2015.11.23

ソメイヨシノの始めの1本が上野公園に今もある?【No.1380】

NHKオンデマンドというサービスで過去に放送されたNHKの番組を時々観ています。お気に入りの番組は「サイエンスZERO」です。私は家にテレビがないのでリアルタイムな放送を観ることは出来ませんが、日曜日の夜23:30から放送されているようです。私たちの生活は日々進化する科学技術によって日々変化しています。そうした科学技術に焦点を当てて掘り下げてくれるのが「サイエンスZERO」です。さきほど観た回のテーマは”ソメイヨシノの起源に迫る”でした。皆さまがお花見で観ているあの桜の起源に迫るという内容でとても興味深かったです。よく知られているようにソメイヨシノはすべての木が同じ遺伝子を持っています。接ぎ木という手法で増やしています。最新のDNA鑑定によって全国に生えているソメイヨシノは同じDNAを持っていることが確認されています。

そしてソメイヨシノの起源について新たな説が発表されました。それは東京・上野公園に生えている1本のソメイヨシノが1本目のソメイヨシノではないかという説です。最初のソメイヨシノが今も上野公園にあるというとても興味深い新説です。

私は今までソメイヨシノが人工的に交配された樹種だと思っていました。しかし、その可能性は低いそうです。桜が人工的に交配されていたという記録は残っていないそうです。自然交配された木の中から選ばれた1本をどんどんと接ぎ木で増えしていった樹種のようです。先ほどの新説はまだ学会発表されたばかりで今後の研究でこの新説が定かなのが分かってくるんだと思います。

ソメイヨシノは残念ながら木材利用はほとんどされていません。花の観賞に適した樹種で木材として流通することはほとんどありません。幹が複雑な形をしていて製材してもきれいな板が取れないのがその要因だと思います。ソメイヨシノって捻れて斜めに成長している木が多いですよね。真っ直ぐ高く成長しているのはあまり見られません。製材しても使い易い板がとれないんでしょう。

木材利用されている日本の桜はヤマザクラです。数は多くありませんが、ヤマザクラ材は木材として流通しています。私も材木市場で並ぶヤマザクラの丸太や板を何度も見ています。ただし安定してたくさん供給されている材種ではありません。また、乾燥が難しい樹種でもあります。大味なヤマザクラ材はかなり捻れます。私も何度かヤマザクラ材を仕入れていますが、大きく捻れてあまり使い物にならない板が数枚あります。人工乾燥前の天然乾燥段階で大きく捻れてしまうので対処の仕方がありません。もうそういう板なんだと諦めるしかありません。ただ、目が詰まったヤマザクラ材は大きく捻れる事が少ないです。そうしたヤマザクラ材を仕入れたいと思っていますが、なかなかお目にかかれないのが少し残念です。

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先日材木市場で仕入れたヤマザクラ材です。短いのが少し残念なんですが、木目はとても綺麗なヤマザクラ材です。ヤマザクラ材は乾燥中に大きく動く可能性が高い樹種なので、じっくり乾燥させます。こうした樹種を急速に乾燥させてしまうと大きく動いてしまいます。なので時間を掛けてゆっくりと乾燥させていくのが最善策です。つまり天然乾燥の時間を増やすということです。早く使用したいので焦ってすぐに人工乾燥庫に入れてしまうと失敗する可能性が高いです。グッと我慢してじっくり乾燥させていきます。

日本産のヤマザクラ材は流通量が少ないですが、同じサクラの仲間の北米産のアメリカンブラックチェリー材は日本国内でも多く流通している樹種です。ソリウッドでも北米産のチェリー材を使った家具を多く製作してきています。

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先日納品したチェリー材のテーブルです。正方形のテーブルです。チェリー材は時間が経つと色がどんどんと濃くなっていきます。納品時は少しピンクがかったオレンジ色をしています。時間が経つとどんどん濃くなって最終的には艶のある濃い茶色になります。こうした色変化がチェリー材の最大の特徴です。

今日はソメイヨシノの話題から我々が製作しているヤマザクラ材、チェリー材について書きました。

瑞木@相模湖

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