2019.11.22

◎裏を見れば「本気度」がわかる。(テーブルの見極め方)

こんにちは。家具屋で働く双子の姉のブログ、通称姉ブロ。東京は冷たい雨と真冬の寒さですが、今日もお読みいただきありがとうございます。

前回「見えにくいところが大事で、それはテーブルの見極め方にも言える」ということを書きました。いよいよ本題に入ります。

人生のうちでダイニングテーブルを買う機会なんて、そうたくさんあるわけではないので、じっくりと、しっかりと選びたいと考えるのが普通です。けれど、頑張ってあれこれみているうちに「もうどうやって決めたらいいのかわかんない!」と混乱してしまうこともあるかもしれません。そんなときにもしかしたら少しお役に立てるかもしれない「テーブルの見極め方」をお伝えします。

それは、「天板の裏を見ること」。では早速ソリウッドのテーブルの天板の裏を見てみましょう。

じゃーん、こうなっています。

 

裏をみるとただの板ではないんですね、なにやら細工がしてあります。ここに、家具屋としての「思い入れ」や「本気度」が現れます。細かく見ていきましょう。

ソリウッドの天板には3つのポイントがあります。

1.反り止め

2.垂れ止め

3.脚のプレート固定

日常会話では使わない単語なので、ちょっと抵抗ありますよね、「え、なにそれ、ワケわかんない」ですよね。頑張ってついてきてください、順番にご説明します。

 

1.「反り止め」とはなんぞや。

反り止めとは、「天板が反ってしまうのを防ぐために天板の裏に埋め込んだ金属部品」です。と、その前に、「天板が反る」って何でしょうね。天板が変形してテーブルとしての使用に不都合が出てしまうことを天板が反ると表現します。実際には反りだけではなく、ねじれの可能性もあるのですが、とにかく天板の変形は一般的に「反り」という言葉を使います。

残念なことに無垢材の天板は「すぐ反っちゃうんじゃないの?」と敬遠されることがあります。確かに、反ることはあります。がしかし、ある程度未然に防ぐことも可能です。テーブルとしての使用に支障が出てしまうほど反り返ってしまうケースは、おそらくテーブルに加工する前の「木を乾燥させる」という工程をおろそかにしてしまった場合が考えられます。ソリウッドでは、大前提としてしっかりと乾燥させた板を使って家具を製作しているので、購入後すぐにみるみる反ってしまうというケースは本当にごくまれです。(万が一そういう事態が発生してしまった場合には、お客様とご相談の上、修復をしたり作り直しをしたりなどの対応を取っています。)しっかりと乾燥させた板を使った上で、反り止めを埋め込んで、「万が一」を未然に防ぐ工夫をしています。しかし歯切れの悪いことに「これで100%大丈夫、絶対に反りません!」と断言はできないのが正直なところです…自然のものを相手にするってそういうことなのです、難しいものです…。

自然のものが一筋縄では扱えない難しさは、もう一点あります。

それは、木は呼吸をしている、ということ。どんなに乾燥した材木を使おうと、反り止めでどれだけがんじがらめに固定しようと、木の息の根を止めることはできないんです。

湿気が多い時期に木は膨張しますし、乾燥した時期には木も乾燥して縮みます。つまりテーブルになったあとも、お部屋の環境に応じて少しずつ(数ミリ)は膨張したり縮んだりと伸長を繰り返すのです。

さてここで矛盾が生じます。木が動かないように(=反らないように)反り止めを埋め込むのに、木の伸長は止められない。動きを止められないなら、反り止めを埋め込んだところで動く(=反る)ってことなんじゃないの?反り止め、意味あるの?ってことですね。ますます歯切れが悪くなってしまいますね…(汗。それも大汗。)

そこで我々は考えました。「動かしながら固定すればいいんじゃない?」と。

ん?動かしながら、固定する…まったくもって意味不明です。動かしたいのか、動かしたくないのか、何をしたいのか、わかりにくいったらありゃしません。でも、すごく理にかなった方法を思いついてしまったのです。いいですか、それは、「伸縮する性質はそのままにしてあげながら、激しく変形してしまう(=テーブルとして使えなくなるほどに変形する)ことを避ける」方法です。それが金属の反り止めに開けてあるボルトの穴の工夫です。これはただのねじ穴ではありません。よく見ると長円になっています。ここが重要。長円にしてあることが重要なんです。つまりすこし遊びの部分を持たせたのです。動く余地をあらかじめ与えてあるともいえます。この長円により、木は膨張した縮んだりする性質をそのままに、天板としての機能を失わない程度に固定する、ということが実現できたのです。長くなりましたが、少しはお伝えできましたでしょうか。

 

2.じゃ、「垂れ止め」って何よ。

次は垂れ止めです。無垢材の天板は樹種によって重さは異なりますが、それなりの重さがあります(大人二人で運べるくらいの重さですが)。そうなると、天板は自分の重みが影響して垂れてきてしまうことがあるのです。それを防ぐために垂れ止めという木の部品を取り付けます。(小さめのテーブルは天板が軽いので垂れ止めはつきません。)

自然の力は計り知れませんので、長い間使うことを想定するといろいろなことがあるものです。これも、無垢材は重たいから絶対に垂れてくるというわけではなく、垂れないかもしれないけれど、垂れるかもしれないから、そうなったときに不便が生じないように、という工夫です。何事も先手必勝で。

 

3. 最後に「脚のプレート止め」(一部違うデザインの脚もあります。)

ソリウッドのテーブルの脚は一部のデザインをのぞき、プレートを使って固定してあります。脚と金属のプレートをくっつけて、それを天板に固定しているのです。搬入時やご購入後のお引越し等を考えると、脚は取り外しができた方が便利です。しかしあまりに取り外しを簡単にしておいてしまうと、しっかり固定されなかったり、すぐに緩んでがたついてしまうことが考えられます。ソリウッドで使う脚のプレートと天板は、一本の脚につき複数のボルトでしっかりと固定するのでぐらぐらと揺れることはありません。ちなみにこのプレートに開いている穴も長円です。そしてプレートを埋め込む溝にも余裕を持たせ動く余地を設けています。

こんな具合で、「できるだけベストなコンディションを、できるだけ長く保つ工夫」を施すことによって、長く安心してお使いいただけるようにしています。家具屋さんによってこういった工夫には違いがありますし、「これが正解!」というものはもありません。ここはお客様と家具屋の相性といってもいいかもしれませんが、共感できる、なるほど!、なんか安心!!と思っていただけるように、私たちは日々開発努力をしています。

ダイニングテーブルを買う、という作業は人生の中でそう何度もあることではありません。天板の裏の工夫を知ることで「このテーブルにしよう!」という「決め手」に出会えるかもしれません。

今週末は新作のテーブルも増やして、皆様のご来店をお待ちしております。ソリウッドは建物の2階にあります。2階にある家具屋は敷居が高いとお感じになるかもしれませんが、お気軽にお足を運びくださいませ。押し売ったりしませんし(あたりまえ)、むやみに個人情報をお聞きしたり書いていただいたりもしませんので、どうぞご安心ください。そしてご自由に天板の裏をのぞき込んでくださいませ。それではソリウッドの吉祥寺ショップにて、皆様のご来店をお待ちしております。

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〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-3 2F
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