しにくいと思います。人工乾燥を乾燥庫を持っている材木屋さんにお願いするということも考えられますが、輸送コストなどを含めるとメリットが少なくなってしまいます。

以上3点が、遠くまで耳つき板を仕入れに行く理由です。3.の材料費削減に関してはケースバイケースでものによっては材木屋さんから乾燥材を仕入れた方がお得な場合もあります。トータルで考えると、多少削減にはなっている程度だと思ってください。

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板のど真ん中に節がある板を材木屋さんがわざわざ仕入れるのは勇気が要ること。1枚板でテーブルになるような付加価値の高い板なら別ですが… 僕はこのぐらいの節なら問題なくテーブル天板になると判断します。

瑞木@相模湖

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