2020.02.02

◎主流になる日は近い。

毎週金曜更新のはずの「姉ブロ(家具屋で働く双子の姉のブログ)」は三週連続で日曜日の更新になりました。いっそのこと更新日を替えた方がいいんじゃないかと思う今日この頃です。

さて、今日は「オイル仕上げの家具」がこれから主流になるんじゃないかな、というお話です。

脱プラスティックの流れ

ときは2020年(令和2年)2月2日。もはや「地球環境なんて興味ない!自分には関係ないし。」と言っていられる時代ではありません。マイクロプラスティックが海洋生態系に悪影響を及ぼしているという情報は毎日のようにメディアに出てきます。それを何とかしなくてはということで、脱プラスティックの考え方が浸透してきました。買い物のたびにレジ袋をもらうのではなく、マイバッグを持って買い物に行くのはすっかり習慣づきましたし、カフェではプラスティックのストローが姿を消して(変えて)います。

これまでさんざん環境に負荷をかけてきてしまった現実に、私たちは今直面しています。そして少しでも現状を改善するべく、代償を払っていこうと歩み出しています。少し先の自分たちの暮らしのために、それからこの先の未来を生きていく次世代のために。

それなのに、です。世の中全般を見渡してみると木の家具はいまだにウレタン塗装が主流だったりします。ウレタン塗装は、ざっくりいうと木の家具をプラスティックでコーティングしましょうね、という方法です。コーティングすることで、家具をキズや汚れなどからを守りましょうということです。

たしかにウレタン塗装の家具は、水に強いという利点があります。水がこぼれたとしても拭けばシミにはなりにくいですし、日常の手間はさほどかかりません。プラスティックでコーティングしているので、なんとなく想像はつきますね。なのでダイニングテーブルの天板などはウレタン塗装がいいと思う気持ちも、わからなくはありません。ソリウッドでもこれまでオイル塗装と並行してウレタン塗装の家具を作ってきましたし、いまでも強いご要望があれば製作することは可能です。しかしそれは昨今の「脱プラスティック」の時代の流れからは逆行した考え方になるので、今は立ち止まってよく考える時期にあると思っています。

これまではだれしも会社の目先の利益と、お客様の目先の手軽さにばかり意識が向いていました。地球環境のことには想いも及ばず、企業は「お手入れがラクなものが売れる」とせっせと量産し、消費者も「手軽でラクだから買おう」というサイクルだったのですね。企業とお客様の間でWIN-WINだからそれでよし、ということだったのでしょう。けれど時代は変わりました。地球環境を考えることが大前提になりました。地球環境のことを考えたうえで、企業とお客様のWIN-WINを考えなくてはなりません。

 

「手がかけられる」という意味

ウレタン塗装の家具はメンテナンス不要、と言われることがあります。これは言い換えると実は「メンテナンスをしたくても家庭ではできない」ということなのですが、残念なことにそこのところはあまり注目されません。

エアコンに例えてみると、フィルター掃除をしたくても、フィルターが取り外せない構造になっている、というようなことです。フィルター掃除をしたくなったらプロに依頼してくださいね、ということです。いまどきそのような製品はあまり見かけません。エアコンに限らず、性質上どうしても寿命がある家電製品ですら、日常の必要なメンテナンスが家庭でできるように作られているのです。

それなのに、です。ウレタン塗装の家具は、個人ではメンテナンスができないのです。手をかけてあげたくてもご家庭ではそれができないのです。なんということでしょう。

ウレタン塗装は経年の劣化は避けられません。劣化が進むとプラスティックのコーティングがはがれてきて見た目に汚らしくなってしまいますし、場合によっては剥がれたコーティングが知らず知らずのうちに体内に入ってしまうことも考えらます。一説によると、普通に暮らしているだけでも人間は1週間でプラスティックのカード1枚分のプラスティックを知らず知らずに体内に取り込んでしまっているとのことです。それが人体にどのような悪影響を及ぼすのかは、まだ明らかになっていない部分もあるようですが、いい影響があるとも思えません。プラスティックを食べるなんて、なんとなく避けた方がいいんじゃないかという直観が働きます。

ウレタン塗装の家具は経年劣化が進むと「修復」が必要になります。多くの場合、購入した会社のメンテナンスサービスを受けることになります。それなりの費用と時間が必要になります。購入したお店がもう閉店してしまっていたり、アフターメンテナンスを受け付けていない場合などは、泣く泣くコーティングがはがれた家具を使い続けるか、その家具事体を廃棄することになります。どのみち、環境によろしくないことは火を見るよりも明らかですね。そういうことなのです。

一方で、オイル仕上げの家具はご家庭でのメンテナンスができます。シミや汚れ、細かいキズなどはちょっと手をかけてあげることで、ほとんど目立たなくすることができます。作業自体は決して難しいものではないので、コツさえつかんでしまえば心配はいりません。ソリウッドでオイル仕上げのテーブルをお求めいただいた方には「メンテナンスキット」を差し上げています。その中の説明書に従って作業をしていただければ、メンテナンスできるようになっていますが、最初の一歩はハードルが高いかもしれないので、サポート体制は今後も充実させていくところであります。(出張メンテナンスサービスもおこなっています。)

 

ということで、やはりオイル仕上げ

「そいじゃ、やっぱりオイル仕上げやな!」とミルクボーイの内海さんに突っ込んでいただきたいところですが、本当にそういうことなんです。

ソリウッドで使用しているオイルは、ドイツのリボス社が販売しているアルドボスという製品です。リボス社は環境への意識が高い欧米諸国のなかでもいち早く健康に害のない自然塗料を開発販売してきた会社です。全製品の成分が100%公表されており、万が一子どもが飲み込んだとしても健康被害がでない厳しい基準をクリアしたオイルです。ソリウッドでは20年近くこのリボスオイルでオイル仕上げの家具を作り続けています。

うちの子どもが離乳食を食べ始めてしばらくたったころ、なんでもかんでも自分でやりたがる時期で、お茶碗に納豆ご飯を盛ってテーブル(ソリウッド製、オイル仕上げ)に並べたところ、躊躇することなくいきなりお茶碗をひっくり返し、納豆ご飯をテーブルに広げ、手でぐちゃぐちゃとかき混ぜて、そのまま手で食べるという、親としては白目をむいしてまうような危機的状況を作り出し、しかし当の本人は嬉々として食事を楽しんだということがありました。それも1回、2回ではなく。(当時の子どもにはそれが成長に必要な行動だったはずなので、なんとか見て見ぬふりをして見守りました。忍耐力が試されました、はい。)

でももしあれが、はがれかかったウレタン塗装のテーブルで繰り広げられていたら…私は力づくで子どもをテーブルから引きはがしてしまっていたかもしれません。仕上げ方法の安全性は、こんな場面に出くわした時、結構重要なことでもあるのです。

引っ越しシーズンに向けて、これから家具の購入を考えていらっしゃる方もいることでしょう。家具を選ぶ際に、「地球環境のこと」「大切な人の健康と未来のこと」「メンテナンスができるということの意味」をちょっと考えてみていただくと、「やっぱオイル仕上げやな」というところに行きつくのではないかと思うのですが、いかがでしょう。オイル仕上げの家具、これから主流になりますよ。いや、家具屋としては主流にしていかないと。

お問い合わせContact

TEL:0422-21-8487
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-3 2F
(営業時間: 12:30〜18:00/定休日:火・水曜日)
お問い合わせフォーム
Facebook Twitter Instagram Pinterest